生産性

生産年齢人口とは?推移と予測

執筆者:田尻 亨太

少子高齢化などの影響もあり、労働力の不足が叫ばれている昨今。「生産年齢人口」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にどのような意味で使われているのか、わからない方も多いはず。そこで今回は「生産年齢人口」の概要とその推移などについてご紹介します。

生産年齢人口とは

労働意欲の有無に関わらず日本国内で労働に従事できる年齢の人口という意味で使われる経済学用語です。日本では主に15歳から65歳未満の年齢に該当する人口が生産年齢人口にあたります。

生産年齢人口と逆の意味で使われるのが「従属人口」や「被扶養人口」。働き手である生産年齢人口(15歳〜64歳)以外の年少人口(0歳〜14歳)と老年人口(65歳以上)が被扶養層と言われています。

生産年齢人口の推移と予測

戦後、日本の生産年齢人口は増加を続け、1995年にピークの8726万人に到達しましたが、それ以降は減少を続け、2015年には7728万人となっています。

出生中位推計の結果によると日本の生産年齢人口は、2029年に7000万人、2040年に6000万人、2056年に5000万人を下回り、2065年には4529万人となると予測されています。

また、日本の総人口に占める生産年齢人口の割合は、1990年代半ばには70%近くありましたが、2015年には60.7%まで低下。2018年には59.77%となり、60%を下回りました。この水準は1940年代後半とほぼ変わりません。

さらに、総務省が発表した住民基本台帳に基づく2018年1月1日時点の調査によると、日本の総人口は9年連続で減少し、2017年度から比べると37万4055人減で、1968年の調査開始以来、最も多い減少幅を記録しています。

出典:日本の将来推計人口(平成29年推計) | 国立社会保障・人口問題研究所

では、なぜこのような現象が起きているのでしょうか。理由は少子高齢化による人口減少です。高齢化が進み、出生率が下がっている現在では、生産年齢人口が下がってしまうのも無理はありません。

さらに、現在最も人口の割合として多い団塊の世代が65歳以上の高齢者層となっていることも要因の一つ。日本の総人口の減少率よりもはるかに速いペースで生産年齢人口は減少しているのです。

世界と比較した日本の生産年齢人口

出典:Global Labor Force Ageing Rapidly | BUSINESS INSIDER

上の図はモルガン・スタンレーが生産年齢人口15〜64歳までの人口に対する55〜64歳の高齢層の割合の推移を調査した結果をグラフにしたものです。グラフの「World」は主要国の平均値を示したものですが、これを見ると世界的に高齢化は進んではいます。しかし、2016年時点では13%、2040年でも15%と緩やかな高齢化であることがわかります。

これに対して日本は2016年時点で世界平均を大きく上回る21%で、2040年には27%になると予測されています。この数字からも日本が世界的に見て労働力の確保が難しいことがわかります。

また、世界の統計データを扱うグローバルノートが発表している世界の生産年齢人口(15歳-64歳)国別ランキング・推移によると、日本の生産年齢人口ランキングは11位で、1位の中国、2位のインド、3位のアメリカと大きな差があることがわかります。

生産年齢人口が減少すると何が問題なのか

当然ですが働き手が減るため、国内の生産性は減少します。それでも65歳以上の人口は増加し続けますので、その人たちを少ない働き手で支えていく必要があるのです。

生産年齢人口に対して従属人口の割合が高まる時期を人口オーナス期と言いますが、日本は世界の主要国で最も早く人口オーナス期に突入しました。

人口オーナス期に突入すると、経済を支える側よりも、支えられる側の方が多くなります。結果、社会保険の負担などが増し、経済の発展にもマイナスの影響を与えます。

さらに、社会保障制度や公的年金制度も危うくなります。年金や健康保険などは、人口が増加し経済が発展している時代に作られた制度なので、経済発展や人口増加が前提となっています。

しかし、そのような展望が見込めない今、社会保障や公的年金などは根本的な見直しが必要な時期に差し掛かっています。その結果、年金が支給される年齢の引き上げなどが検討されているのです。

実は、既に1970年代半ばから日本における出生率は減少傾向にあり、当時から人口減少や経済鈍化を予測する声もありました。しかし、人口が増えていたため、本腰を入れて問題に取り組む動きもなく、ここまで問題が深刻になるまで対策が先送りされていたのです。

生産年齢人口の減少に対策はあるのか

こうした生産年齢人口の減少による諸問題に対処するにはどうすればいいのでしょうか。シンプルに「人口を増やせばいい」という意見もあるかもしれません。

しかし、「産みたいか、産みたくないか」は個人の自由なので強要はできません。それよりも、人口の減少を緩やかにする施策や少ない人口で高い生産性を実現できる施策を進めるべきでしょう。

具体的には、昨今政府や多くの企業が掲げる働き方改革の施策でもある長時間労働の是正や、子育てや介護中の人でも働き続けられる職場づくりなどが挙げられます。介護中の方や子育て中の女性に活躍の場を提供すれば、労働力の減少も緩やかになるはず。

また、労働力の確保が難しい昨今においては、65歳以上の高齢者も頼もしい戦力として考えるべきでしょう。昨今は定年後も働き続けたいと考える労働者が後を絶ちません。こうしたニーズに応え、貴重な労働力を確保するためにも、嘱託・再雇用制度などを設けておくことも重要です。

「産みたいけど産めない」「働きたいけど働けない」という人たちが安心して働き、生活できる環境をつくることが、国や企業が早急に解決すべき課題の一つと言えるでしょう。

多様な人材が活躍できる職場づくりに向けて

こうした流れを受けて、多様な人材が活躍できる職場づくり、いわゆるダイバーシティ経営に力を入れる企業も増えてきました。様々な事情、価値観を持った人たちが柔軟に働けるように、既に多くの企業がテレワーク、時短勤務、育児休暇、介護休暇などを導入しています。

◎女性活躍・ダイバーシティ経営が競争力を高める。元資生堂の山極清子氏が語る、本当の働き方改革について(前編)

しかし、「制度はあるけど雰囲気的に使いにくい」「昇給に響きそう」という理由で、制度を活用しきれていない人も多いようです。せっかく柔軟に働ける制度を導入しても、仕組みをつくって終わりでは意味がありません。

経営者や人事担当者、管理職は、整えた制度を従業員が気兼ねなく活用できる文化を醸成する必要があります。柔軟な働き方を促進する制度や休暇の利用率があまりにも悪い場合、経営者がトップダウンで改革を進めることも時には必要でしょう。

多様性を受け入れる風土づくりには時間を要します。制度を取り入れて、経営陣が後方したからといって、すぐに効果が出るとわけではありません。このことを念頭に置いた上で、粘り強く意識改革を続けてください。

IT活用による生産性向上

また、生産性を向上させ、長時間労働を是正するための施策として、ITを活用した業務改善も有効です。昨今は、ホワイトカラーの単純な間接業務を自動化するRPA(Robotic Process Automation)やAIなど、新しいテクノロジーが注目を集めています。

◎RPAは働き方改革の切り札となるのか———いまさら聞けないRPAと、その実力について。

10年、20年後には労働人口の約半分の仕事がAIや機械に置き換えられると言われています。しかし、不足する労働力を補い、人にしかできない仕事に注力できる、という側面から見ると、恐れずに積極的に活用していく方が賢明と言えるでしょう。

他にも、WebやTV会議による移動時間や無駄な会議の削減、ペーパレス化による無駄な資料づくりやコストの削減、ビジネスチャットツールの活用によるメール時間の削減、フリーアドレスやテレワークによるオフィススペースの最適化など、テクノロジーを活用した業務改善方法が無数にあります。

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さらに、IT活用の他にも時間管理による業務改善など、お金をかけずに生産性を高める方法も場合によっては検討すべきでしょう。

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働き方をシフトして持続可能な社会をつくろう

生産年齢人口が減少していくことが確実な日本。もはや従来の労働人口と長時間労働を武器にした働き方で勝負することはできません。少ない時間と労働力でいかに高いアウトプットを出すか。

こうした働き方にシフトしなければ、労働力も確保できず、世界との競争にも遅れをとることになるでしょう。生産年齢人口が減っても持続可能な企業をつくるためにも、多様な人材が活躍できる職場づくりを目指してください。

<参考>
日本の将来推計人口(平成29年推計) | 国立社会保障・人口問題研究所
世界の生産年齢人口(15歳-64歳) 国別ランキング・推移 | GLOBAL NOTE
人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る | 日本経済新聞
生産年齢人口とは?定義や減少の推移(日本VS海外)、労働に及ぼす影響を解説 | BizHint

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