生産性

Web会議と電話会議、テレビ会議を徹底比較。メリット・デメリットは?

少子高齢化が進み、労働生産性の向上が課題となっている日本。多拠点企業内での打ち合わせやクライアントとの定例ミーティングにおいて現地に赴くことなく、生産性を高めるためにWeb会議や電話会議、テレビ会議システムなどを導入する企業も増えてきました。しかし、こうしたWeb会議、電話会議やテレビ会議など遠隔会議は、それぞれどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。今回、ITライター柳谷智宣氏に遠隔会議の種類とそのメリット・デメリットについて解説していただきました。

働き方改革最新事情 無料ダウンロード

働き方改革に欠かせないWeb会議、電話会議システムの必要性

スタートアップ企業の多くは、都市部で起業してもビジネスが広がり始めると、地方に展開するようになります。最近では積極的なグローバル展開もめずらしくありません。もちろん、ビジネスをスケールアップさせるには、スタッフ間のシームレスなコミュニケーションが必要不可欠です。しかし、物理的な遠隔地ゆえに、会議といっても容易ではありません。会議のために出張するというのは、時間もコストもかかりますし、疲弊します。非常に効率が悪く、生産性も上がりません。そこまで大きいスケールでなくても、単純に社外にいる営業が会議のために帰社する、もしくは帰社のための時間が取れなくて会議そのものに参加できないと、いった例でしたら、どなたでも経験があるのではないでしょうか?また誰もが参加できる時間帯を調整するのに手間がかかることで、ビジネスチャンスを逸したり、顧客への対応が遅れるというデメリットも生じてしまいます。

そこで、活躍するのが遠隔地間でコミュニケーション可能な各種ITを用いた会議システムです。古くは電話を使い、次に映像もつなぎ、現在はインターネットを介して音声や映像、さらにPCの画面まで共有して会議ができるようになっています。遠隔会議を導入するメリットは以下に集約されます。

■生産性向上
■スピーディーな対応力

もちろん、システム構築のコストや利用時のわずかな手間は発生しますが、最前線で働いている人たちが無為に移動することを考えれば安いものです。またテレワークやリモートワークなど働き方の多様性が増す今後、会議の在り方を見直す必要も出てくるでしょう。日本社会全体で働き方改革が進められていますが、単に残業をなくせば良いというものでもありません。無駄な時間を減らし、業務効率の向上を目指すことが本来の目的です。それでは遠隔会議として、代表的な電話会議とWeb会議システムの違いと、そのメリット・デメリットを紹介します。

電話がつながるだけじゃない今どきの電話会議

単に電話がつながるだけじゃない今どきの電話会議

電話は基本的に1対1の会話を成り立たせるツールとして、もっともスタンダードな遠隔コミュニケーションです。「電話会議」は、1対1ではなく、3人以上で同時に話をすること、と言えば理解しやすいでしょうし、読者の方にもすでに経験されている方も多いのはないでしょうか。

電話会議のメリットはなんといっても、その場に参加できない人とリアルタイムでコミュニケーションを取れることです。国内はもちろんのこと、海外でも簡単に会議に参加することができます。基本的には、サービス提供会社が指定するアクセスポイントと呼ばれる電話番号に参加者が電話することで、仮想会議室に入室する仕組みになります。電話会議サービスには通話料金とアクセスポイントの使用量がかかる料金体系が多くなっており、導入時の費用が低く抑えられるのが大きなメリットとなります。

なぜ、いまさら電話会議なのか?と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。後述するweb会議は資料やデータを共有することができますが、ノートパソコンやWi-Fiなどの通信環境が必要なので、社外参加者の場所が制限されます。一方、スマートフォンや携帯電話が誰もが持つ時代において、電話会議は場所を選ばずに安定した会話を提供してくれ、気軽に利用できるというメリットがあります。

最近は、VoIP (Voice over Internet Protocol)を利用した音声通話も可能で、拠点が複数ある企業の多くが導入しています。インターネット回線さえあれば通話料などが追加でかかりませんし、音質も電話回線より高く、クリアな会話が可能です。しかし、海外などインターネット回線の品質にばらつきがある場合には、通話にノイズが乗ったり、会話が遅延することもあります。

具体的な電話会議の機能とコストを紹介

プレミアコンファレンシング株式会社(以下、PGi)のサービスである「GlobalMeet 電話会議サービス」を例に挙げて説明していきます。同サービスは、インターネット回線と電話回線のどちらにも対応しているサービスになります。VoIP音声と電話回線の音声をハイブリッドでまとめて会議することが可能です。インターネット環境が整っているところはVoIPで、そうでないところは電話回線でつなげることができます。電話会議の方式は大きく3つに分けることができます。

「GlobalMeet 電話会議サービス」の接続方法
【ローカルダイヤルイン】……会議の出席者がローカルアクセス番号に接続する方式で、通話料金は各出席者が契約している電話会社から請求される。
【フリーコール接続】……各出席者がフリーコールアクセス番号に接続する方式で、会議の主催者が通話料金を負担します。

【ダイヤルアウト接続(主催者接続型)】……主催者が参加者にダイヤルして接続する方式で、通話料金は主催者が負担します。

電話回線を利用する場合にかけてもらう電話番号も、参加者に通話料が発生するローカル電話だけでなく、国内・海外のフリーダイヤルも利用できます。参加者は、指定された電話番号に電話し、パスコード(PGi製品では10桁)を入力することだけで会議に参加でき、また最大300人まで一つの会議を行うことも可能です。機能も充実しており、例えばお客様にも会議に参加して欲しいが、電話をかけさせるという失礼をしたくない、といういかにも日本的な配慮や忖度もあるでしょう。そんなニーズに対しては、仮想会議室から参加者に電話をかけて会議をご招待するという機能も用意されています。そのほか、グローバル会議中に東京と大阪だけ一時的に抜けて打ち合わせをし、意見をまとめてから全体会議に復帰するといったことも可能です。

では、気になるコストはどうなっているのでしょうか?導入時にコストはかからず、使用量に応じた額を支払う「従量制プラン」と年間契約の「定額制プラン」があります。

使用量に応じた額を支払う「従量制プラン」と年間契約の「定額制プラン」

「GlobalMeet 電話会議サービス」の料金体系一例を参照して図を作成(2018年1月現在)

上記の図のように、「GlobalMeet 電話会議サービス」では、それぞれ別の場所にいる3名で60分の電話会議をした際には、4,320円(税別)と通話料金が発生する仕組みになっています。各サービスによって料金は異なりますが、日本国内でも出張の交通費を考えると、経費を大幅に削減することができます。

まとめると、電話会議のおおきなデメリットは、1つだけといえるでしょう。つまり、音声のみでのやりとりになるので、相手の顔が見えなかったり、資料をリアルタイムに共有できないということだけです。

大人数で顔を見ながらコミュニケーションが取れるテレビ会議システム

資料を見ながら会議できる最新Web会議システム
歴史を紐解くと、お互いの顔を見ながらコミュニケーションをしたい、というニーズは大きく、電話会議の次には、テレビ会議が普及しました。大きな会社では、支店ごとにテレビ会議システムを用意した会議室を用意しているところが多くあります。テレビ会議では、各拠点の会議室に関係者が集い、お互いの映像を見ながら会話できます。具体的なメリットとして、大画面で顔を見合わせながら話せるので、ほとんど直接対面と変わらないことが挙げられます。筆者も、米国のエンジニアに取材するときなどは、テレビ会議システムを利用します。お互いに、会議室を予約する手間と時間だけで、海を越えてリアルタイムに会話可能です。かつて、ネットワークが脆弱だった時代は、導入に数千万円もかかるケースもありましたが、現在は大型ディスプレイもカメラもネットワークも格段に安くなったため、導入・運用コストはずいぶんと手頃になってきました。

資料の共有もできるWeb会議システム

テレビ会議の場合は、会議室全体を撮れるカメラや性能の良いマイクが必要になるうえ、相手にもテレビ会議用の設備が必要になります。これらの設備が整った会議室以外で利用することはできず、例えば、朝礼などで社長が全社員に話したいときなどには利用できません。また、以前と比べて、お手頃になったとはいえ、導入・運用には、やはりそこそこの投資と運用コストは必要です。場所の制約と、多額の費用がテレビ会議のデメリットでした。

そこで最近普及してきたのが、Web会議システムです。コンセプトはテレビ会議ととても似ていますが、使用機材がPCとウェブカメラのみで参加できる点、つまり初期の設備投資がそれほど掛からず、手軽にはじめられるのが特徴です。最近のノートパソコンにはウェブカメラやマイクを内蔵している機種も多く、スマートフォンやタブレットにも対応しているサービスが多いため、デバイスが普及した今日ではインターネットにさえつながっていれば、もはや会議室を押さえることも必要なく、自分の席や外出先、自宅からでもアクセスが可能です。

Web会議システムが普及した理由として、クラウド型サービスの普及が挙げられます。クラウドサービスとは、インターネット環境さえあれば様々な業務効率ツールを必要なときに必要なだけ利用することができるサービスの総称です。データセンターやサーバーの導入に必要な多額の初期投資を削減することが可能です。また、メンテナンスなどの面倒な作業に人的リソースを多く割く必要がなくなります。また、容易にサービスの拡張や変更ができる点もメリットでしょう。

ペーパーレスのメリットと課題、推進のポイントは?

Web会議を導入するにあたって注意しなければならないのは、インターネットの接続環境と、セキュリティです。先述のように、インターネット環境さえあれば場所を選ばずにWeb会議に参加することができますが、インターネットの接続環境が悪い場所で行おうとすると、回線が途中で切れる、音が聞こえづらいなどのトラブルが発生しやすくなります。また、カフェなどのWi-Fiを利用する場合、通信が暗号化されていないと使用しているデバイスが攻撃を受けることもあります。したがって、家や会社の外でWeb会議を行う場合は、パスワードがかかっているWi-Fiや、自分や会社で契約しているポケットWi-Fiなどを用いるようにしましょう。また最近では、Wi-Fi環境に左右されないLTE搭載のノートパソコンも登場しているので、ワークスタイルに合わせて適切なサービスを利用するとよいでしょう。

具体的なWeb会議の機能とコストを紹介

Web会議システムサービスは数多くありますが、細かい機能や価格は製品によって大きく異なります。例えば、Web会議システムのシェアNo.1である「V-CUBEミーティング」は、PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末からでも参加できます。わかりやすいUI(ユーザーインタフェース)で誰でも迷わず使えるほか、もちろんPC画面を共有できます。「V-CUBEミーティング」には様々なプランが用意されていますが、国内のみを利用するローカルプランでは、初期費用として5,500円/ポート。月額の費用として、11,000円/ポート。最小の契約が10ポートからとなっています。
全国を飛び回る方は当然としても、少額の交通費を積み重ねても届きそうな金額です。長期的な視野に立てば、決して高くはないと思いますが、いかがでしょうか?

どのWeb会議システムを使っていいのかわからず迷っている場合、最初は無料プランから試してみてもいいかもしれません。いくつかのサービスを利用してみることで自社のニーズに適切なWeb会議システムが自ずとわかってくるでしょう。

Web会議や電話会議といった遠隔会議はもはやインフラ!

働き方改革では無駄な会議をしないことが重要になりますが、会議がなければビジネスもスムーズに動きません。しかし、移動や出張といった会議に関わるコストと、貴重なビジネスパーソンの時間を消費するのは避けたいところです。出張などに合わせて会議を先延ばしするのも、ビジネススピードを低下させる要因になります。

電話会議やWeb会議は、もはや企業にとって必須のサービスとなっています。導入規模にもよりますが、一昔前と比べれば劇的に安くなっており、導入することで削減できるコストで十分まかなえることでしょう。もはや遠隔会議システムはビジネスインフラとも言えます。

それでも、「やっぱり、面と向かってリアルで会わないと!」などと言っているアナタ!うっかりしていると時代に置いて行かれてしまうので要注意です。

<関連記事>

(文章改修 2019年5月22日)

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

働き方改革最新事情

無料ebookをダウンロードする

働き方改革最新事情

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた
一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

主な内容

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

無料ebookをダウンロードする

関連記事

インテル Core プロセッサー
インテル® Core™ プロセッサー
Intel Inside® 圧倒的なパフォーマンスを

Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Core Inside、Intel vPro、vPro Inside、Celeron、Celeron Inside、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、Xeon、Xeon Phi、Xeon Inside、Ultrabook、Iris は、アメリカ合衆国および/またはその他の国における Intel Corporation の商標です。

※本ページに記載されているシステム名、製品名は、一般に各開発メーカーの「登録商標あるいは商標」です。