働き方

テレワークは「働き方改革」を成功させる企業戦略

執筆者:田澤 由利

労働力不足、制約社員の増加、人口の都市集中という社会背景の中、企業にとって深刻な「人材不足」時代がいよいよ本格化する。

2016年に安倍首相が「働き方改革は次の3年間の最大のチャレンジ」と表明するなど、政府は「働き方改革」を強く推進しているが、「長時間労働の是正」を実践する中、企業はこの状況をどう乗り越え、どう成長できるのか。そんな不安を抱いている企業経営者は少なくない。また、部下の労働時間を削減しつつ、生産性の向上を求められる管理職の方は、途方に暮れているのではないだろうか。

特に、「働き方改革」の重要施策として位置づけられている「テレワーク」に至っては、

「自宅で仕事をされたら管理できない」

「業務が限られるので生産性が低下する」

「部内のコミュニケーションがとれない」

などの不安が満載で、何からはじめればいいのかわからない。

本記事では、そんな経営者・管理職の皆様に、「働き方改革」を成功させるための方向性、テレワークに対する基本的な考え方をお伝えしたい。

テレワークとはICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方
テレワークとはICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方

※テレワークとは、「tele」=離れたところで、と「work」=働く、を組み合わせた造語で、総務省では 「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」の主に3つの業務形態を挙げている。

長時間労働が成り立つ時代は確かにあった

「昔は、残業は当たり前だったのに・・・」

ふと、自分の時代を思い出す管理職世代は少なくない。「24時間、戦えますか」というビジネスパーソン向けのCMが放送され、長時間労働が評価された時代は、確かにあった。今では非難の対象になりそうだが、筆者は実は、「間違っていた」とは思っていない。

しかし、時代は変わった。バブルがはじけ経済が低迷し、少子化が30年以上続く中、同じ「働き方」ができない時代が来たのだ。若者が減り、ひとりっ子が増え、平均寿命が延びる中、「時代が違う」ことを認めざるを得ないだろう。

一方で、子育てや親の介護で残業できない、あるいは短時間勤務といった「制約社員」が増えている。より多くの人が働き続けることができるように、長時間労働を是正しよう。これは、今の時代において、必然の流れなのだ。

しかし、労働時間を単純に削減すると「生産量」も減る。企業経営者や管理職に求められるのは、時間が減っても生産量を維持、さらには増加させるという、非常に難しい課題となっている。

「時間あたりの生産性向上」だけでは追いつかない

「時間あたりの生産性をどう向上させるか。」

会議時間の削減、業務フローの見直し、IT化による省力化など、これまでの「仕事の仕方」を見直すことが最優先の重要事項となる。

しかし、若い世代において「育児休業中」や「短時間勤務中」の社員割合が増え、管理職世代においては「介護離職」をする社員が増える。そこで重要になるのが「制約社員の労働参加率の向上」である。

今、「時間あたりの生産性向上」のために、企業全体の業務改革(BPR)に取り組んでいる企業は少なくない。しかし、それだけを意識して推進していると、いずれ2つめの重要課題「制約社員の労働参加率」にぶつかる。

社員ひとりひとりの「時間あたりの生産性」を高めても、その社員が働きにくい状況(制約社員)になってしまっては、元も子もない。極端な言い方をすれば、どんなに生産性を高めても、これまでのように「毎日、朝から晩まで、会社に来る人しか雇わない」という方針では、いずれ行き詰まるということだ。もちろん、より多くの社員を雇うことで、労働時間をカバーすることは可能だが、人材不足時代において、そのようなことができるのは、体力のある大企業だけである。

そこで、重要になるのが、時間や場所を有効に活用できる働き方「テレワーク」だ。育児休業からの早期復帰、短時間勤務のフルタイム化、介護離職の防止、いずれも、テレワークという働き方抜きでは対策を講じられない。

効果を得るためのテレワーク導入の考え方

筆者の会社は、10年前からテレワーク(特に在宅勤務)を専門に、企業向けのコンサルティングを実施してきた。その過程で気づいたのは、多くの企業が、育児休業や短時間勤務、フレックスタイム制度などのひとつとして、「在宅勤務」制度を社外からのアドバイスなしに社内検討だけで導入してきているという事実だ。その結果、導入済みの企業でも、さまざまな課題にぶつかり、利用者が増えない、期待した効果が得られない、広げることができない状況に陥っている。

テレワーク導入でぶつかる課題
テレワーク導入でぶつかる課題

そこで、テレワーク導入済みだが停滞している企業、本気の効果を目指す導入予定企業に対し、弊社が必ず伝えている「考え方」がある。

「テレワークでは仕事が限られる」と思い込んでいると失敗する。「テレワークでもできるように仕事のやり方を変える」ことが重要である。

テレワークを成功に導く考え方
テレワークを成功に導く考え方

つまり、テレワーク導入は、単なる制度やシステムの導入ではなく、テレワークを意識した「BPR(業務改革)」により、その効果を享受できるということだ。

ここで、先に書いた話とつながる。「時間あたりの生産性向上」における「BPR」の重要性は多くの企業が理解し実施しようとしている。そこに、「テレワーク」という視点を加えることで、二度手間ではなく、これからの時代に対応し、企業を成長させる「働き方改革」を実施できるのだ。

「働き方改革」を成功させ、企業が成長するためには・・・

テレワークのコンサルティングの中で重要な4つの柱がある。

  • 制度構築
  • システム導入
  • 業務改革(BPR)
  • 意識改革
テレワークコンサルティングの4つの柱
テレワークコンサルティングの4つの柱

現状としては、「制度構築」「システム活用」を中心に考えて導入を進めている企業が多い。もちろん、制度の構築とICTシステムは、働き方改革において必須事項である。しかし、それだけでは、課題や不安を解決することはできない。

「業務改革」「意識改革」と共に進めることで、制度の利用、ICTシステムの活用が進み、結果として、「人材確保」「離職防止」「生産性向上」といったメリットを企業が享受することができる。

一方で「長時間労働の是正」については、「制度構築」「システム活用」よりも「業務改革」「意識改革」 に力が入れられている。

これから「働き方改革」に取り組もうとしている企業の方へ、強く、アドバイスさせていただきたい。「時間あたりの生産性向上」と「制約社員の労働参加率の向上」は、上記4つの柱において、同時に、両方を意識しながら進めるべきである。

テレワークの導入により、制約社員の労働参加率の向上と繁閑対応体制の構築が可能となる

また、さらに言えば、これからの経済は「右肩上がり」とは限らない。ICTなどの技術革新のスピードも、従来の比ではなくなる。これからの景気の波、技術の波に対応できる「繁閑対応体制の構築」も同時に進めると、より効率的である。さらに、今後は「兼業・副業」の可能性も想定されている。

これらを実現させる働き方のベースとして、「テレワーク」がある。「働き方改革」に取り組まなければ生き残れない今、「テレワーク」導入は必須だ。

VAIOが提案する働き方改革

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