働き方

週休3日制・週4日勤務は現実的なのか? メリット、デメリット、事例とともに解説

週休3日制・週4日勤務は現実的なのか? メリット、デメリット、事例とともに解説

働き方改革の普及とともに、ワークライフバランスの確保や多様な働き方を推進する企業が増加しています。テレワークやフレックスタイム制、時短勤務制度などが代表的ですが、最近注目を集めているのが「週休3日・週4日勤務」です。
多くの人は「羨ましい!」と感じるかもしれませんが、マネジメント層や経営層は、「そんなの実現できないよ!」という反論があるでしょう。

今回は、「週休3日・週4日勤務」に焦点を当て、企業の導入事例とともにその実現性について探っていきます。

週休3日制が注目される理由

週休3日制・週4日勤務は現実的なのか? メリット、デメリット、事例とともに解説_01

まずは、「週休3日・週4日勤務」が“注目”されている根拠を示します。厚生労働省の平成29年度の「就労条件総合調査」によると、「何らかの週休2日制」を採用している企業が87.2%。そのうち「完全週休2日制」を採用している企業が46.9%。「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」を採用している企業が6.0%となっていました。平成28年度の調査では5.8%となっており、微増していることがわかります。さらに1,000人以上の企業規模で見ると、この割合は11.1%(平成28年度は8.8%)になります。
※厚生労働省「就労条件総合調査」

大企業では、実に10社に1社以上が「完全週休2日制」以上の休日制度を採用しているということです。これは「年5日の有給休暇取得義務」や「休み方改革」の概念とも無関係ではなく、長時間労働の是正やワークライフバランスの確保が目的です。

次に実際の企業の「週休3日」の導入事例を紹介します。それぞれ内容は異なりますが、実像が見えてくるはずです。

週休3日制の導入事例

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「週休3日制」と言っても、その中身は実に多様です。シンプルに1週間に3日休めばいいわけではありません。すでに「週休3日制」を導入している企業の制度をいくつか紹介します。

「えらべる勤務制度」/ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は、2017年4月より、小学生以下の同居の子を養育する従業員や家族の介護・看護が必要な従業員を対象に、土日に加えて1週あたり1日の休暇を取得できる「えらべる勤務制度」をスタートしています。ただし、取得した休日分は無給になります。今後はAIやRPAなどの導入による業務効率化を促進し、全従業員を対象にした制度の実現を進めています。
※ヤフー株式会社「えらべる勤務制度」

「ワークライフチョイス」/日本マイクロソフト株式会社

以前より経営戦略の中核に「働き方改革」(ワークスタイルイノベーション)を据えていた同社は、2019年8月に「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」と題し、週休3日制のトライアルを実施します。2019年8月のすべての金曜日を休業日とし、全オフィスをクローズ。さらに休みを効果的に活用する「支援プログラム」も用意。自己成長やファミリーケア、社会貢献をした場合、最大10万円の補助金も支給されます。“よく働き、よく休み、よく学ぶ”を実践できる制度となっており、2020年8月も実施予定です。

※日本マイクロソフト株式会社「ワークライフチョイス チャレンジ2019夏」

「インプットホリデー」/株式会社電通

株式会社電通で2016年度からスタートした「インプットホリデー」は、全社一斉に月1回週休3日となる制度です。その制度名の通り、従業員がインプットをする日と定義づけられています。自己成長等の活動だけが義務付けられているわけではなく、体を休めたり、コンディションを整えたりするのも問題ありません。業務でより良いアウトプットをするために、インプットをする日となっています。
※株式会社電通「インプットホリデーの継続導入について」

勤務時間を1日8時間から10時間へ/佐川急便株式会社

佐川急便株式会社は、2017年に一部地域で週休3日での正社員とドライバーの採用を始め、激務とされる運輸業での取組みが話題となりました。驚くべきは、給与水準は週休2日の従業員と変化がないこと、兼業も可能ということです。ただし、所定労働時間は8時間ではなく10時間となります。
※日本経済新聞「佐川が週休3日制 運転手確保、兼業も容認 」
※産経ニュース「導入目立つ「週休3日制」に期待と不安 サービス残業増える?懸念も…」

ワークライフバランスの確保/株式会社ファーストリテイリング

ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングも、2015年から週休3日制を導入しています。佐川急便と同様に変形労働制を採用しており、1日10時間✕土日を含む週4日の勤務で週40時間の勤務スタイルとなるため、週休2日制の正社員と給与は変わりません。1日の勤務時間が長くなりますが、週に3日休めるので、ワークライフバランスの確保にも直結します。
※ユニクロ(UNIQLO)「週休3日制とは?」

このように、休んだ分は無給になるケース、変形労働制で週の労働時間を調整するケース、一定の期間だけ週休3日なるケースなど単純に労働時間が減るわけではありません。次にメリットとデメリットを解説します。

週休3日制のメリットとデメリット

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週休3日制のメリット・デメリットは、企業側と従業員側で異なります。それぞれの立場から解説をします。

企業が週休3日制を導入するメリット・デメリット

【メリット】
●従業員満足度の向上
●多様な働き方の推進
●人材の確保、人材流出の低減
●企業イメージの向上
●従業員のタスク管理、タイムマネジメント能力の向上
●新たなイノベーションへの期待

従業員は出産、育児、介護などライフステージを迎えたときに、安心して働ける環境を求めています。また新卒一括採用や終身雇用などの旧来型の雇用体系が崩れ、労働人口が減少しつづける現在、多様な働き方を可能としている企業は、従業員満足度の向上や人材流出を防ぐことができます。

また週休3日制となり勤務時間に制限が生まれることで、従業員のタスク管理やタイムマネジメント能力の向上、業務効率化の意識付けが可能となります。また休みの日に従業員が業務に関係するインプットをすることで、その知見を企業へ還元するなどイノベーションの創出にも期待できるでしょう。

【デメリット】
●1日あたりの業務の増加
●コミュニケーション不足
●職場内の不公平・不満の噴出
●就業規則、人事評価制度などの見直し

どのような制度か、にもよりますが、営業日が減った分だけ1日あたりの業務量がそのまま増えるケースもあります。また同時に従業員間でのコミュニケーションロスも自然と増えることが考えられます。

全従業員を対象とした週休3日制では、日本マイクロソフト株式会社のように期間を限定するケースがありますが、佐川急便株式会社のように人手不足の地域に限定したり、介護・育児などを行う従業員に対象を限定する場合は、全社的に納得感がある制度にする必要があります。制度を利用している従業員が孤立したり、他社員に気を遣うようなことになってしまっては意味がありません。

導入の目的を明確にして、社内にしっかりとメッセージングをすることを最初の第一歩とし、就業規則や人事評価制度を見直す必要もあります。

従業員が週休3日制を利用できるメリット・デメリット

【メリット】
●介護・育児などの時間が確保できる
●家族や友人と過ごす時間を増やせる
●ストレスの軽減
●スキルアップなど成長に時間を費やせる

従業員のメリットは、ワークライフバランスが確保できる、という点に尽きるでしょう。介護・育児はもちろん、趣味の時間や資格の取得などのスキルアップに空いた時間を有効活用でき、オンオフのメリハリをつけることが可能です。

【デメリット】
●賃金の減少
●1日あたりの労働時間増加

デメリットと捉えるかは各人の価値観にもよりますが、制度によっては週休3日制により賃金が減ることもあります。賃金が減らないケースでは、1日あたりの所定労働時間が増加することがほとんどです。介護・育児などがある場合は、一般的に満額の賃金が支払われることが少ないため、あまりデメリットを感じることはないかもしれませんが、ライフスタイルによってはそれをデメリットと受け取る方もいるでしょう。

自社にあった休み方改革の選択を

週休3日制・週4日勤務は現実的なのか? メリット、デメリット、事例とともに解説_04

週休3日制の概要やメリット、デメリット、企業の導入事例を紹介しました。単純に良いことばかりではありませんし、導入するケースでもかなり限定的な条件や環境、目的が必要となることをご理解いただけたのではないでしょうか。

2019年4月1日から「年次有給休暇取得の義務化」がスタートし、働き方改革関連法も順次施行されています。このような大きな変革のなかで、従業員満足度向上やワークライフバランスの確保のため、独自のユニークな休日制度を設けている企業も多くあります。また柔軟かつ多様な働き方改革を実現するために必ずしも週休3日制は必要ではありません。

目的を明確にして、従業員が望む働き方を実現するための制度なのか、十分に検討しましょう。
◎内閣府が推進する「休み方改革」とは? 事例や働き方改革との違い、キッズウィークなどの施策について
◎ワークライフバランスを実現するための取り組みを企業の事例とともに紹介

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

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いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた
一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

主な内容

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
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