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働き方改革の普及により重要性を増しているのが、デジタル技術を活用して柔軟な働き方を実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)です。DXの推進は、生産性の向上につながるだけでなく、新型コロナウイルスによる新しい生活様式を実践していくうえでも重要なポイントになります。
なかでも、これから迎えるwithコロナ/afterコロナ時代に導入必須ともいえるのが、さまざまな業務をデジタルプラットフォーム上に集約する「デジタルワークプレイス」です。
他人事ではない、デジタルワークプレイスの概要と注目背景
デジタルワークプレイスとは、会議やチャット、タスク管理、ファイルの共有といった日々の業務を共通のデジタルプラットフォーム上で行うという考え方です。インターネットにアクセスさえできれば仕事ができるため、時間や場所にとらわれない働き方が可能になります。本項では、働き方改革、DX、そしてwithコロナ/afterコロナという3つの視点からデジタルワークプレイスの必要性について紹介します。
「働き方改革」制度の導入で満足していませんか?
2019年4月より順次施行されている働き方改革関連法案。デロイト トーマツ グループが実施した「働き方改革の実態調査 2020」によると、すでに9割の企業が働き方改革に着手していますが、実際に効果を感じている企業は約5割にとどまっており、思ったように働き方改革の効果が出ていない様子が伺えます。
働き方改革がうまくいかない大きな理由として、働き方改革に取り組むこと自体が目的になってしまっていることがあげられます。本来、働き方改革は従業員の働き方を改善し、ライフワークバランスの実現や労働生産性の向上を目指すものです。働き方改革でよく例にあがる残業時間の削減やテレワークなどは、あくまでも目的を達成するための手段に過ぎません。目的が果たせないのであれば、強引に導入するのはむしろ現場の負担を増やすことになり、逆効果となる恐れがあります。
・場所や時間に縛られない、デジタルワークプレイスの働き方
では、どのように働き方改革を進めていけばいいのでしょうか。鍵を握るのがデジタルワークプレイスです。従業員を「場所」や「時間」から解放してくれるデジタルワークプレイスを導入することで、現場は自然な形で「残業の削減」や「テレワーク」が可能となり、その結果、会社全体の労働生産性向上やライフワークバランスの実現といった本来の目的を果たすことができるでしょう。
「DX」柔軟な働き方とデジタルシフトが鍵
デジタルトランスフォーメーション(DX)もすでに認知が拡大しているキーワードです。ただし、本当の意味でDXに成功している企業は、まだそれほど多くないのが現状。その理由のひとつに、DXを単に「デジタル化」という意味でとらえてしまうことがあげられます。
ツールを導入して業務をただデジタルに置き換えただけではDXを実現したとはいえません。デジタル化により組織の変革を促し、新たなビジネス創出や価値創造につなげることがDXの本質です。
DXを実現するためには、デジタル技術の導入からさらに一歩考えを進める必要があります。たとえば、チャットによりコミュニケーションを活性化して部門間の連携を促したり、業務状況やタスクを社員の共有プラットフォーム上で可視化して生産性を上げたりといった取り組みが重要です。
◎デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?事例とともに実現のポイントを紹介
・デジタルワークプレイスがDXを進める
そういった取り組みを行う場として導入すべきなのが、やはりデジタルプラットフォームを活用したデジタルワークプレイスです。デジタルプラットフォームはDXにつながるさまざまな機能を備えており、導入するだけで会社全体のシステム・ツールを連携させることができます。結果としてレガシーなシステムからの脱却も進み、政府が問題視している「2025年の崖」へも対応した、DXの実現に向けて大きく前進できるでしょう。
◎“2025年の崖”を要約。経済産業省のDXレポートの対策とは?
「Withコロナ / Afterコロナ」予期せぬ緊急事態時にも企業活動を進める
新型コロナウイルスの影響で、テレワークが急速に普及しました。働き方改革の一環としてコロナ以前から取り組んでいた企業もありましたが、これまで導入を見送っていた企業も急いでテレワークの導入を進めたことでしょう。この流れは今後も止まらず、テレワークは新しい生活様式における一般的な働き方として定着していくものと予測できます。
しかし、ただ在宅で仕事をすればテレワークがうまくいくわけではありません。オフィスにいなくても普段と同じように業務をこなすためには、これまでアナログだった作業をデジタル化することが必要ですし、セキュリティ対策もしっかりと施さなければなりません。
・デジタルワークプレイスが快適なテレワーク環境を実現する
従業員が快適に業務を行うためには、「リアルのオフィスと同等なデジタルのオフィス」をネットワーク上に設ける必要があります。デジタルのオフィスとはつまり、デジタルワークプレイスです。
テレワークは一朝一夕で実現できるものではありません。仮に急いで導入をしたとしても、その後デジタルワークプレイスを導入するなど万全の体制を整えていく必要があります。クラウドの活用によって、データの保存場所が増え、いつでもそのデータを使用できる環境が構築できれば、予期せぬ緊急事態時にも対応でき、企業のBCPを進めることにつながります。
◎緊急時に事業を守る「BCP」の策定手順と「3-2-1ルール」
◎DR(ディザスタリカバリ)とは? BCPとの違いや実現のポイントを紹介!
デジタルワークプレイス推進の課題と解決策
具体的にデジタルワークプレイスの導入をどのように進めていけばいいのでしょうか。さまざまなデジタルワークプレイスが各社から提供されていますが、円滑に運用するためにはインフラまわりの整備やセキュリティ対策などが不可欠です。
ここではデジタルワークプレイス導入の課題と、その解決策について説明します。
円滑な情報共有とコミュニケーション、勤怠管理は?
withコロナ/afterコロナの世界ではテレワークが前提の働き方が一般的になると予想されます。オフィスで顔を合わせることが少なくなると、懸念されるのがコミュニケーションロスによる情報共有不足や人間関係の希薄化です。
デジタル上でも従業員同士のつながりを保ち、コミュニケーション量を確保するためには、チャットツールやWEB会議システムなどを導入するのが望ましいでしょう。メールでも連絡はとれますが、メールの性質上カジュアルなやりとりには向きません。日常的な会話や簡単な報告、雑談などはチャットを活用し、顔を合わせての話し合いにはWEB会議を用いるなどの使い分けがベストです。
また、勤怠管理システムも新たに整備する必要があります。テレワークやフレックスタイムなどの導入で勤怠が複雑化すると、今までのようなタイムカードによる勤怠管理では難しい面も出てくるでしょう。クラウド型の勤怠管理システムや生体認証による勤怠管理システムなど、さまざまなサービスが登場しているので、自社に合ったものを導入するのがおすすめです。
BYOD・シンクライアントPCで従業員が使用するデバイスを確保
テレワーク、デジタルワークプレイスでは、社員が使うPCをどうするのかという問題も出てきます。ノートPCを支給していた会社はある程度スムーズにテレワークへ移行できるかもしれませんが、デスクトップPCの場合は持ち帰るわけにもいきません。新たにテレワーク用のデバイスを支給することになります。
そこで活用を一考したいのがBYODです。BYODとは「Bring Your Own Device」、つまり個人が所有しているPCやスマートフォンなどのプライベート端末を業務でも使うことをいいます。これなら会社側としても、テレワーク移行のコストを下げることができます。もちろん、従業員のなかにはプライベート端末を業務に使用することをよしとしない者もいるでしょう。そういった従業員に対するケアは丁寧に行う必要があります。
◎BYODとは? 企業が知っておくべきメリット・デメリット、セキュリティ対策やガイドラインを解説
テレワークでは、セキュリティ対策も重要です。自宅や外出先での作業となるとデバイスを紛失する危険性もありますし、うっかりマルウェアに感染したとしても情報システム部門がなかなか事態を把握できません。
そこで導入したいのがシンクライアントPCです。シンクライアントとは、ほとんどの処理をサーバで実行し、従業員のデバイスには情報を残さない方法です。シンクライアントなら仮にデバイスを紛失したとしても、重要なデータはデバイス側には残っていないため安心です。
◎シンクライアントとは? VDIとの違いや実装方式、メリットを含め徹底解説!!
◎テレワークで活用したいシンクライアントPC「Windows 10 IoT Enterprise」とは?
安心のネットワーク環境の構築とセキュリティ対策
テレワーク、デジタルワークプレイスの活用時には、ネットワークを介して業務を進めるため、ネットワークに関するセキュリティにも注意する必要があります。有効な手段の一つとして活用したいのがリモートアクセスとVPNです。
リモートアクセスとは、前述したシンクライアントと似た概念で、自宅や外出先などから社内のデスクトップPCやネットワークにアクセスする方法をいいます。このとき、従業員が使うデバイスは社内のデスクトップPCの画面を表示するための単なる「箱」となります。シンクライアントと同じく情報がデバイスに残らないため、盗難や紛失があっても安心です。
ネットワークに関しては、VPNを活用しましょう。VPN「Virtual Private Network」とは、特定の人だけが利用できる仮想の専用線のことです。安全に通信することができるので、場所を選ばず仕事をするテレワークには欠かせないセキュリティ対策といえます。
◎VPNとは?インターネット接続の安全性を高めるVPNについて解説
セキュリティを考える際に重要なのは「ゼロトラスト」の観点です。ゼロトラストとは「信用しない」という意味。「セキュリティに100%の安全はない」ことを前提に、すべてのトラフィックの安全性を検証する考え方です。
クラウドが普及し、あらゆる場所からネットワークへアクセスすることが当たり前となった昨今では、セキュリティ対策のためにもゼロトラストで臨む必要があるのです。
◎ゼロトラストとは? クラウド普及で変わる新しいセキュリティ対策
まとめ
働き方改革、そして新型コロナウイルスの影響により、仕事のスタイルは大きく変革し始めています。新たな社会でビジネスを成長させていくためには、これまで以上にDXを進めていくことが急務となっています。デジタルワークプレイスを導入することでDXを加速し、withコロナ/afterコロナ時代に飛躍を遂げましょう。