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シンクライアントとは? VDIとの違いや実装方式、メリットを含め徹底解説!!

テレワークなど、社外での働き方が拡大する中、よりセキュアな環境を実現できるシンクライアントが普及しています。リモートアクセスやVPNによる安全なネットワーク構築のインフラに伴い注目されるシンクライアントですが、その歴史は古く、活用方法も変化してきました。

シンクライアントの普及背景にはVDI(仮想デスクトップ)の登場が挙げられますが、両者の違いを理解している方は少ないのではないでしょうか?

今回は、シンクライアントが注目されるようになった背景や、VDIとの違い、導入時の注意点を含め徹底解説します。

シンクライアントの歴史と普及背景

シンクライアントを理解するにあたり知っておきたいのがサーバとクライアントの関係です。サーバとは「サービスを提供する側のコンピューター」をいいます。例えばインターネットを通じたECサイト上の買い物、メールの送受信、これらはすべてサーバが多くの情報を処理し、サービスとして提供しています。

一方クライアントとは「サービスを利用する側のコンピューター」を指します。クライアントがサーバとつながり、サーバが提供するサービスを利用します。サービス提供を受けるコンピューター、アプリ、プロセスはすべてクライアントであり、我々が現在利用しているPC・スマホもクライアントの1つです。サーバとクライアントはサービスを利用する際に欠かせないコンピューターですが、その役割の比重をどちらに置くかがポイントとなります。

シンクライアントとは?

シンクライアントとは、サービスを受ける我々ユーザーが使用する端末(クライアント)の機能を最小限にし、多くの処理をサーバで行うシステム分類をいいます。シンクライアント(Thin client)の「シン(Thin)」は「薄い、少ない」という意味で、サービスを受ける際の役割比重の多くがサーバ側にあり、「クライアント(client)」はユーザーが入出力を行えるような最小限のネットワーク機能にとどまっていることに由来します(端末に多くの処理をさせることをファットクライアントと呼びます)。

シンクライアントの歴史は古く、その用語が使われ始めたのは1990年代半ばにまで遡ります。当時のPC(クライアント端末)は機能面では豊富でしたが、価格が高価でした。そこで、機能面を抑え低価格で購入できる端末と、それに付随するシステム構造に注目が集まり、シンクライアントという概念・用語が普及したのです。

しかし、シンクライアントの登場は業界内のパソコン価格全体を低下させ、相対的にシンクライアントを導入するメリットが薄れてしまったために、爆発的な普及にはつながりませんでした。では、なぜ今になってシンクライアントは注目を浴びているのでしょうか。その背景を見てみましょう。

シンクライアントが再注目された背景

著しい普及はされなかったシンクライアント。再注目された背景には当時の「低価格」とはまったく異なるメリットと、デジタル技術の進歩が挙げられます。

セキュリティ対策としてのシンクライアント

2000年代に入り、企業のセキュリティ対策への関心が高まったことで、シンクライアントが再注目されました。シンクライアントはデータ処理やデータの保存などの多くの機能をサーバ側で行うため、クライアント端末にデータがほとんど残らないことを意味します。つまり、万が一端末が紛失したり盗難された際の、情報漏えい防止につながります。また高度情報化社会で、情報(データ)を利用する幅は広がり、価値は向上しました。その結果、データの管理・運用における企業の内部統制が必要となり、サーバ側で一括管理するシンクライアントに注目が集まったのです。

デジタル技術の進歩とVDIの登場

シンクライアントが登場した当時は、サーバの機能、ネットワークの速度、反応速度が遅く実用的ではありませんでした。しかし、デジタル技術の進歩によるネットワーク環境のインフラや、サーバの性能向上から、シンクライアントを実現する多彩な実装方式が登場しました。中でも近年注目されているのが「仮想化技術」を活用したシンクライアントです。仮想化技術の代表例がVDIであり、VDIの登場がシンクライアントという概念・言葉の普及を後押ししたと言えるでしょう。

では、VDIとは具体的にどのようなものなのでしょうか。多彩なシンクライアント実装方式の種類とともに解説します。

VDIとの違いは?シンクライアントの実装方式

シンクライアントとVDIを異なるものと認識している方もいるかもれませんが、実際は同じものです。シンクライアントは我々が多くのサービスを受ける際のシステム分類の 1つであり、VDIはそのシステム環境を構築する際の実装方式になります。つまり、シンクライアントという大きな枠の中に、目的を達成するための手段としてのVDIが存在しているのです。
近年のデジタル技術の進歩からVDIが登場しました。VDIが普及すると同時に、その達成概念であるシンクライアントにも注目が集まったことから、両者の違いを比較するニーズが生まれたと言えます。もちろん、シンクライアントにはVDI以外にもいくつかの実装方法があります。ここからは各実装方式の特徴を見ていきましょう。

シンクライアントの実装方式

シンクライアントの実装方式は、大きく分けて「ネットワークブート型」と「画面転送型」の2種類です。

・ネットワークブート型

ネットワークブート型は、サーバ側に保存されているイメージファイルを使用して、ネットワーク経由でOSやアプリケーションをクライアント端末でブート(利用可能な状態)する方法です。つまり、ここでのサーバはHDDやSSDなどのデータを長期保存するための記憶媒体、ストレージとして機能します。クライアント端末で使用するイメージファイルは単一なため、管理が非常に容易になるメリットがあります。しかし、ユーザーごとに使用する環境が異なる場合、その環境ごとにイメージファイルを用意する必要があり、管理に手間がかかります。また、ネットワークを経由してファイルを使用するため、データ伝送の際にはセキュリティ対策が求められるのです。

・画面転送型

画面転送型は、クライアント端末ではほとんど処理をせず、サーバ側で処理を行います。サーバ側の処理結果の画面がクライアント端末に表示され、クライアント端末では操作指示などの「出入力」のみを行う方法です。画面転送型は、さらに3つの方法に分けられます。

【サーバベース型】

アプリケーションの実行をサーバ側で行い、ユーザー側では複数人で同時にアプリケーションを共有しながら使用できる方法です。クライアント端末ではアプリケーションの操作と処理結果の表示のみを行います。単一のアプリケーションを実行する場合、サーバに求められるシステム要件はそれほど高くないため、コストパフォーマンスが高い方法です。ただし、クライアント端末別にアプリケーションをインストールできないため、アプリケーションに動作不良が起きた場合には、使用しているすべてのユーザーに悪影響を与える可能性があります。

【ブレードPC型】

ブレードPCと呼ばれる超小型のPC端末をマシンルームに全ユーザー分設置し、各ユーザーは自身のブレードPCごとにクライアントPCを起動させ、OSを利用する方法です。ユーザー数に比例して、用意するブレードPC数は増えるため、コストが高く管理にも手間がかかります。しかし、クライアント端末1つにつき1台のPCを使用できるため、高性能なスペックが要求される処理に向いています。

【VDI(デスクトップ仮想型)】

サーバ上に仮想のデスクトップ環境を構築し、クライアント端末から利用する方法です。上記のブレードPC型では、ユーザー分の物理的なPCを用意する必要がありましたが、VDIでは仮想技術を用いて、1つのサーバでクラウド上に複数の仮想マシンを用意するだけです。大幅なコスト削減と、管理性の向上につながります。また仮想マシンはクライアント端末ごとに環境を構築するため、アプリケーションの動作不良による影響が全ユーザーに及ぶことが少ないのもメリットです。ただし仮想アプリケーションにはライセンス費用が発生し、仮想環境の管理も求められます。

VDIの普及要因は、何と言っても物理的な実機を必要としないことでしょう。ネットワーク環境さえあれば、どのクライアント端末からでも自分用の画面や環境を使用できます。そのため社外で業務を行うテレワークや、席を固定しないフリーアドレスなど、近年注目される多様な働き方にぴったりなシンクライアント実装方式なのです。

シンクライアントの導入メリットは?

では改めて、シンクライアント導入のメリットを紹介します。

セキュリティ強化とBCP対策

シンクライアントはアプリケーションやOSを使用した際のデータがサーバ側に保存され、クライアント端末に表示される情報はあくまでイメージ画面となっています。サーバとの接続を切れば閲覧できなくなるため、個人情報や顧客情報などの漏えいを防ぎます。ただし、テレワークなど社外でのシンクライアント活用にはインターネットへの接続が必要になるため、リモートアクセスやVPNを導入し、さらなるセキュアなシステム環境の構築をおすすめします。

また近年、災害などの予期せぬ事態が起きた際に、データの損失や情報漏えいを最小限に抑え早期復旧を図る事業計画「BCP(Business Continuity Plan)」が重要視されています。中でも企業にとって重要な経営資源である情報(データ)の保存先の選択・バックアップは、事業継続に欠かせない対策です。社内の業務用端末や実機で存在するサーバにデータを保存した場合、火事や地震といった大災害によって、すべてのデータを一気に失う危険性があります。そこでVDIを活用すれば、データはクラウド上に保存されるため、物理的な障害によるデータ損失を防ぎます。場所や端末を問わないことからも、家にいながら事業の早期復旧が可能です。

参考記事:テレワーク実現に必須となるリモートアクセスとは?

BYODの推進

私用のデバイスを業務でも利用し、コストを抑え効率的にビジネスを進めるBYOD。端末の紛失や個人情報保護の観点から、導入には多くの懸念点がありました。しかし、シンクライアントであれば、私用のデバイスから仮想デスクトップを呼び出し、自動でサーバに切り替わるため、個人情報を守りながら情報漏えいも防ぎます。

参考記事:BYODとは? 企業が知っておくべきメリットとセキュリティリスクを解説

クライアント端末の一括管理と運用管理の負担軽減

1つのサーバで複数のクライアント端末を一括管理します。OSやアプリケーションの使用には、クライアント端末へのインストールを必要とせず、サーバに接続し利用するため、個々の端末での運用管理が不要となり、管理コストの軽減につながります。システムを利用する際の端末や場所への制約が軽減されれば、ユーザーの効率的なデータ活用、生産性の向上を促進させるでしょう。

シンクライアント導入時の注意点

シンクライアントの導入時には、環境整備やコスト面などをポイントに、4つの実装方式から比較検討しましょう。

実装方式の中でも、現在はVDIに多くの注目が集まっていますが、高性能なグラフィック処理等を必要としたり、アプリケーションとの互換性を重視する場合にはブレード型PC。単一のアプリケーションのみの使用であれば、サーバーベース型を導入した方がコストを抑えることができます。まずは費用対効果を意識しながら、シンクライアントの導入で何が可能となり、どんな効果を生むのかを明確にしましょう。

まとめ

今回はシンクライアントが注目される背景や概念、実装方法の種類を紹介しました。実際に企業へ導入する際には、機能性・コスト面を踏まえ、ユーザー環境に適した実装方法を選択しましょう。中でもVDIは、企業の多様な働き方に伴い分散する恐れのあるクライアント端末の利便性を向上させ、よりセキュアなシステム環境の構築が期待できます。今後さらなる進歩が予想される仮想化技術を考慮した上で、事前の生産性向上・効率化に向けた投資が、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるでしょう。

参考記事:デジタルトランスフォーメーションとは? ~その定義と事例~

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