働き方

スマートワークとは?推進のメリットを事例とともに紹介

2019年4月1日から順次施行されている「働き方改革関連法」。多様な働き方の実現と生産性向上を目的に、多くの企業でさまざまな取り組みが行われています。

この記事で紹介する「スマートワーク」は、働き方改革に欠かせない要素である、多様な働き方を採用したワークスタイルを指します。「働き方改革」という名称が広く使われる前から、業務効率化や多様化を目指し“賢く働く”概念をスマートワークと呼び、一部の企業では導入されていました。

働き方改革への取り組みをまだ始めていない企業も、まずは基盤となるスマートワークを理解し、「なぜ取り組むのか」を意識しながら、自社に合った制度や業務形態の導入を検討してみてください。

◎働き方改革とは? わかりやすく背景や目的を解説!

スマートワークとは?

スマートワークは、労働人口減少や長時間労働といった日本が抱える課題を背景に、限られた従業員が短時間労働で発揮できる労働生産性の向上を目的にしています。そのために必要なのが「賢い=効率的」な「仕事=働き方」です。

具体的には、ICT技術を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方をいいます。同じような定義の取り組みとして「テレワーク」が挙げられますが、スマートワークでは業務における「働き方」以外にも「働く人」を重視しています。スマートワークの対象は従業員1人ひとりの多様性にあり、男女の格差をなくし均等な評価をする制度などが求められます。

短時間労働とは違う、成果の考え方

スマートワークを理解するにあたり注意したいのが「時短勤務」とは異なる点です。単に働く時間を短くするだけでは、労働生産性の向上にはなりません。重要なのは、それぞれの業務に適した能力を持つ人材が、適した時間や環境で働いて成果をあげることです。多様な働き方の促進は、環境の異なるさまざまな人材が「業務量」に応じた正当な評価を受けることでもあります。つまりスマートワークには、すべての従業員が正当な評価を受けられる人事評価制度の構築、ICTツールの整備、環境づくりが重要です。

スマートワークのメリット

では、企業にとって、スマートワーク導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

労働生産性の向上

ICT技術の活用により、通勤などの無駄な時間・コストを削減した効率的な働き方を実現できるようになりました。たとえば、持ち運びが便利なノートPCやインターネット環境が整えば、必ずしも従来のようにオフィスへ出社して決められた席で業務をする必要はなくなります。テレワークやサテライトオフィスなど個人のライフスタイルに合わせた働き方が可能になれば、場所や時間に縛られずにストレスフリーな環境で業務に集中でき、労働生産性の向上につながります。

ダイバーシティ経営による企業の活性化

ダイバーシティとは、性別・人種・宗教・LGBT・ライフスタイルなどさまざまな人材を企業が受け入れ、多様性を活かして企業の成長や発展を促す取り組みをいいます。日本では労働人口の減少を補う人材の確保として近年注目を集めています。多様な価値観を持つ人材が企業で働き、アイデアを出すことで、これまでにないイノベーション創出が期待されます。実際に元資生堂の山際清子さんは、資生堂が女性に化粧品を売る企業にもかかわらず、過去には意思決定層にほとんど女性がいなかったと指摘。女性のニーズに応えるには女性の意見が重要であることを「Work x IT」のインタビューで答えてくれました。

◎女性活躍・ダイバーシティ経営が競争力を高める。元資生堂の山極清子氏が語る、本当の働き方改革について

ワークライフバランスの実現とモチベーションの向上

スマートワークを導入し業務形態が多様化すれば、よりプライベートな時間の調整が可能になり、ワークライフバランス実現につながります。仕事もプライベートも充実することで従業員の会社への満足度が上がり、結果的にモチベーションの向上が望めます。
【参考】ワークライフバランスを実現するための取り組みを企業の事例とともに紹介

スマートワークを実現する働き方・制度

企業がスマートワークを導入する際に、効果が期待できる具体的な取り組み・働き方とはどのようなことなのでしょう。

テレワーク

時間と場所にしばられないという点で、最もスマートワークの概念を反映させた働き方の1つがテレワークです。代表的なのが在宅勤務。ICT技術の活用により、介護や育児で出社できない方も効率的に働けます。また個人の事情で仕事を続けられなかった従業員の離職を防ぐ効果も期待できるでしょう。外勤が多い職種の方も営業先の近くで作業できるなど、移動時間を削減できるというメリットが生まれます。
◎テレワークとは?「働き方改革」を推進する一手

フレックスタイム制

フレックスタイムとは、始業時間と終業時間を従業員が自由に設定できる勤務形態のこと。個人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能になります。出勤義務の時間帯であるコアタイムの設定をしている企業が一般的ですが、最近はコアタイムがないスーパーフレックスを採用している企業もあります。従業員の裁量で勤務時間を決めるため、仕事への意識向上・自己管理に効果があり、ワークライフバランスの確保にもつながります。

WEB会議やチャットでのコミュニケーションツールの活用

上記で説明したテレワークを推進するためにも、WEB会議やビジネスチャット、グループウェアなどは必須のツールといえます。離れた場所からでも会議に参加できるため、わざわざ出社する必要がなく、無駄な交通費・時間の削減による生産性向上が期待されます。まずは簡易的に使用できるチャットの導入が「はじめの一歩」と言えるでしょう。
◎グループウェアとは? 導入メリットや種類を徹底解説

スマートワーク導入のポイント

スマートワーク導入を検討しても、導入によって成果が出なければ意味がありません。ここでは、導入時のポイントや注意点を3つ紹介します。

セキュリティ強化

テレワークなど社外での作業には情報漏えいのリスクが伴うため、セキュリティ対策が欠かせません。そのため、従業員が使用するPCやネットワークの管理を徹底し、不正アクセスの制御などが必要になります。自社で扱う情報を管理し、リスクが生まれるケースを把握しておきましょう。
◎~テレワークに潜むリスク~ テレワークを活用! でもその前にセキュリティで押さえるべきポイントを学ぶ

業務管理やルールの徹底

スマートワークの導入で多様な働き方をすすめることは、従業員の業務状況や勤怠の管理が複雑化するというデメリットをはらみます。改善策として、離れた場所にいても業務状況やスケジュールを管理できるICT技術の活用が挙げられます。上記で紹介したチャットツールやグループウェアを用いた定期的なコミュニケーション、勤怠のルール化、業務形態に応じた評価制度の見直しを徹底しましょう。

費用対効果の把握

ICT技術導入によるコストも重要なポイントです。テレワークを可能にするノートPC・コミュニケーションツール、セキュリティ強化のための通信環境の整備、業務・勤怠管理システムなどのコストが考えられます。一方で、ICT技術の導入は交通費や残業代の削減など長期的な効果が見込めます。初期導入だけでなく将来まで見据えた費用対効果を考慮し、導入を検討しましょう。

スマートワークの事例

スマートワーク導入によって働き方改革が進み、多様化する働き方を実現した企業の具体的な取り組みを紹介します。

「日経Smart Work大賞2019」大賞/サントリーホールディングス株式会社

全上場企業・有力非上場企業を対象に、スマートワーク経営を実施して持続的に成長する企業を表彰する「日経Smart Work大賞2019」にて、大賞を受賞したサントリーホールディングス株式会社。育児や介護を支援する制度に加え、柔軟な働き方を可能にするコアタイムのないフレックス勤務やテレワーク勤務を導入。ロボットを活用した業務の自動化にも積極的に取り組んでいます。

【取り組み内容】

フレキシブルな働き方の推進
コアタイムを原則廃止したスーパーフレックス勤務、10分単位での利用を可能にしたテレワーク勤務(2017年の利用者は4845名で、全社員の約8割が利用)を進めています。

業務効率化の推進
高性能TV会議、WEB会議、タブレットなどの端末、RPAの活用や、「働き方見直しハンドブック」を活用した各種ルール等の見直しを行っています。

働き方改革ナレッジサイト「変えてみなはれ」
サントリーグループでは、働き方改革推進につながるナレッジを発信・共有するイントラサイトを開設しています。サントリーグループ15社、7000人の従業員を対象としており、働き方の工夫や個人の実績などの好事例を素早く共有することで、社員一人ひとりが働き方の見直しを意識できる環境を構築しています。

参考サイト:サントリーグループのCSR「ワークライフバランスの推進」

売上生産性4.6%アップ/株式会社リクルートスタッフィング

2013年に、「男女の別なく共に活躍できる環境作り」を目指し、いち早くスマートワークを導入した株式会社リクルートスタッフィング。導入前の2012年と導入後の2014年を比較した結果、1日あたりの労働時間は3.3%ダウン、1時間あたりの売上生産性が4.6%アップしました。また深夜労働時間は86%減少し、休日労働時間も68%減少するなど、スマートワークの導入によって、生産性の向上と働きやすい環境づくりを成功させています。

【取り組み内容】

はたらく育児を支援する「iction!」など制度が充実
「妊娠・出産で辞めなくてすむ」「育児と仕事の両立によるストレスを減らす」「無理なく始められる仕事をつくる」の3つを推進するプロジェクトである「iction!」は、女性の就業促進はもちろん、すべての人が輝ける世界を目指しています。そのほか、将来の家計を予測できる無料ツール「みらい家計シミュレーション」、妊娠時から出産後の職場復帰を応援・支援する「カムバ!」、限られた時間でも専門性のあるスキルで活躍できる働き方の支援「ZIP WORK」など多彩な制度があります。

ダイバーシティ推進プロジェクト「Be a DIVER!」
「Be a DIVER!」は、アイデンティティ(人種・性別・年齢・宗教)や、ライフステージ(育児・介護・働き方)などの多様性を組織に取り入れ、個人がより活躍できる職場づくりを推進するプロジェクトです。多様性に関わるあらゆる課題の解決や知識の共有をテーマとする活動を行なっています。

参考サイト(1):働く育児を支援する「iction!」
参考サイト(2):ダイバーシティ推進プロジェクト「Be a DIVER!」

ICT技術を活用した「未来の職場」コマツ

上記で紹介した「日経Smart Work大賞2019」にて、審査委員特別賞を受賞した日本を代表する建設機器メーカーのコマツ。ICT技術を活用した建築現場の生産性向上や作業員の安全確保など、テクノロジー分野での評価はもちろん、ダイバーシティ経営やワークライフバランスを推進しています。

【取り組み内容】
スマートコンストラクション
ICT技術を活用し、建築生産プロセスにおけるあらゆるモノをデータ化することで、現場のすべてを「見える化」するソリューションを提供しています。労働力不足や従業員の高齢化などの課題を解決し、生産性の向上と安全を実現します。

ダイバーシティ経営への取り組み
従業員一人ひとりの成長と個性の融合による良い会社と強い会社の両立を目指し、下記のような取り組みを進めています。

・女性の活躍推進(積極的な女性の採用、出産後の職場復帰を支援する環境整備など)
・障がい者雇用の推進(雇用促進のための組織設立、指導員の配置や執務へのアドバイスなど)
・LGBT対応(社内相談窓口の設置、福利厚生の適用範囲拡大など)

ワークライフバランス
養育・介護などへの各種支援、フレックスタイムや時短勤務、半日単位での有給休暇制度など、柔軟な勤務形態を可能にしています。また、インセンティブ向上への制度として、社内公募制度や国内・海外留学制度を整備しています。

参考サイト(1):コマツの建築現場ICTソリューション「スマートコンストラクション」
参考サイト(2):コマツのCSR「ダイバーシティへの取り組み」

まとめ

働き方改革とともにスマートワークの概念は今後さらに拡大し、取り組む企業の増加が予想されます。いまだ導入を検討している企業は、「スマートワークの導入」を目的にするのではなく「導入して何を改善したいのか」を明確にして、自社にあった制度や業務形態を検討しましょう。そのうえで、必要に応じたICT技術の活用が企業のスマートワーク推進、労働生産性の向上を可能にするのです。

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

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いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた
一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

主な内容

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
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