VAIOのこだわり

ホコリ試験で使うホコリまでも独自開発? VAIOの”そこまでやるか”の品質試験に迫る-安曇野スピリットVol.2-

今回は、安曇野工場の工場で行われている過酷な品質試験の実態をご紹介しよう。製品開発の段階では、必ずこの品質試験が実施され、それにパスした製品だけが正式に世に送り出されることになる。VAIOの「高い品質へのこだわり」と「ものづくりへの情熱」は、品質試験にも貫かれているのである。

VAIOの品質試験の考え方〜耐久性・堅牢性と機能・デザインのバランスを重視

前回の記事で、VAIOのものづくりの特徴として「上流設計」と「ワンストップ」を挙げた。安曇野工場にすべてのリソースが集約されている。つまり、ものづくりに必要なすべての機能がワンストップで提供されているため、製品の企画段階(上流工程)からすべてのエンジニア、関係者が参加できる。それが、「高い品質へのこだわり」と「ものづくりへの情熱」につながっているのだ。
それは、品質試験にも通じている。今回、安曇野工場でVAIOの品質試験の工程を見学できたが、それは驚きの連続だった。試験の内容を雑誌の見出し風に並べてみると次のようになる。どのような試験が行われているか、何となくイメージしていただけると思う。

  • 手作りの試験機器が多数!
  • ホコリ試験で使うホコリも特注品?
  • +60℃〜−40℃まで1秒で変化させる熱衝撃試験!
  • 梅雨時のジメジメ・イライラを再現した過酷の試験
  • 振動試験ではメキシコの悪路を再現!
  • 1枚100万円の特注ガラスを使った試験担当者に優しい実験室とは?
  • 高さ90センチから鉄板に落下! 変色した鉄板がその過酷さを物語る
  • 筐体の4つ角をそれぞれ5,000回ぶつける開発者が最もいやがる過角衝撃試験
  • 3キロの鉄アレイをのせたまま2,500回もこする?
  • 1秒間に6回、丸々2日間、100万回繰り返す打鍵試験

ただし、ただ耐久性・堅牢性だけを追求しているわけではない。VAIOで重視されているのは、機能・デザインとのバランスだ。それを前提に、設計段階で徹底的に繰り返されるのが品質試験なのである。

また、試験用の機器は、基本的に自前で製作される。例えば、ホコリ試験では、2時間で約1年分のホコリを吸い込ませて、動作に支障がないかどうかをチェックする。マシン内の空気の流れを調整し、できるだけホコリが蓄積されないように改良を重ねるが、この試験で使用するホコリも特注品だ。砂ボコリよりもさらに細かい綿状のホコリを使用するが、その成分は企業秘密である。

その他の試験機器も、基本的にはすべてVAIOオリジナルである。それにより、独自の過酷な試験を実現するとともに、製品によって試験内容を柔軟に変えることも可能になるのである。

以下では、実際に見学できた主な品質試験について、画像とともに詳しく説明しよう。そこからは、VAIO流の”こだわり”が見えてくるはずだ。

ホコリ試験

ホコリ試験。2時間で約1年分のホコリを吸い込ませて動作を確認する

ホコリも独自開発された特別なホコリ

VAIOに細かいホコリが付着しているのが確認できる。このホコリも独自開発された特別なホコリなのだ

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温度と湿度を自由にコントロールできる恒温恒湿室にマシンを持ち込んで検査

温度と湿度を自由にコントロールできる恒温恒湿室は、大きい部屋が3つ、小さい部屋が5つ用意されている。見学できたのは、広さ2畳ほどの人間が中で作業できる部屋だ。

見学時の室内の温度は40度、湿度は90%。メガネの筆者が中に入ると、途端に曇って何も見えなくなった。これは、梅雨時の満員電車の状態を再現しているという。こうした過酷な環境下でマシンを実際に操作して試験するのがVAIO流だ。

ただし、人間がずっと中にいると、マシンより先に人間が壊れてしまう。そこで、1枚100万円する特注の耐熱ガラスの付いた出窓を設置し、そこに開けた丸い穴から手を差し入れて操作をするのだ。

重要なのは、過酷な環境にマシンを置いて、実際に人が操作するということ。キーボードやタッチバッドを操作してみて、音やフィーリングを確認する。他メーカーでもこうした試験は行われているが、過酷な環境下にマシンを置いて自動的に動かすケースが多く、実際に人が操作する試験までやっているのは珍しいという。

温度と湿度を自由にコントロールできる恒温恒湿室

温度と湿度を自由にコントロールできる恒温恒湿室。ここにマシンを持ち込んで、さまざまな試験を実施する

耐熱ガラスに開けられた穴から手を差し入れて、中のマシンを操作

耐熱ガラスに開けられた穴から手を差し入れて、中のマシンを操作する。試験担当者が座って作業できるように、出窓の下には空間が設けられている。これも独自の設計だ

高さ90センチから鉄板に落とす落下試験! 変色した鉄板がその過酷さを物語る

高さ75センチからの落下試験をうたうメーカーが多い中、VAIOはユーザーが小脇に抱えている状態からの落下を想定し、腰の高さである90センチから、さまざまな角度で落とす試験が繰り返し実施される。装置の下には鉄板が敷かれているが、この鉄板が変色しているのは、落下が何千回も繰り返された跡だ。

落下試験

落下試験。鉄板の変色は、無数に繰り返された落下試験の証だ

設計者も嫌がる4つの角をそれぞれ5,000回ぶつける角衝撃試験

最近は、ノートパソコンの扱いがラフになっているという。確かに、オフィスのデスクにポンと投げ出したり、カバンに乱暴に突っ込んだりする人が増えた気がする。

VAIOの角衝撃試験は、こうしたラフな扱いを前提にした試験だ。筐体四隅の角にそれぞれ圧力をかけて、筐体全体への影響を調べるのだ。試験内容は、専用に開発された試験機が、ひたすらVAIOの角を打ち付けるだけ。それを4つの角それぞれに5,000回繰り返される。その後、パソコンの筐体にヒビが入っていないか、破壊されていないかなどが調べられる。非常に地味だが、設計者は最も嫌がるという。それだけマシンにとっては過酷な試験なのだ。

角衝撃試験

VAIOの四隅をひたすら打ち付ける専用の試験機。4つの角がそれぞれに5,000回打ち付けられる

打ち付ける際の圧力は感圧紙で測定

打ち付ける際の圧力は感圧紙で測定される

満員電車やメキシコの悪路を再現した振動試験

振動を与え続ける試験も過酷だ。1つは筐体全体に圧力を加えた状態で振動を与える加圧振動試験だ。VAIOを万力のような機械ではさみ込み、強い圧力で押さえつけた状態で激しい振動を与える。これは、バックやリュックサックにVAIOを入れて、満員電車の中で揺られている状態を想定した試験だ。

この試験は「何もしないのに割れていた」というユーザーの声から生まれた。調べてみたら、ユーザーはカバンの中にVAIOを入れて満員電車に乗っていたのである。現実には強い圧力がかかって割れたのだが、ユーザーの意識としては「何もしていない」だったのである。

また、自動車に乗せて悪路を走ることを想定した振動試験も行われる。振動を発生させる装置のうえにVAIOを置き、さまざまなパターンの振動を与える。想定されているのは、メキシコの悪路を走ったときに道路の凹凸だそうだ。

加圧振動試験 加圧振動試験。VAIOを強い圧力で押さえつけて激しい振動を与える。満員電車を想定した試験の1つだ

振動試験

悪路を走る車にVAIOを乗せた状態を想定して行われる振動試験。実際の試験の様子は見られなかったが、振動装置を実際に動かすとものすごい音がするらしい

100万回繰り返される打鍵試験

キーボードの打鍵試験も徹底している。専用の機械を使って、[Enter]キーや[Space]キーなどの頻繁に利用するキーを100万回打鍵し、問題がないかどうかを試験するのだ。打鍵スピードは1秒間に6回なので、100万回打鍵するには、約46.3時間、ぶっ通しでキーを叩き続ける必要がある。試験用の機械は取っ手の付いたテーブル型になっているので、恒温恒湿室に持ち込んで、シビアな環境で試験することもあるという。

打鍵試験

打鍵試験では打鍵が100万回繰り返される。試験機械ごと恒温恒湿室に持ち込むこともできる

今回、見学できたのはあくまで実施されている試験の一部だ。他にもVAIOから出る電波を測定して人体や他の機器への安全性を確認する輻射試験、静電気を発生させて影響を検証する静電気試験、梱包状態での落下・振動試験など、さまざまな試験が、日々、実施されている。こうした1つ1つの試験が、VAIOのこだわりのものづくりを支え、高い品質のバックボーンとなっているのだ。

次回は、すべてのVAIOを専任の技術者が一台ずつ品質チェックし、仕上げを行う最終工程「安曇野FIHISH」について紹介する。

【安曇野スピリット Vol.3】細かいキズも見逃さないVAIO「安曇野FINISH」に込められたものづくりの覚悟

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