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話題の「RPA」がDXを加速したい企業にもたらす価値とは何か?

急速に進化するデジタル技術が、社会や経済の状況を変化させていく中、企業が将来にわたって競争力を維持し続けるために「デジタルトランスフォーメーション(DX)」へ取り組むことが必要とされています。重要な経営課題のひとつとして、DXに関心を持つ経営者も増えつつある状況です。

しかし、今の時点で「私たちは、戦略に基づいて確実にDXを進められている」と胸を張れる組織は、それほど多くないのではないでしょうか。経済産業省が2020年12月に発表した「DXレポート2」では、日本企業の「9割以上」が、「DXに未着手」あるいは「散発的な実施」の段階にあるという調査結果が示されました。

(参考リンク)
“2025年の崖”を要約。経済産業省のDXレポートの対策とは?
9割がDXに未着手-コロナ禍で「待ったなし」となった対応の道筋を「DXレポート2」から考える

残念なことですが「DXをどう進めればいいのかわからない」「DXの必要性は認識しているが、組織として取り組めていない」というのが、ほとんどの日本企業における現実です。

DXは一般的に「企業が、最新のIT技術を活用し、これまでにはなかった製品やサービス、ビジネスモデルを展開することで、新たな価値を生みだしていくこと」と言われています。これは、単に古くなったレガシーシステムを刷新したり、インターネットを使った新規事業を始めたりといった、単発のプロジェクトを指すものではありません。

DXレポート2では、DXの構造を段階的に示しており、紙のようなアナログな媒体で作成、管理されている情報をデジタルデータ化する「デジタイゼーション」、データを用いて既存のビジネスプロセスをデジタル化する「デジタライゼーション」といったステップを経て、最終的にデジタル技術から新たな価値を創出する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の段階へ到達できるとしています。

出典:経済産業省「DXレポート2」より抜粋

つまり、企業自身が「IT技術を活用」し、組織のあり方、仕事の進め方を変え、それによって、事業環境の変化に迅速に適応する能力を身につけていくことが、DXの必要条件とされているのです。

2020年以降のコロナ禍は、企業が「環境の変化に合わせて、ビジネスを迅速に変革できるか」の試金石となっています。外出自粛が要請される中、にわかに注目された「テレワーク」は、以前からITによる「働き方改革」の一環として実践が推奨されていたものでした。テレワークを可能にするためには、遠隔地での業務を可能にするITインフラや端末の配備、業務で扱う情報やプロセスのデジタル化、新たな就業ルールの整備を組織的に行う必要があります。「働き方改革」を念頭に進めてきたIT活用の取り組みは、実は、DXの基礎でもあったわけです。そして、コロナ禍以降の社会では、その基礎があるかどうかが、企業の競争力や成長にも甚大な影響を与えます。

RPAによる「生産性向上」はDXでも重要なテーマ

テレワークと同様、近年「働き方改革」の一環として注目されてきたITトレンドのひとつに「RPA」があります。「RPA」は「ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)」の略語です。

RPAには、さまざまな定義がありますが、その多くに共通している考え方は「人間の作業を模倣し、代わりに作業を行うソフトウェアを使って、業務を代替、代行していくツールや取り組み」というものです。RPAは、将来的な労働者人口の減少が避けられない日本にとって「労働生産性の向上」が喫緊の課題であるという認識のもと、それを解決するためのITソリューションとして注目されてきました。この「ITの活用による生産性の向上」は、DXの推進においても極めて重要なテーマです。

経産省のDXレポート(2018年9月)では、企業が運用や保守に膨大なリソースを投じている「レガシーシステム」を段階的に廃止し、クラウドをはじめとする最新のIT技術を用いた効率的な運用スキームへ移行していくことと、それによって生じた余剰のリソースを、新たな価値を生みだすための「攻めのIT」へと投入していくことが推奨されています。これは主に「老朽化したITシステムのモダナイズ」についての提言なのですが、この考え方は、システムの領域だけでなく、旧来の業務ルールやプロセスを「ITの導入で効率化していく」という取り組みにも当てはめることができます。

つまり、RPAを通じて従業員の業務プロセスを見直し、単純で非効率な作業があれば、それをソフトウェアに代行させる。人間は、人間にしかできない業務に注力することで生産性を上げ、捻出された余剰の人員や時間といったリソースは、競争力の源泉となるような、より付加価値の高い業務に投入すべきというわけです。

人間に代わって「ロボット」がやるべき作業とは?

では、RPAのソフトウェア、いわゆる「ロボット」が、人間の代わりにできる作業には、具体的にどのようなものがあるのでしょう。現在、RPAの適用が最も進んでいるのは「定型作業の自動化」の領域です。「定型作業」とは、主に人がPC上で、Webブラウザやオフィスソフトを使って行っているような単純作業を指します。改めて、日常の業務を見直してみると、そうした作業が結構あることに気付くのではないでしょうか。いくつか例を考えてみましょう。

営業部門の場合:得意先からファイルで送られてきた発注書の内容を、受注システムに転記する。その時、発注元、商材、金額に応じて、適切な承認経路を設定する。

経理部門の場合:従業員から表計算ソフトのファイルで送られてきた経費精算申請書の内容を、経費精算システムに転記する。その内容が適切かどうか、社内ルールや交通経路検索サービスの情報と照らし合わせてチェックする。

総務人事部門の場合:従業員からメールで送られてきた各種申請書の内容をチェックし、入力に漏れがないか、承認プロセスがルールに合っているかなどを確認。問題があれば、作成者に修正を依頼する。

マーケティング部門の場合:毎朝、特定のネットショップを巡回し、自社製品、競合製品の価格情報を表計算ソフトにまとめる。日次で自社ウェブサイトのアクセス解析結果をダウンロードし、共有ファイルサーバに置く。

これらに共通するのは「生みだす付加価値は低いが、業務上必要な作業」であること。そして、「基本的にはPC上のクリックやコピー&ペーストといった動作の繰り返しと、シンプルな項目チェックで完結する作業」であることです。現在、市場に普及している「RPAツール」の多くは、こうした単純作業の自動化を最も得意としています。

こうした作業を、人間が1回実行するのに掛かる時間は、数秒から、長くても数分といった、非常に短いものかもしれません。しかし、それが「毎日」行われる作業であったり、「従業員の人数分」行う必要があったりする作業であれば、月単位、年単位で見ると費やされる時間は膨大なものになります。RPAによる業務効率向上の効果は、人が作業に掛ける時間や、回数が多いほど高くなります。

加えて、こうした単純作業を人手で行っていると、どうしてもミスが起こりがちです。その点、ソフトウェアのロボットは、単純作業を長時間行っても、疲れたり、集中力の低下からミスが増えたりすることはありません。RPAが注目を集め始めた当初、真っ先に導入に関心を示したのは「金融業界」だったといいます。特に大量の数字を扱う照合や集計、入力といった作業はロボット向きといえます。こうした「ロボットでもできる」あるいは「ロボットのほうが向いている」作業は、業種や業界、部門を問わず、多くあるのではないでしょうか。

RPAの効果を高めるためのポイントは「業務の棚卸し」

現在、市場には非常に多くの「RPAツール」があります。価格帯や提供形態もさまざまでで、たとえばデスクトップPC単体で数十万円程度から導入できる製品もあれば、より大規模な活用を前提に高度なロボット管理機能や、他システムとの連携機能を備えた数千万円規模のものもあります。提供形態についても、オンプレミスでの運用が前提のもの、クラウドから利用でき、期間や使用量単位の課金体系となっているものなど、バラエティに富んでいます。

RPAに限ったことではありませんが、ITツールの導入に当たっては「やりたいことが実現できる機能があるか」「導入時と運用時を合わせたコストが、その間に得られる効果と見合うか」といった観点で比較検討が必要です。RPAツールを取り扱っているベンダーは、導入を検討している企業に試用の機会を提供しているケースがほとんどです。また海外製のツールについては、ウェブを通じて「試用版」の入手が可能なことも多くなっています。ですから、RPAによる業務効率化に関心があるのならば「試しに使ってみる」のが導入への近道です。

まずは、特定のスタッフや部署で試し、そこで得られた効果(時間の削減、処理件数の増加、品質の向上など)を土台にして、導入範囲や規模を段階的に広げていくという進め方が基本になります。下準備として必要なのは「現在行っている業務の棚卸し」です。これには「どんな業務をやっているか」「その業務はどのような作業から構成されているか」「その作業にはどんなルールがあるか」「業務全体と個々の作業に、どのくらいの時間(コスト)がかかっているか」の洗い出しが含まれます。

面倒に感じるかもしれませんが、これはRPAのためだけに必要な作業というわけでなく、企業が「生産性」を管理していくための基本的なやり方です。こうした業務の棚卸しや作業の洗い出しをすることで、「ムダ」を見つけ出して改善することや、担当者が変わった際の業務の引継を効率化することができます。同時に「RPAの導入による作業の自動化で、どれだけ生産性が上がったか」を定量的に算出することも可能になるのです。

DXの基礎になる「業務のデジタル化」は迷わず今すぐ始める

ここまで、近年のITトレンドのひとつである「RPA」の概要を紹介してきました。最近では、DXについては「経営課題」であるという認識が定着してきた一方で、RPAやテレワークのような個別の取り組みについては、まだまだIT部門が主導すべき課題と捉えられており、企業として対応の優先度が上がっていない状況もあるようです。

DXレポート2においては、現時点でDXに未着手の企業が「今すぐ」にとるべきアクションとして「製品・サービスの導入による業務のデジタル化」を挙げています。これは、DXに必須のステップである「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」を早急に進めなければ、将来的に、先行している企業との差が埋められないものになることを示唆しています。

これに準じれば、RPAによる従業員の業務効率化や生産性の向上、それによって捻出されるリソースの有効活用というテーマも、決してIT部門だけが責任を持つべきものではなく、DXを目指す企業が組織として早急に進めなければならい「デジタル化」の一環であると捉えることができます。もはや、変化をためらったり、手をこまねいたりする時間は残されていません。まずは自社の業務を見直し、可能なところからデジタル化を進めましょう。

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

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一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

主な内容

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
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