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次世代の通信規格「Wi-Fi 6」の特徴と5Gとの違いとは?

多くの企業が推進しているデジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革。それらの進化を支えるのがインターネットです。ほとんどの企業が社内に無線LAN設備を整えていますが、データ通信量は今後まだまだ増加していくと見られており、旧来の通信規格ではもはや力不足。さらなる高速化・高性能化が待たれていました。

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そこで登場したのが次世代の無線LAN規格である「Wi-Fi 6」です。高速性と安定性を兼ね備え、これまで以上にビジネスの効率化が期待されています。

今回はそんなWi-Fi 6についてご紹介します。

Wi-Fi通信とは

そもそも、よく耳にする「Wi-Fi」とは何なのでしょうか。

Wi-Fiとは無線LANの一種であり、PCやスマートフォンをケーブル接続なしでインターネットに接続するための通信規格です。モデムに接続されたWi-Fiルータから飛ばした電波を端末が受けることでインターネットへの接続を可能にします。

Wi-Fiにも様々な規格があり、アップデートされるたびに性能が向上しています。Wi-Fi規格を策定しているのは米国に本部を置く電気電子学会「IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)」で、Wi-Fiを普及させることを目的にしたWi-Fi Allianceという業界団体も存在します。ブランド名としての「Wi-Fi」の権利を持っているのは、このWi-Fi Allianceです。

Wi-Fiの歴史は古く、1997年に最初のWi-Fiとなる「IEEE 802.11」がIEEEによって標準化されました。それから何度かのアップデートを重ねて、2019年に最新規格となる「Wi-Fi 6」が標準化されたのです。

Wi-Fi 6とは〜次世代の通信規格〜


「Wi-Fi 6」は「IEEE 802.11ax」と同一のものです。Wi-Fiの規格はもともと策定団体であるIEEEの名前を冠して「IEEE 802.11」と表記し、11の後ろにアルファベットをつけることで世代を表していました。たとえば2003年に策定されたのは「IEEE 802.11g」で、2009年に策定されたのは「IEEE 802.11n」です。

しかし、「IEEE 802.11」という表記は長くてややこしく、一般消費者にはわかりにくいものでした。そこで第6世代となる「IEEE 802.11ax」から名称を「Wi-Fi 6」とし、第6世代のWi-Fi規格であるということをわかりやすく伝えることにしたのです。

なお、Wi-Fi 6はそれ以前のWi-Fi規格とも下位互換性を持つため、Wi-Fi 6ルータとWi-Fi 6未対応端末であっても問題なく使用することができます(その場合の通信規格は端末のスペックに依存します)。

Wi-Fi 6のメリット


さて、Wi-Fi 6になるとどんなメリットがあるのでしょうか。ポイントは「高速通信」「安定性」「省エネ」です。中でも通信の安定性向上は、これまで不安定だったWi-Fiへの接続を快適にし、オフィスでの通信環境を飛躍的に改善、デジタル技術の推進を進めるでしょう。
3つのポイントを具体的に説明します。

高速通信

まず、インターネットの通信速度が高速化することが挙げられます。Wi-Fi 6の前規格であり、現在もっとも広く普及している「IEEE 802.11ac」は通信速度が最大6.93Gbpsとなっています。これに対して、Wi-Fi 6の速度は最大9.6Gpbs。およそ1.5倍にまで高速化されています。

接続の安定性が向上

Wi-Fiの電波は周囲の環境の影響を大きく受けます。たとえばルータと端末の間に壁があると、それだけで速度は目に見えて落ちます。また、一つのルータに複数台の端末を接続しても安定性は下がり、ときには接続自体が途切れるなど不安定になりがちです。「IEEE 802.11ac」の理論上の最高速度は前述した6.93Gbpsですが、実際にその速度が出せる機会はほとんどありません。

それに対して、Wi-Fi 6は比較的安定して高速な通信が可能です。「IEEE 802.11ac」に比べて電波の干渉も受けにくいですし、一気にたくさんの端末で同時接続しても安定した通信ができます。理論値ではなく、実際に使用した場合のデータ転送量を「実効スループット」と呼び、Wi-Fi 6はこれが前規格の4倍にも達するといわれます。

大きく性能を向上したWi-Fi 6。その秘密は様々な新技術にあります。

まず、2つの帯域に対応したことです。

Wi-Fiが使用する電波には2.4GHz帯と5GHz帯の2つがあります。2.4GHz帯は障害物に強く、電波が遠くまで届きやすいですが、Wi-Fi以外の家電などでも採用されているため電波が混雑して安定しません。一方の5GHz帯はWi-Fiでのみ使用される帯域なので安定して高速通信ができますが、壁などの障害物には弱いという特徴があります。

前規格である11acは5GHz帯だけを使用していましたが、そのせいで安定性はいまいちという欠点がありました。そこでWi-Fi 6では2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応。10bitのデータを転送できる「1024QAM」という変調方式を採用し、速度をさらに向上させています。

また、最近のWi-Fiルータでは複数の端末と同時に通信することを可能にする「MU-MIMO」という技術が採用されていますが、これまで下りの通信にだけ対応していた同技術を上りの通信でも使用することで安定性を高めています。

加えて、通信時のチャネル幅を複数のユーザーで分け合い、“通信待ち”をなくすことができる「OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)」技術も採用。こうした様々な技術により、通信の安定性を飛躍的に高めているのもWi-Fi 6の特徴です。

省エネで長時間の使用が可能

もう一つのWi-Fi 6のメリットは、ルータに接続した端末のバッテリーが長持ちするというものです。

スマホやタブレットなどの端末は、できるだけバッテリーの消耗を抑えるために通常の動作とスリープする動作を定期的に繰り返しており、これを間欠動作と呼びます。

一方、Wi-Fi 6では定期的な間欠動作ではなく、必要なときのみ起動して通信を行う「TWT(ターゲットウェイクタイム)」という技術を採用しており、端末のバッテリー消費をさらに抑えることができるのです。

Wi-Fi 6と5Gについて


Wi-Fi 6と同様に次世代の通信規格として注目されているのが「5G」です。

5Gもまた高速で大容量のデータを送受信できるモバイル通信ネットワークで、まもなく本格運用がスタートします。通信で使用する技術であることや、高速に安定してデータをやりとりできることなどはWi-Fi 6とも似ている部分があります。

では、5GがあればWi-Fi 6は不要なのかというと、そんなことはありません。

Wi-Fi 6と5Gはそれぞれが弱点を補完し合うような関係性になっているからです。たとえば、Wi-Fi 6が一定のエリアを覆うような通信に向いているのに対し、5Gは基地局から電波を受けられるように長距離での通信に向いています。通信する際に「エリア」と「距離」のどちらを優先するかでも、Wi-Fi 6と5Gは使い分けが可能なのです。

さらにWi-Fi 6は5Gのように設置に免許を必要としないので、Wi-Fi機器の設置が容易でコストもそれほどかからないというメリットがあります。たとえばオフィスやスタジアムのような一定のエリアに大勢の人が集まるような環境では、Wi-Fi 6が真価を発揮するでしょう。一方でドローンのように飛距離が伸びても通信しなければならないケースでは、5Gが適しています。Wi-Fi 6と5Gはどちらかが優れているわけではなく、ケースバイケースで使い分けするべきなのです。

まとめ

Wi-Fi 6は来年から対応端末が急増し、一気に普及が進むと見られています。また、5Gも来年から本格運用がスタートし、今後数年で浸透していくでしょう。

これから先、私たちの社会はさらに高度化し、インフラとしてのインターネットはますます欠かせない存在になっていきます。働き方改革やデジタルトランスフォーメーション、そしてIoTの活用など、あらゆるモノがインターネットに接続される未来を担うのが、Wi-Fi 6や5Gといった高速通信技術なのです。

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