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VDIとDaaS(クラウド型)の違いは? 比較ポイントを徹底解説!!

従業員の多様な働き方推進を目的とする、テレワークの導入に伴い、セキュリティ対策を課題とする企業は多いでしょう。そこで注目されているのが、データ処理やデータ保存など多くの機能をサーバ側で行い、クライアント端末にはデータをほとんど残さない「シンクライアント」です。

詳しいシンクライアントの説明についてはこちら
シンクライアントとは? VDIとの違いや実装方式、メリットを含め徹底解説‼︎

実装方式によって種類が別れるシンクライアントですが、中でもAmazon WorkSpacesやMicrosoft VDIをはじめとする、「VDI(デスクトップ仮想化)」を導入する企業が増えています。さらに、VDIとともに普及されているシンクライアントの1つに「DaaS」があります。

今回はVDIの基礎知識やDaaSとの違いを比較しながら紹介します。

VDI「デスクトップ仮想化」とは?

まずはVDIについて理解しましょう。

VDI(Virtual Desktop Infrastructure)とは、日本語で「デスクトップ仮想化」を意味するシンクライアント実装方式の1つです。シンクライアントは、ユーザーが使用する端末の機能を最小限にし、アプリケーションやOSの起動、データ保存などほとんどの処理をサーバ側で行うシステム分類を指します。

VDIは、シンクライアントにおける処理をサーバ上に生成される「仮想化されたデスクトップ環境」を用いて行います。ユーザーのクライアント端末数に応じた仮想マシンを実装し、すべてサーバ上に集約して管理します。そのため、従来のように各クライアント端末にてOSやアプリをインストールする必要がなく、アップデートやサービスの追加など、メンテナンスが容易にできます。

では、VDIとDaaSの違いはなんでしょう。DaaSとは、VDIを企業に導入する際の1つの方式をいいます。DaaS理解のために、VDIの導入方式を見ていきましょう。

VDIの導入方式の1つがDaaS(クラウド型)

オンプレミス型

オンプレミスとは、サーバやそれに付随するサービス、OSなどのインフラを自社内で構築し、企業が主体的に管理する運用形態を意味します。VDIも同様に、仮想マシンが集約されたメインサーバを自社構築し、独自に運用する形態をオンプレミス型といいます。

DaaS/クラウド型

クラウドとはインフラを自社内で持たずに、インターネットを経由してインフラをサービスとして提供・利用する運用形態です。DaaSとは「Desktop as a Service」の略称で、VDIの機能をクラウドで提供するサービスです。つまり、DaaSはVDIと異なるものではなく、VDIの中にDaaSという概念・サービスがあるのです。

VDIの概念、仮想化技術は2008年頃から存在していますが、当時は自社内でインフラを構築するオンプレミス型が主流でした。その後、技術の進歩や社内のセキュリティ対策が重要視され、クラウド型のDaaSが登場。シンクライアントとともにVDIが再注目されました。VDI登場時のオンプレミス型主流の背景もあり「VDI=オンプレミス」とDaaSは区別されることが多いですが、VDIは「デスクトップ仮想化」という概念を意味するため、厳密にはDaaSといったクラウド型もVDIに含みます。

企業がVDIを導入する際には、オンプレミス型とDaaS(クラウド)の2種類の方式から選ぶことになりますが、もう少しDaaSについて理解を深めましょう。

DaaSには3つの導入形態がある


DaaSの導入には、「プライベートクラウド型」「バーチャルプライベートクラウド型」「パブリッククラウド型」の3つの形態があります。

クラウド型はベンダーからサービスとしてVDIを利用するため、サービス提供範囲も様々。自社の導入目的に合ったDaaSのサービスを選定することが重要ですが、ここでは代表的なサービスの提供形態(導入形態)について紹介します。

プライベートクラウド型

サーバ本体、設定場所はクラウドプロバイダーが提供し、OSやソフトなどは企業が自由にカスタマイズ・管理できます。1つの企業に向けた専用のコンピューティング環境を構築し提供され、他の企業とは独立した環境下でクラウドを活用します。そのためセキュリティ性が高く、安定した運用を実現できます。

バーチャルプライベートクラウド型

サービス事業者が提供するPaaSやIaaS上に仮想デスクトップ環境を構築して提供するサービス形態です。プライベートクラウドのように独立した環境ではないですが、他の企業が同じDaaSを使用することはないため、セキュリティ性は高く、カスタマイズ性もあります。

パブリッククラウド型

プライベートクラウド、バーチャルプライベートクラウドは、クラウド環境を利用する範囲が1企業などと限定された導入形態なのに対し、パブリッククラウドは不特定多数のユーザーにオープンに提供されるクラウドサービスです。企業は通信回線やアプリケーションを含めたインフラを持たずに、ベンダーが持つパッケージ化されたITリソースを複数の企業で共有して利用します。ほぼすべてのインフラをベンダーが用意するため、カスタマイズ性は低くセキュリティも高いとは言えません。ただし初期導入費用がほぼかからない上に、自社での管理が少ないため、OSのアップデートやセキュリティのメンテナンスに手間がかからないメリットがあります。

DaaSの導入だけでも、上記のようにセキュリティ面やカスタマイズ性、コストや管理負担など、多くの要素を検討した上での選定が必要です。ではDaaSの導入形態を理解したところで、オンプレミス型との比較を見ていきましょう。

VDIのオンプレミスとDaaS(クラウド型)の比較ポイント

サーバ側に用意された仮想デスクトップ環境を、クライアント端末で画面表示して作業を行うVDI。オンプレミス型とDaaSの機能自体に大きな違いはありませんが、サーバ本体の設置場所がオンプレミス型は自社内、DaaSはサービスを提供するベンダー企業内と、大きく異なります。DaaSはサーバの運用管理がベンダー側にありますが、この点が両者の形態を導入する際の比較ポイントになるのです。

では、オンプレミスとDaaSの比較ポイントについて詳しく紹介します。

  オンプレミス型 DaaS(クラウド型)
コスト 初期構築費用が高く時間もかかる 多くの場合初期費用はほとんどかからないが、ランニングコストがかかる
セキュリティ 自社のセキュリティポリシーを守りながら対策できる セキュリティ対策までワンストップでサービスしてくれる場合が多い
カスタマイズ性 高い 低い
運用負担 高い 低い

コスト面は利用期間を考慮

オンプレミス型は、サーバやストレージ、仮想化ソフトまで多くのインフラを自社内で用意する必要があり、多額の初期費用が発生します。また、それらインフラの構築や運用にあたっては、社内に専門知識を持った人材を必要とし、導入の検討段階から運用までには長い時間がかかります。一方、DaaSはインフラをベンダーが用意するため、利用状況に応じて料金を支払うモデルが多く、初期費用を抑えた導入が可能です。ただし、サービスを利用する限りランニングコストが発生するため、長期的な視点でVDIの活用を考えている場合、オンプレミス型の方が安くなるケースもあります。

柔軟なオンプレかオンデマンドのDaaSか

オンプレミス型最大の特徴はカスタマイズ性の高さです。仮想マシンのリソース割り当てや従業員の要望に合わせたサーバのカスタマイズなど、柔軟にシステム環境を構築できます。セキュリティも自社のセキュリティポリシーに合わせた対策が可能です。DaaSはオンデマンドでサービスを提供する分、柔軟なカスタマイズは困難です。セキュリティ対策までワンストップで担ってくれる場合もありますが、インフラやデータはベンダーが管理しているため、自社のセキュリティポリシーを守るのも難しいでしょう。

運用負担が最大のポイント

オンプレミス型はカスタマイズ性が高くセキュリティも柔軟に対策できますが、裏を返せばそれら運用はすべて自社内で管理する必要があります。一方のDaaSはカスタマイズ性・セキュリティに一定の制限はあるものの、運用・管理のほとんどをベンダーが担うため、オンプレミス型に比べ格段に運用負担が軽減されます。

また、注意したいのが「拡張性」。オンプレミス型では、VDIを利用する従業員の数が増える場合や、仮想マシンのスペックを更新する場合に、拡張まで時間と労力がかかります。DaaSは利用者数の増減や仮想マシンのスペック変更等も容易にできるため、コストに応じたサービスを常に受けられるのです。

ここまで紹介したように、オンプレミス型もDaaS(クラウド型)もメリット・デメリットは一長一短といえます。しかし、オンプレミス型のVDI導入には多額の費用と人的リソースや時間が必要です。そのためVDIの導入が比較的容易なDaaSが、資金の少ない中小企業、小規模から導入したい企業に採用され、近年はその市場規模を拡大しています。

VDIはオンプレミス型からDaaSへ

従来、日本企業の多くが閉鎖的な環境を好み企業独自のVDI環境を構築するオンプレミス型を採用してきました。しかし働き方改革の推進を背景に、時間や場所を選ばない柔軟な働き方が進み、テレワークといった制度の導入が拡大しています。インターネットを利用して、どこにいてもベンダーからサービスを受けられるDaaSは、まさに時代に合ったVDIの形態といえます。

オンプレミス型かDaaS、どちらが優れているかは一概に言えませんが、先ずは自社の導入目的やポリシーを明確にし、資金やリソースと相談した上での検討が重要です。

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