PCに起こる不具合の1つに、起動が遅くなる現象があります。一言で起動が遅くなるといってもさまざまな原因があり、原因によって対処法も変わってきます。
PCの起動が遅くなると作業の際に余計な時間がかかるほか、いずれPCが動かなくなるのではと心配になるでしょう。経年劣化や内部パーツの故障が理由であれば即効性のある対処法はありませんが、他の理由で起動が遅くなっていることもあります。
本記事では、PCの起動が遅くなる原因とすぐにできる対処法、普段から行うべきメンテナンスなどについて解説していきます。
PCの起動が遅いのはコレのせい?よくある原因一覧
PCの起動が遅くなる原因はいくつかあり、場合によっては2つ以上の原因が重なっていることもあります。
ここではよくある原因を一覧にまとめ、それぞれの解説をしていきます。お使いのPCと照らし合わせながら原因を探っていきましょう。
また、本記事ではWindows PCに関する内容となっています。ご注意ください。
常駐プログラムが同時に起動している
PCの起動が遅くなる原因の1つに、常駐プログラムの影響が考えられます。常駐プログラムとは、PCを起動した際に自動的に立ち上がるプログラムのことで、ウイルス対策ソフトやメールソフトなどのことです。
一度に多くの常駐プログラムが起動することでPCのメモリーを圧迫し、PCの起動が遅くなる原因となります。
メインメモリーが不足している
PCのメインメモリーが不足している場合も起動が遅くなります。例えるなら、メインメモリーは作業机のようなものです。メインメモリーの数値が大きいほど作業机が大きくなり、同時にこなせるデータの処理量が多くなります。
一方で、搭載されているメインメモリーが少ない場合は、アプリやソフトが同時に動き出すとメインメモリー不足によってPCの起動が遅くなってしまいます。
Cドライブの容量が不足している
Windows OSのPCの場合、HDDやSSD内にあるCドライブが圧迫されていると起動が遅くなることがあります。CドライブはWindows OSがインストールされているシステムドライブです。Cドライブの空き容量が少なくなるとシステムが不安定になったり、動作が遅くなったりするため、PCの起動にも影響を与えます。
キャッシュがたまっている
キャッシュとは、一度アクセスしたウェブサイトの履歴やデータを一時的にPC内に保存する仕組みのことです。キャッシュを保存しておくことで、再度アクセスした時に素早くサイトを表示できるメリットがあります。
便利な反面、キャッシュがたまり続けるとPCが処理できる許容範囲を超え、負荷がかかりすぎて動作が重くなります。
ウイルスに感染している
PCがウイルスに感染している場合も起動を遅くする原因になります。ウイルスに感染するとPCの処理能力が低下したり、エラーが発生し、PCの動作が遅くなったりします。
特に、突然動作が遅くなった場合はウイルス感染を疑いましょう。データが破壊されたり、個人情報が漏洩したりといった被害にもつながります。
セキュリティーソフトが起動を遅くしている
PCを守るセキュリティーソフトが起動を遅くしている場合もあります。セキュリティーソフトにはさまざまな特徴があり、中には常時稼働するために大量のメモリーを必要とし、PCに負荷をかけるソフトも存在しています。
Windows Updateが実行されている
定期的に行われるWindows Updateが起動を遅くしている場合もあります。Windows Update中は、仕様上動作が遅くなったり不安定になったりすることがあります。
HDD・SSDが故障している
HDD・SSDの故障や劣化が原因でPCの起動が遅くなっている場合もあります。HDD・SSDはさまざまなデータを記録しておく機器で、故障や劣化によってPCが正常に動作しなくなります。
PCの内部が汚れている
PCの内部にたまったほこりやゴミが、PCの動作を遅くする原因になることがあります。特にPCの排熱口部分や冷却ファンの周囲にほこりやゴミがたまっている場合、正常な放熱ができずにPC内部の温度が高まり、熱暴走を起こして動作が遅くなることがあります。
今すぐできる!PCの起動が遅いときの対策
PCの起動が遅くなる原因を解説したところで、ここからはそれぞれの原因に合わせた即効性のある対策を解説していきます。
常駐プログラムを整理する
常駐プログラムの中には普段使用しないものもあり、選り分けて停止することで動作が軽くなることがあります。
ただし、PCの動作を支える常駐プログラムも存在しているため、一括でプログラムを無効化しないように注意しましょう。正常にPCが動作しなくなる恐れがあります。
必要のない常駐プログラムやソフトウェアを無効化したい場合は、以下の手順に沿って行います。
2. タスクマネージャーから詳細を選択
3. 詳細内にあるスタートアップを選択
4. 無効化したい常駐プログラムを選択
5. 「無効にする」を選択
ストレージの容量を確保する
PCストレージの不要なデータを削除したい場合にはディスククリーンアップ機能(不要なデータを削除してくれる機能)を使用します。
手順は以下の通りです。
1. キーボードの【Windows ロゴ】+【E】キーを同時に押して、エクスプローラーを起動
2. エクスプローラー画面からPCの項目を選択
3. ディスククリーンアップしたいドライブを選択
4. 右上にある「…」の項目からクリーンアップを選択
1. キーボードの【Windows ロゴ】+【E】キーを同時に押して、エクスプローラーを起動
2. エクスプローラー画面からPCの項目を選択
3. ディスククリーンアップしたいドライブを選択
4. 上部にある管理の項目からクリーンアップを選択
また、ドライブ内のデータを外付けのHDDやSSDなどに移行して容量を確保する方法もあります。ストレージにはCドライブとDドライブがありますが、主に扱っているデータ容量の多いCドライブ内のデータを整理すると良いでしょう。
メインメモリー容量とストレージ容量を確認する方法は以下に記載します。メインメモリーの容量が不足しているようであれば、PCの買い替えを視野に入れる必要があります。ストレージ容量が不足しているようであれば、外付けストレージの使用も検討しましょう。
1. キーボードの【Alt】キー+【Ctrl】キー+【Delete】キーを同時に押して、[タスク マネージャー]をクリック
2. タスクマネージャーから詳細の項目を選択
3. パフォーマンスの項目を選択
1. 設定からシステムの項目を選択
2. システムの項目内にあるストレージの項目を選択
キャッシュを削除する
たまっているキャッシュを削除することで、起動の遅さを含め、重くなったPCの動作を解消できる場合があります。「一時ファイルのキャッシュを削除する方法」と「ブラウザのキャッシュを削除する方法」をそれぞれ説明します。
一時ファイルのキャッシュを削除する方法
一時ファイルのキャッシュを削除するには、ディスククリーンアップ機能を使用します。
1. キーボードの【Windows ロゴ】+【E】キーを同時に押して、エクスプローラーを起動
2. エクスプローラー画面からPCの項目を選択
3. ディスククリーンアップしたいドライブを選択
4. 右上にある「…」の項目からクリーンアップを選択
1. キーボードの【Windows ロゴ】+【E】キーを同時に押して、エクスプローラーを起動
2. エクスプローラー画面からPCの項目を選択
3. ディスククリーンアップしたいドライブを選択
4. 上部にある管理の項目からクリーンアップを選択
ブラウザのキャッシュを削除する方法
ブラウザのキャッシュの削除は、使用するブラウザによって異なります。ここでは、代表的なブラウザである「Microsoft Edge」「Google Chrome」「Firefox」での方法を解説します。
1. Edgeを起動し、画面右上のメニューを選択
2. 「履歴」を選択
3. 履歴ウィンドウの右上のメニューを選択し、「閲覧データをクリア」を選択
4. 時間の範囲を「すべての期間」に設定し、「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れ、「今すぐクリア」を選択
1. Google Chromeを起動し、画面右上のメニューを選択
2. 「その他のツール」から「閲覧履歴を消去」を選択
3. 期間を「全期間」に設定し、「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れ、「データを削除」を選択
1. Firefoxを起動し、画面右上のメニューを選択
2. 「履歴」から「最近の履歴を消去」を選択
3. 消去する履歴の期間を「すべての履歴」に設定し、「キャッシュ」にチェックを入れ、「OK」を選択
セキュリティーソフトでウイルスチェックを行う
セキュリティーソフトのスキャン機能によるウイルスチェックも今すぐできる対策の1つです。
特にPCの動作が急に遅くなった場合には、早急にウイルスチェックを行う必要があります。ウイルスが検出された場合は、セキュリティーソフトがウイルスを駆除してくれるため、動作に違和感があれば行ってみてください。
Windows Updateを実行する
Windows Updateを正しく行うことも対策になります。アップデートが途中で中断されていないかを確認してみてください。アップデートが行われていない場合は、実施することで動作の遅さが改善するでしょう。
1. 画面左下のスタートメニューを開く
2. スタートメニューから設定を選択
3. 下部にあるWindows Updateの項目から確認
それでも解決しないなら?買い替え・パーツ交換の検討を
今すぐできる対策で解決しなかった場合は、PC本体が古く、最新のソフトウェアなどに対応できていないか、パーツの経年劣化による交換の必要性が出てきていることを示唆しています。
ここからはPCの買い替えやパーツ交換を前提とした解決策を解説します。いずれも非常に効果的な解決策ではありますが、パーツ交換の場合はメーカー保証の対象外となるケースがあり自己責任での交換となるため、慎重に検討されることをお勧めします。PCが古い場合は買い替えも検討してはいかがでしょうか。
HDDをSSDへ交換して処理速度を上げる
データ転送速度が速いSSDに交換することによりPCの動作が速くなります。古いPCではHDDが搭載されている場合が多く、動作が遅くなっている場合も考えられます。
ただし、ノートPCの場合は交換に対応していない製品もあるため、その場合は買い替えを検討する必要があります。
メモリーを増設して処理速度を上げる
メモリーを増設して処理速度を上げることも、PCの起動を速くするための対策になります。
ノートPCの場合は交換や増設に対応していない製品もあるため、その場合は買い替えをおすすめします。
PC内部を掃除する
冷却ファンの周りや排熱口部分のほこりやゴミを除去することも、PCの起動を速くするための対策です。冷却ファンにほこりがたまり、熱の逃げ場がなくなるとPC自体の動作が重くなります。
加えて「エラーが頻発する」「急に電源が落ちる」といった不具合も発生するかもしれません。その場合は、迷わずPCメーカーや専門業者に相談することをおすすめします。
新しいPCに買い替える
古いPCを使用している場合、スペック不足で起動を含めた動作全般が遅くなっている可能性があります。そういった場合には、PC自体の買い替えを検討する必要があるでしょう。PCの動作を向上させるために、十分な容量のメインメモリーを搭載していることや、データ転送速度が速いSSDを要件にしてはいかがでしょうか。昨今ではPCを持ち歩く機会も増えており、軽さや耐久性の観点からもSSD搭載製品の方が好ましいといえます。
PCの起動が遅くなる前に!普段から気を付けるべきこと
PCの動作を遅くさせないために気を付けるべきことが、定期的なメンテナンスを施すことです。メンテナンスを怠ると、起動を含めた動作が遅くなるほか、熱暴走といったPCに致命的な症状が起こる恐れがあります。
自身でできるおすすめの定期的なメンテナンスは、ここまで解説してきた「キャッシュの削除」「ウイルススキャン」などです。上記を行うことで動作を快適に保ち、PCの動作速度を向上することができます。
まとめ
PCを長期間使用していると、さまざまな不具合が発生します。対策を知るのはもちろんですが、不具合が起こる前から定期的なメンテナンスを施すことが大切です。PCは基本的に消耗品であり、HDDやSSD、メインメモリーといったさまざまなパーツが適切な状態であるかを観察する必要があります。
もし会社で使用しているPCの起動が遅い場合、まずは社内の情報システム部に相談してみてください。必要ならば新しいPCへの買い替えやリプレイスも検討してみてはいかがでしょうか。
また、PCの乗り換えの際は、最新OSのWindows 11への特長や、Windows 11のシステム要件などを詳しく解説している下記も参考にしてみてください。