働き方

ワークライフバランスの専門家が解説する、企業が働き方改革に取り組むときの秘伝の手法とは

執筆者:堀江 咲智子

前回(中小企業こそ取り組むべき働き方改革とは)と前々回(中小企業で成功した働き方改革事例)で働き方改革の機運の高まりと、取り組んだ企業の成果についてワーク・ライフバランスの専門家 堀江 咲智子氏に解説していただきました。しかし、取り組むと言っても実際にどう進めればよいのか迷うこともあるかもしれません。今回は、堀江氏に働き方改革をどのように進めれば成果をあげられるか、具体的な手法をご紹介いただきます。

ダイエットのようなもの

私はよく手法についてご紹介するとき、ダイエットに例えることが多いです。
それぞれの手法をダイエットと働き方改革で対比してみましょう。

ダイエット 働き方改革
1.体重を測ったり、鏡を見たりして体型を確認する。 1.時間の使い方や仕事の仕方を確認する
2.落としたいお肉を特定する。 2.短くしたい時間、長くしたい時間、減らしたい業務、増やしたい業務を特定する
3.いつまでに何キロ落とすのか、理想像を決める 3.いつまでに何時間、または時間ベースで何%減らす(増やす)のか、理想像を決める
4.今の体系と理想像を比べて、どんな運動や、食事制限をすべきかメニューを作る。 4.理想像具体的に何をやって達成するのか考え、メニューを作る
5.メニューを実践する 5.メニューを実践する
6.体重を測ったり、鏡を見たりして効果があったか振り返る 6.時間の使い方や仕事の仕方を測って効果があったか振り返る
7.最後まで実施したら、4に戻る。

上記の流れでやってみれば、うまくいくイメージを持つことができると思います。

ビジネスでいえば、PDCA(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)を回すことにほかなりません。ただ単に、PDCAを回すだけでも成果は一定以上出ますが、働き方の見直しにおいては取り組み開始時・初期・中期・後期においてポイントが異なっています。

取り組み開始時は具体的で明確な目標を作る

取り組み開始時は具体的で明確な目標を作る

上述の流れの1~3では、まず具体的な目標を作ります。目標は、「3か月で残業時間を3割減らしたい!」という目標より、「3か月で残業時間を3割減らして、週に1度ジムに行く!」と、具体的に鮮明にこうなったらいいなというイメージが描けるものが望ましいです。

働き方見直しにおいては、このゴールイメージが鮮明に描けているチームほど、高い成果を手にすることができています。なんとなく、早く帰ることができたらいいなぁと思うより、絶対にジムに行って運動したい!と思うほうが、より自主的に行動を起こすことができます。

取り組み初期はとにかくスピード重視!

先ほどのダイエットの例で行けば、まず運動や食事のメニューを習慣化することが重要です。ですから、取り組み初期はできるだけ続けやすい、負荷の軽いものからチャレンジしていくことをおすすめしています。

過去のお客様の例をご紹介すると、職場の雰囲気が重苦しく、聞きたいことがすぐ聞けない職場では、まず朝の挨拶をきちんとしようというプランを、 物を探す時間が多い職場においては、掃除をして書類を捨てるというプランを立てられました。いずれも、「労働時間なの?」「働き方見直しなの?」と思われる内容かもしれませんが、何かを変えてみるということに慣れるのが大切な時期ですので、取り組み規模が小さいと思うくらいがちょうどよいと思います。

働き方改革は、「今すぐやらないと今日困る!明日困る!」といったような早急に取り組まねばならない課題であるケースは少ないため、今日できなかったから明日から始めよう、とついつい後回しにしてしまいがちです。私たちはそれを、「夏休みの宿題法則」と名付けていますが、宿題と同じで後回しにしても状況は変わりません。今日、今この瞬間よりも早いタイミングはありませんので、この機会に取り組むと決め、早めにアクションを起こすことが大切です。

2週間以内に振り返る

何か行動を起こしたとき、結果を振り返って、その行動を修正するかしないか判断することも必要です。その振り返りのタイミングが行動開始から2週間を超えると、どうだったのか振り返るのが難しいといわれています。

動物は60秒以内にフィードバックを受けた場合、行動の修正ができるそうですが、人間の場合は記憶や言語の力を借りることで2週間までは振り返ることができるそうです。 2週間前の夕食が何だったかを思い出すことが難しいように、時間が経つと振り返ってその結果評価をすることが難しくなります。働き方改革においては、些細な変化も観察し評価していくことで、施策を続けるモチベーションにもつながります。

取り組み中期は複数施策に挑戦

取り組み中期は複数施策に挑戦

取り組み中期では、初期に回したPDCAの成果が出始め、気持ちや時間の面で少し負荷が減っている状態だと思います。次にやるべきは対応する課題の数を増やす、または取り組み初期では困難だった、難易度の高い課題に挑戦するという大きく2つの方向性に分かれます。2週間のサイクルを意識し、並行して2つ以上の課題に取り組むことで、さらに効果が高まっていきます。

難易度の高い課題とは、自分の部署や自分だけでは動かしにくい、他部署やお客様の協力を仰ぐ必要があるものや、大きな投資が必要なものなどを指します。この難易度の高い課題は、2週間で施策の振り返りができるサイズまで、小さくしていく必要があります。なぜこれが起こっているか?という原因究明の質問を何度か繰り返していくと、課題が小さくなっていきます。ある程度小さくなったところで、それを解決するには?という解決手法の質問を投げかけ、いくつか出てくる施策のアイディアの中から、手間が少なく効果の高いものを選んで実施します。

ロジカルシンキングの基本ともいえる内容ですので、ご興味があれば関連書籍などを参考にしてみてください。この質問によって得られた内容を、要因特性図(フィッシュボーンチャート)や、系統図(ロジックツリー)などにまとめて、振り返る際にもう一度見返すと、本当に解決したかった大きな課題のうち、どのくらい解決したかを計ることもできます。

取り組み後半は全社や業界も動かすメージをもって進める

取り組みが大きくなっていくにつれ、課題の関係者は増えていきます。最初は自分たちの部署や自分だけで進められる内容でしたが、次第に隣の部署、違う事業所、関連会社、お客様、業界団体に及んでいきます。

チームごとにやってきた中で成功した施策は、全社に展開して会社全体の効率化を図っていくとよいでしょう。そのためには、キーパーソンへの根回し、懸念事項への先回り対応、必要な予算と効率アップによる還元額の比較など、準備も必要です。また全社で展開する場合には、あまり細かいところまでルール化すると、かえって柔軟性がなくなり、使いにくくなるため、どこまでをルールとし、どこからがアレンジ自由な範囲とするかは、注意して判断する必要があります。

働き方改革は総務部や人事部、IT推進部などの部署が主体で推進されることもありますが、実は、現場で出てきたアイディアをもとに生まれた施策だからこそ、他の部署でも効果が出やすくなるのです。

自主性を大切にし、ビジネスの基礎力を高める

自主性を大切にし、ビジネスの基礎力を高める

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、働き方改革には、まさしく仕事を進めていく上で必要な、段取り、論理的思考、関係者の協力依頼等が含まれています。

今、多くの企業では、自律的に考えて実行する人が少ないという課題を抱えています。ビジネスのスピードが速まり、失敗の影響が大きくなる中で、試行錯誤する場も少ないことは、大きな脅威とも言えます。働き方改革の中で、試行錯誤の経験を積み、ビジネスの基礎力を高める機会としても活用いただきたいと思います。

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