2017年9月21日、VAIO株式会社のノートPC新製品発表会が開催されました。今回、私フリーライターの田尻亨太が、VAIOのPC新製品発表会を取材しましたので、その様子をお伝えします。
まず、新たに発表されたラインアップは以下の6機種です。
<個人向け>S Line全3機種
- 11.6型ノートPC「VAIO®︎ S11」
- 13.3型ノートPC「VAIO®︎ S13」
- 15.5型ノートPC「VAIO®︎ S15」
<法人向け>Proシリーズ全3機種
- 11.6型ノートPC「VAIO®︎ Pro PF」
- 13.3型ノートPC「VAIO®︎ Pro PG」
- 15.5型ノートPC「VAIO®︎ Pro PH」
働き方改革が進む昨今、どの企業も生産性を高める方法を模索しています。今回発表されたVAIO新製品のテーマは「生産性を高める次世代の働き方を創る」。テレワークなど「新しい働き方に適した設計」を目指したとのことです。いったい、どんな製品か気になるところですね!後半でじっくり紹介したいと思います。
また、当日の展示場の様子などを写真中心にレポートします。
モバイル時代にふさわしい「快」を追求したラインアップ
冒頭、VAIO株式会社代表取締役 吉田秀俊氏は、新製品のテーマを発表。「“快”が仕事の生産性を高める」がコンセプトとのことです。生産性を高める次世代の働き方を創る「働き方改革」、「モバイル・テレワーク」、「生産性の向上」といった、ビジネスニーズが高まるなか、VAIOの新製品はこれらに注力した製品として、その完成度、製品力に自信をみせました。
さらに吉田氏は日本の市場はオールインワンノートと言われる大型ノートブックが、まだ主流としたうえで「我々が進めているモバイルパソコンは、より軽快に持ち運ぶことができる。必ずしもそれが外に出ていくというモバイルという意味ではなく、リビングルームや台所、寝室といった家の中でも気軽に持ち運べる。こうしたものを我々はモバイルと考えている」と、モバイルパソコンのあり方を再定義。特に11.6インチのVAIO®︎ Pro PF 、13.3インチのVAIO®︎ Pro PGは「今後、VAIOが成長戦略に入るための要になる極めて重要な製品。モバイル時代にふさわしい新製品だ」とアピールしました。
月額や年額に縛られない新しいユーザーエクスペリエンスを提供
続いて登壇したのは日本マイクロソフト株式会社執行役員 梅田成二氏(以下:梅田氏)。梅田氏は日本国内と諸外国の働き方改革の違いについて語りました。
「総務省のデータによると日本国内におけるテレワークの導入企業は16.6%。アメリカは20%、イギリスは40%と大きく差がある。政府としては、16.6%の現状を2020年までに40%に上げるべく、いろんな働き方のニーズに応えて生産性を上げていくことを推進している。弊社としてはテクノロジーの観点から貢献したいと考えていて、その一つの取り組みが、“Always Connected PC”だ。」(梅田氏)
ここで少し話が遡りますが、2017年5月末台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2017」の米マイクロソフト基調講演では「Always Connected PC」構想が発表されました。Always Connected PCとは、LTE利用を前提として、Windows 10上から「データプラン」を購入して場所を問わず通信環境を得ることで、ユーザーエクスペリエンスを高めていく取り組みです。
つまり、今回発表されたVAIOの新シリーズは、国内初のAlways Connected PCです。単にSIMフリー対応LTEモジュールを内蔵したパソコンではありません。Windows 10に搭載された新しい機能「データプラン」を使って、ユーザーが欲しいときに欲しい分だけLTE接続料金を購入して使うことができるというものです。新シリーズでは従来の月額や年額といった“縛り”にとらわれない料金体系を提供することによって、新しいユーザーエクスペリエンス提供を目指したものになります。なお、もちろん従来の料金体系での利用も可能です。
「ロケーションフリー/ストレスフリー」を実現
続いて登壇したのはVAIO株式会社PC事業部長 林薫氏です。林氏はまずメインストリーム13.3インチワイド「VAIO®️ S13/VAIO®️ Pro PG」とメインストリーム11.6インチワイド「VAIO®︎ S11/VAIO®︎ Pro PF」を紹介。新モデルのコンセプトを「ロケーションフリー/ストレスフリー」と説明しました。モバイルPCの持つ機動性と高速モバイルネットワークにおけるロケーションフリーの実現。そして、キーボードやタッチパッド操作など日常操作の快適さの研究。それによるストレスフリーを実現したとしています。この2つを実現することで、ビジネスパーソンが場所や時間の制約から解放され、ワークスタイルが変革されることを目指したとアピールします。では、具体的にロケーションフリーとストレスフリーを実現するにあたって、どんな点にこだわったのでしょうか。林氏はこう続けます。
「ロケーションフリーという軸でいうと、最薄部約15mm、重量は13.3インチが約1.06kg、11.6インチが約0.84kg、この薄型軽量ボディに信頼に耐えうる高い耐久性と充実の拡張性を備えた。お客さまのフィードバックから更なる軽量化を追究した11.6インチモデルでは天面に東レ株式会社製のUDカーボンを採用。13.3インチモデルのマグネシウム合金と比較して同等の強度を持ちながら約30%軽量化に成功した。これによって最軽量時約0.84kgという軽量ボディを実現した。」(林氏)
軽量化に加え、新モデルではVGA端子・HDMI端子・LAN端子・USB3.0×3端子を装備し、盗難を防ぐセキュリティロック・スロットも搭載。さらに、ロングスタミナ・急速充電にも対応。バッテリ駆動時間は、13.3インチで最長12.5時間、11.6インチで最長16時間を実現。わずか1時間の充電でも13.3インチで最長9.5時間、11.6インチで12時間のバッテリによる連続使用が可能になりました。
「11.6インチ、13.3インチともにSIMフリー対応LTEモジュール内蔵モデルが選択可能となり、Wi-Fiルーターやスマートフォンのテザリング機能を使うことなく、本体だけでインターネットへアクセスすることができる。また、通信事業者を選ばないSIMフリーなので、大手通信事業者はもちろん、格安SIMもご利用いただける。さらに、今回新たにキャリアアグリゲーションに対応。今回搭載されたモジュールは3つのバンドを束ねて通信することができ、速度が3倍となり、下りは150×3の最高450Mbpsを達成。速度だけでなく、安定性も向上した。今回搭載されているモジュールはカテゴリ9と呼ばれるもので、PC業界ではVAIOが世界で初めて採用した」(林氏)
さらに、LTE搭載PCを広めていくためには、ハードウェアのモジュールだけでなく、サービスも含めた提案が必要になると林氏は言います。そこで日本マイクロソフト株式会社の協力を得て実現したのが、新しいLTE接続サービスの提案。それがWindows10の「データプラン」になります。このデータプランについて、日本マイクロソフト株式会社 Windowsプロダクトマネージャー 春日井 良隆氏はこう説明します。
「このデータプラン自体はいわゆるプリペイド型のインターネット接続サービスになる。ポイントは特別な設定が必要ないところ。OSに内蔵されている機能になので、ユーザー様がどの通信業者を選んだり、申し込みサイトで手続きをしたりする必要がない。このデータプラン、実はアニバーサリーアップデートというバージョンから搭載されていた。ただ、北米、イギリス、フランスの提供だったので、日本マイクロソフトからの説明では、アニバーサリーアップデートのクリエイターズアップデートでは触れていなかった機能になる。しかし、今回のVAIOの新モデルでは国内で初めてこのデータプランがお使いいただける」(春日井氏)
また、VAIOは、データプラン対応とした背景として、現行VAIO S11 LTEモデル購入者を対象としたアンケート結果を披露しました。そのアンケート結果では、LTEモデルを買っているにもかかわらず、約25%が「当面SIMを入れて使用する予定はない」と回答したそうです。VAIOでは、この点にフォーカスしました。つまり、SIMサービスの「月額契約に心理的なハードルがある」と考え、新モデルでは気軽にSIMサービスを使える「データプラン」に対応させたとのことです。さらに、VAIOでは、LTEモデルを購入すると1GB/1カ月の通信サービスが無料で使えるデータプラン対応SIMも同梱します。
続けて林氏は、ストレスフリーという軸で新モデルの説明を行いました。ストレスフリーを体験するためには、デザインは非常に重要な要素になるとのこと。方向性によってはデザイン自体がストレスフリーにもストレス増加にもつながる可能性があるとしました。
「VAIOは単に見た目が美しいことだけを追い求めるのではなく、美しさがさらに強さや使い勝手のよさにつながることを目指している。こうしたVAIOのデザイン・フィロソフィーを社内では“機能美”と呼んでいる。私たちはこの“機能美”に深くこだわって設計を進めている」(林氏)
市川実日子も絶賛する驚きの軽さ
CMなどのプロモーションには女優の市川実日子さんを起用。会場にはスペシャルゲストとしてご本人が登場し、実際に新しいVAIOを使った感想などが披露されました。
「これまで友だちとパソコンの話をする機会はなかったんですけど、私が出演しているCMを観てくれた人から、“実はVAIO使ってるんだ”とか“昔のVAIOはこうだったんだよ”とか、言ってもらう機会が増えましたね。あと、実際に使ってみて思ったんですけど、とにかく今回のモデルは軽くて驚きました。私も、VAIO S11を使っているんですけど、軽いし、SIMフリーなので、持ち歩く機会も増えました。ありがとうございます」(市川さん)
このあと市川実日子さんの撮影会が行われ、イベントは大盛況で幕を閉じました。最後に、展示場の様子を写真中心にご紹介したいと思います。
メインストリーム13.3インチワイド「VAIO®️ S13/VAIO®️ Pro PG」とメインストリーム11.6インチワイド「VAIO®︎ S11/VAIO®︎ Pro PF」。カラーバリエーションは、13.3インチワイド「VAIO®️ S13/VAIO®️ Pro PG」では、スタンダードなブラック・シルバーの2色展開。11.6インチワイド「VAIO®︎ S11/VAIO®︎ Pro PF」では、ブラック・シルバーに加え、清潔感がありカジュアルなイメージを与えるホワイト、シックな空気感をまとったブラウンの4色を展開。15.5インチワイドモデル「VAIO®️ S15/VAIO®️ Pro PH」では、ブラック、ホワイト、シルバー、ピンクの4つのカラーバリエーションが用意されます。見られることが喜びになるスマートなデザインですね。
「持ち運べるデスクトップ」「映像、音へのこだわり」「安心のオールインワン」をコンセプトに、生まれ変わったVAIO®️ S15/VAIO®️ Pro PHシリーズ。高評価だったという従来機種のデザイン、デスクトップ級のハイパフォーマンスを継承しながら、お客様のフィードバックを反映し、より高性能に、使いやすく進化したといいます。
会場には新製品の発表を待ち望んだ多くのマスコミ関係者が集まりました。実際に製品を手に取り、使い勝手のよさを確認する人や、あらゆる角度から新製品を撮影するメディア関係者ですが、プライベートでもコアなVAIOファンのようです。