目次クリックで該当箇所に移動します
現在のビジネスにおいて連絡手段は、電話ではなくメールが主体になっているが、最近ではチャットツールも使われることが増えている。しかしチャットツールには、SkypeやFacebook Messenger、LINEなどさまざまあるが、主に個人同士のやりとりに使われることが多い。もちろん、グループでの利用も可能だが、ビジネスで利用するにはセキュリティ面で限界がある。そこで今回は、チームの仕事を加速させるビジネス版チャットツールについて紹介する。
社内メールをチャットツールに変えてみよう
会社での仕事は、部署ごとやチームごと、プロジェクトごとなど、さまざまなメンバーと一緒に作業しているはずだ。それらの仕事の進捗や情報を共有しようとしたとき、メールで行なっている会社も多いだろう。メーリングリストを作ればその都度メンバー全員のメールアドレスを入れる必要がないので負担は少ないものの、メンバーがコロコロ変わったり、短期間の案件が多かったりしたら、メーリングリストを管理するのも大変である。また、1日数百通届く人の場合、重要なメールが埋もれがちで、届いたメールを整理するのも一苦労。メール処理に時間がかかり、会議中にまでメール処理の内職している人も少なくないはずだ。
そこで導入してほしいのがチャットツールである。「チャット」という言葉はパソコン通信時代からあるし、LINEやFacebook Messengerなどを利用している人ならどんなものかは想像できるだろう。クラウドサービスが中心で、スマートフォン向けのアプリもあり、どこからでもアクセスが可能。リアルタイムにやり取りするだけでなく、過去に遡ってコメントを見られるので、メンバー全員で情報の共有が簡単に行なえる。
個人用のチャットと大きく違うのは、会社用の場所が用意され、そこに登録したメンバーのみがアクセスできること。メンバーは社員だけでなく社外の人も登録できるが、仕事とは関係のない人や、やり取りが存在しないことで仕事のツールとして集中できるほか、自由に部屋を作ってメンバーを限定できるので、情報が整理されナレッジを共有しやすいのがメリットだ。ファイルの共有はもちろん、メンバーを指定してコメントをつければ、指定したメンバーへ通知が行くなど、重要なコメントは見逃さない工夫もされている。個人あてにメッセージも投げられるので、社員同士のコミュニケーションツールとして利用するのもいいだろう。
個人あてにメッセージも投げられるので、社員同士のコミュニケーションツールとして利用するのもいいだろう。ただ、社外の人と積極的にコミュニケーションして、新たなつながりが可能なFacebook MessengerやLINEなども欠かせないツールなので、どちらも柔軟に使えるようにしておくのがベストだ。
最新のビジネスチャットツールを比較
ビジネスを目的としたチャットツールは数多く存在するが、今回はその中から注目されているツールを幾つか紹介しよう。
Office365に含まれる新ツール「Microsoft Teams」
2017年3月に正式公開されたビジネスチャットツールで、チームの仕事を円滑にするために作られたのが「Microsoft Teams」だ。SkypeとSlackが合わさったような画面構成で、チームごとに部屋を作ってシンプルにコミュニケーションができ、グループチャットや個人とのやり取りができるのは、ほかのツールと同様。さらに、メールを統合できたり、会議のスケジューリング機能が備わっていたり、Office文書はシームレスに編集できたりと、Office365のほかのソフトとの連携できるのがメリットだ。
また、サードパーティー製アプリやサービスとの連携も可能で、企業に合わせたカスタマイズができる。ボットによるミーティングの設定も用意されていて、面倒な作業は極力ツールに任せることで、仕事の効率を加速させていくことを目指している。Teamsが含まれるのは「Office 365 business Premium」などで、Office 365を導入している、もしくは検討している企業にオススメだ。
世界的に大人気チャットツール「Slack」
1ラインのコメントが時系列で流れていき、引用やスレッドが可能。コマンドを使いこなせばテキスト入力だけでさまざまなことができ、シンプルで軽快なのが「Slack」だ。たとえば、特定の人あてにコメントしたいときは、メンションと呼ばれる「@+登録名」を頭につけるだけで、相手に通知が届く。チャンネル(部屋)を作ってメンバーを絞ったり、グループチャットや個人同士で会話をしたりもできる。
さまざまなサービスと連携が可能で、たとえばGoogleカレンダーと連携して、スケジュールの通知をSlack上に流したり、Twitterと連携してメッセージが届いたらSlack上へ流したりなど、仕事の効率化も図れる。17年11月より待望の日本語版が対応。日本語のヘルプも用意されており、それほど迷わず使えるはずだ。マルチプラットフォームに対応し、IT系企業はもちろん、クリエイティプ系企業にオススメだ。何よりも10個までの他ツールとのインテグレーションなら無料という点もスモールビジネス、スタートアップ企業にはおすすめのポイントだ。
日本生まれのチャットツール「チャットワーク」
日本企業らしい丁寧な作りで、チャットのほかタスクも管理できるのが「チャットワーク」だ。Slackが1ラインコメントのシンプルな作りに対して、チャットワークは複数行使ってメッセージを書き込むタイプ。時系列でコメントが流れていくが、メールのような引用も可能で、コメントをそのままタスクとして登録もできる。部屋を作ることでメンバーを絞り、グループチャットや個人宛のやり取りができるのはSlackと同じ。
マルチプラットフォームに対応し、APIも公開されているので、アプリと連携して活用することも可能だ。ITに明るくない人でも操作がわかりやすいので、非IT企業やタスクの進捗管理も行いたい業種・部門にオススメ。
日本で圧倒的に利用されているLINEのビジネス版「LINE WORKS」
2017年2月に公開されたLINEのビジネスチャット「LINE WORKS」は、LINEのトークの使い勝手はそのままに、セキュリティ面と管理機能を強化したものだ。とにかく、LINEのトークに慣れた人には、使いやすくすんなり入れるのが特徴。
組織やアドレス帳と連動したトークルームや既読メンバーの個別確認機能など、ビジネス向けの機能も用意。外部の顧客や取引先に、「LINE」を使ってメッセージを送ることもでき、社外とのつながりもこのツール1つで確保できる。導入もしやすいので、中小企業やコミュニケーションツールとしてLINEを利用していた企業にはオススメ。
ビジネスチャットワークツールの機能一覧
ここで紹介した以外にもビジネスチャットツールはあるが、企業文化や、チャットツールでやりたいことは企業によってさまざま。まずは無料で使えるものも多いので、試験的に利用してみて、使い勝手のいいものをチョイスするといいだろう。
チャットツールを社員全員が活用することで、仕事の効率を向上させる効果がある。
たとえば、プロジェクトごとに部屋を作って意見交換や進捗の報告をするようにすれば、メンバーが顔を合わせて会議する回数を減らせられるだろう。社外メンバーも一緒に登録していれば、情報共有だけでなく先方へ行って会議を行う頻度も少なくなるはずだ。会議に奪われていた時間を、ほかの作業に割くことで、新たなアイデアが生まれる可能性も秘めている。ビジネスチャットツールの導入は、働き方改革へ踏み出す大きな一歩になるはずだ。