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PCのバックアップ手順とは?注意点やデータの保存先も解説

PCで作業する女性

PCのバックアップは、PC内に保存している重要なデータを消失させないために行う重要な作業です。誤ってデータを削除してしまった際も、事前にバックアップを取っておけば簡単に復元できます。この記事では、PCをバックアップする重要性や主なバックアップデータの保存先、バックアップの手順、注意点を解説します。

PCのバックアップとは

PCを見ながらディスカッションをするビジネスパーソン

PCのバックアップとは、PC内に保存されているデータをUSBメモリーなどのメディアに複製することです。バックアップを行うことで、PC内の重要なデータが消失するリスクを抑え、万が一PCが故障した場合も、復元することで元通りにできます。PCを替えた際も、事前にバックアップを取っておくことで新しいPCへのデータ移行が手間なく行えます。

バックアップしたデータは1カ所に保存せず、複数の場所に保存することも重要です。バックアップデータを保存したメディアの紛失や故障時も、予備のメディアへ保存しておくことですぐに復元作業を進められます。

もしバックアップを取らずにPCが故障した場合、業務に必要なデータが消失することによって企業の運営に支障が出たり、営業活動を停止せざるを得ない状況に陥ったりする恐れがあります。

なぜPCのバックアップが必要なのか

なぜPCのバックアップが必要なのか、理由をご紹介します。

操作ミスによるデータの消失を防ぐ

PCを操作しているときに、誤って大切なデータを削除してしまう可能性があります。PCの設定によってはゴミ箱での一時保管を経ずに削除されてしまうこともあるため、そのような事態に備えてバックアップを取っておくことで、誤って消去したデータを復元できます。

ウイルス感染によるデータの消失を防ぐ

PCがウイルスに感染し、PCの操作やデータの取り出しができなくなったり、初期化しなければならなくなったりするケースがあります。新しいPCへの切り替え時に、元のPCのデータを移行させたい場合は、事前にバックアップを取っておくことでスムーズに移行作業が行えます。このとき、バックアップデータ自体がウイルスに感染していた場合は、新しいPCにも感染が広がる可能性があるため、事前にウイルスチェックを必ず行うようご注意ください。バックアップデータのウイルスチェックや移行作業に関しては、専門業者に依頼することもおすすめです。

故障によるデータの消失を防ぐ

PCに飲み物などをこぼしてしまい故障し、データの復旧ができなくなるケースもあります。バックアップしたデータがあれば、急な故障によってPCを替えた際もすぐに新しいPCへデータを移行できるため、業務に支障をきたすリスクを抑えられます。

自然災害によるデータ消失を防ぐ

地震や落雷、豪雨などの自然災害によってPCが故障する可能性があります。これらの自然災害はいつ起こるか予測できないため、事前にバックアップを取っていない場合、データがすべて消失してしまう事態も考えられます。万が一の自然災害に備え、重要なデータを保護できるようバックアップを取っておくことがおすすめです。

第三者の悪用によるデータ消失を防ぐ

内部不正や第三者の悪用によってPC内に保存していたデータが改ざんされ、本来のデータを消失してしまうケースもあります。こまめにバックアップを取っておくことで、データを改ざんされた場合も、すぐに元のデータに復元できます。このように、PCのバックアップは、第三者による悪用の被害を最小限に抑える点においても役立ちます。

PCのバックアップを行う際のポイント

PCのバックアップを行う際には、次のポイントを押さえておくとよいでしょう。

どのようなデータをバックアップするべきか

バックアップを行う際は、自分で作った資料や書類などのデータが最も重要です。外部から受け取ったデータは再度入手できる可能性がありますが、自作したデータは復元が難しいため、バックアップを必ず取っておくように心掛けます。

なお、OSやアプリケーションなどPC全体のデータをバックアップすることで、システム全体のデータを保存することができ、OSによっては自動バックアップ機能も備えています。

どのようにデータをバックアップするべきか

バックアップしたデータをどのように保存するかを考えておくことも重要です。PCに内蔵されたHDDやSSDのみにバックアップを行った場合は、PCが故障などで操作できなくなった際にデータを取り出せなくなってしまうため、外付けHDDやUSBメモリーなど、外部のメディアに保存することで、端末そのものが切り替わった場合でもデータを復旧できるようになります。

PCのバックアップデータの主な保存先

PCのバックアップデータの保存先として主に考えられるものは、次のとおりです。現在では、外部の記憶媒体の使用を禁止、または制限している企業も増えているため、使用前には必ず社内の規定をご確認ください。

外部の記憶媒体

外部の記憶媒体では、主に外付けHDD、外付けSDD、USBメモリー、SDメモリーカード、CDやDVD、Blu-rayディスクなどが挙げられます。これらの記憶媒体は小型で軽量なものが多く持ち運びに適しており、大容量のデータを保管できるため、バックアップデータの保存先としても適しています。しかし、媒体によっては熱や振動などの衝撃に弱い場合や、小型であるがゆえに紛失や盗難のリスクが高く、情報漏えいの原因になる恐れがあります。外部の記憶媒体を使用する場合は、社内での管理方法や使用時のルールを確認することが重要です。

NAS

NASは、ネットワークに接続して利用するHDDの記憶装置を指します。ネットワークを経由することで、PCやスマートフォンなどのバックアップやデータ共有が簡単に行える点が特長です。また、複数のHDDを1つのドライブのように認識させるRAIDに対応することで、HDDが1台故障した場合でも、データを消失させずにシステムを自動で稼働させることができます。

このように、NASは冗長性が高く、比較的データ消失のリスクが低いため、システムの稼働を維持し続ける必要があるサービスなどのデータバックアップによく用いられます。一方で、NASは高機能かつ大容量であり、通常の外付けHDDよりも高価な点に注意が必要です。

クラウドストレージ

クラウドストレージを用いて、インターネット上にバックアップデータを保存する方法もあります。クラウドストレージを提供するサービスによって、保存可能な容量や価格は異なるため、自社の予算や保存するデータによってサービスを選択するとよいでしょう。

クラウドストレージは、インターネットを経由するためデータへのアクセスにおける利便性が高い点がメリットですが、データを読み書きする速度はネットワークの速度に依存します。そのため、オフライン状態では、データの利用に支障が出る可能性があるためご注意ください。

PCのバックアップ方法は2種類ある

PCのバックアップには、次の2種類の方法があります。

必要なデータのみバックアップする

自分で作成した書類など、特定の重要なデータのみを選んでバックアップできます。この場合、選択したデータのみを複製するため、バックアップにかかるデータ容量を削減できる点が特長です。必要なデータのみをバックアップするやり方は、手動と自動での方法があり、手動で行う場合は必要なデータのファイルをコピーし、PCに接続した保存先のメディアのフォルダーに貼り付けます。自動で行う場合は、あらかじめ選択したファイルを定期的に自動保存するようPC上で設定します。

システム全体をバックアップする

PC全体のOSやデータ、アプリケーション、設定内容などを含めたすべてのデータをバックアップする方法を「システムイメージの作成」と呼びます。システムイメージの作成を行うことで、万が一PCの故障やデータの消失が起こった際も、元の状態に復元できるため便利です。

このとき、システムイメージの作成時におけるデータの保存となるため、その後に更新された内容は消失する可能性があるため注意が必要です。また、PCのすべてのデータを保存することになるため、システムイメージの作成を行う際は、大容量の保存メディアをご用意ください。

バックアップのイメージ図

PCのバックアップ手順(Windows 10 / Windows 11 / Mac)

PCのバックアップの流れを、それぞれご紹介します。

Windows 10の場合

Windows 10でバックアップを取る手順は、次のとおりです。

一部データのバックアップを取る方法

  1. デバイスをPCに接続する
  2. 「スタート」ボタンから「設定」をクリックする
  3. 「更新とセキュリティ」をクリックする
  4. 「バックアップ」をクリックする
  5. 「ドライブを追加」から、接続したデバイスを選択する
  6. 「ファイルのバックアップを自動的に実行」をオンにする
  7. 「その他のオプション」をクリックする
  8. バックアップ オプション画面を開き、「今すぐバックアップ」をクリックする

Windows 10で一部データのバックアップを取る手順は、こちらのページでもご紹介しておりますので、併せてご確認ください。
関連FAQ:[Windows 10] ファイル履歴を使用してバックアップする方法

Windows 10でシステムイメージの作成を行う手順は、こちらのページでもご紹介しておりますので、併せてご確認ください。
関連FAQ:[Windows 10] PC全体のバックアップ(システムイメージのバックアップ)を行う方法

※システムイメージの作成は、Windows 10 Fall Creators Update (Ver.1709)以降、開発を行っていない機能となり、新バージョンの公開時には機能が削除される可能性があります。本機能でバックアップを行った際、バックアップが完了しない / バックアップしたデータを復元できない可能性がありますのでご注意ください。

Windows 11の場合

Windows 11でバックアップを取る際には、マイクロソフト社が提供するオンラインストレージサービスの「OneDrive」を使用します。Windows 11でバックアップを取る手順は、次のとおりです。

OneDriveでバックアップを取る方法

  1. 画面右下のタスクトレイから、雲の形をした「OneDrive」のアイコンをクリックする
    (タスクトレイにOneDrive のアイコンがない場合は、上矢印のをクリックし、表示されたメニューから「OneDrive」アイコンをクリックします)
  2. OneDriveが起動したら、歯車のアイコンをクリックする
  3. 「設定」をクリックする
  4. OneDriveの設定画面が開いたら、「アカウント」内の「フォルダーの選択」をクリックする
  5. 「フォルダーの選択」画面が表示されたら、OneDriveへバックアップするフォルダを選択し、「OK」をクリックして画面を閉じる
  6. 手順5.で選択したフォルダーの中にバックアップしたいデータを配置することでOneDriveと同期され、OneDrive上にデータがバックアップされる

Windows 11でのバックアップ手順は、こちらのページでもご紹介しておりますので、併せてご確認ください。
関連FAQ:[Windows 11] バックアップを行う方法

Macの場合

バージョン10.5以降のMacには、「Time Machine」という自動バックアップ機能が含まれています。Time Machineを用いることで、PCのデータをすべてバックアップできます。

詳しい手順や注意事項については、Appleのサポートページをご確認ください。
関連FAQ:Time Machine で Mac をバックアップする

PCのバックアップデータを復元する方法(Windows 10 / Mac)

バックアップを取ったデータを復元する方法をご紹介します。

Windows 10の場合

Windows 10でバックアップデータを復元する手順は、次のとおりです。

一部データのバックアップを復元する方法

  1. デバイスをPCに接続する
  2. 「スタート」ボタンから「設定」をクリックする
  3. 「更新とセキュリティ」をクリックする
  4. 「バックアップ」をクリックする
  5. 「その他のオプション」をクリックする
  6. バックアップ オプション画面を下までスクロールし、「現在のバックアップからファイルを復元」をクリックする
  7. 「ファイル履歴」画面が表示されるので、画面下部にある左右の矢印のボタンをクリックして、復元するデータの日時の画面を開く
  8. 復元したいファイルやフォルダーを選択し、画面下部にある緑色の 「元の場所に復元します。」ボタンをクリックする

Windows 10で一部データのバックアップを復元する手順は、こちらのページでもご紹介しておりますので、併せてご確認ください。
関連FAQ:[Windows 10] ファイル履歴を使用してバックアップしたファイルを復元する方法

Windows 10でシステムイメージの作成を行う手順は、こちらのページでもご紹介しておりますので、併せてご確認ください。
関連FAQ:[Windows 10] PC全体のバックアップ(システムイメージのバックアップ)を復元する方法

Macの場合

Macでは、Time Machineを用いて次の手順でバックアップデータを復元できます。

Time Machineで一部のバックアップを復元する方法

詳しい手順や注意事項については、Appleのサポートページをご確認ください。
関連FAQ:MacでTime Machineを使って、バックアップを作成した項目を復元する

Time MachineでPCのバックアップを丸ごと復元する方法

macOSを再インストールする必要がある場合は、Macの起動時に疑問符が点滅して表示されるため、再インストールを済ませてから復元を行います。

詳しい手順や注意事項については、Appleのサポートページをご確認ください。
関連FAQ:バックアップから Mac を復元する

PCのバックアップを行う際の注意点

PCで作業する男性

PCのバックアップを行う際には、いくつかの注意点があります。バックアップを行う前に、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

PCを利用しない時間帯にバックアップを行う

PCのバックアップは、一部のデータのみを複製する場合でも時間がかかることがあります。そのため、夜間などPCを利用しない時間帯に行うのがおすすめです。自動でバックアップを行う設定にしている場合は、バックアップを開始するスケジュールを設定できるため、あらかじめPCを利用しない時間帯に設定しましょう。

定期的にバックアップを行う

バックアップは定期的に行うことが重要です。PC内のデータは日々増え続けるため、重要なデータは毎日または週に1度バックアップを行い、PC全体のデータは月に1度バックアップを行うとよいでしょう。

差分のデータのみバックアップを行う

PCのバックアップには時間がかかることがあるため、WindowsやMacに標準搭載のバックアップ機能や、市販のバックアップ専用ツールでは、前回のバックアップから更新された差分データのみを次回バックアップする方法が適用されています。こまめにバックアップを取ることで差分データの量も減るため、バックアップにかかる時間を短縮できます。

まとめ

この記事ではPCのバックアップの必要性や主なデータ保存先、バックアップ手順、注意点などを解説しました。PC内のデータを安全に保つためにも、バックアップは重要な作業です。バックアップに使えるメディアはさまざまな種類があるため、それぞれのメリットとデメリットを比べながら、自社の管理体制や使用方法に合った製品を選ぶとよいでしょう。PCを定期的にバックアップし、万が一故障などのトラブルに遭った際もスムーズにデータを復元できるよう備えておくことが大切です。

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