働き方

有給休暇の取得義務化へ。付与日数とその背景

有給休暇の取得義務化へ。付与日数とその背景

皆さんは、しっかり休みが欲しいタイミングで有給休暇を取得できていますか?
もしくは多忙でまったく消化できていないでしょうか?

働き方改革における長時間労働削減や生産性向上と車の両輪のように語られるようになったワークライフバランス。

これまでの仕事のプロセスを見直しながら、最新のITツールやテレワーク、モバイルワークなどの制度を活用することで無駄を削減。プライベートの時間をしっかり確保していくことで、ワークライフバランスを整えることが働き方改革の本来の目的です。

そのような状況下、政府は「第4次男女共同参画基本計画」(※1)のなかで、2020年までに年次有給休暇取得率を70%にするという成果目標を掲げました。

「無茶を言うなよ」という、経営陣のご意見も聞こえてきそうですが、企業の恒常的な成長を目指す上で避けては通れないトピックであり、むしろ積極的に取り組むことで業績の大きな向上を見込めるはずです。

今回は、有給休暇消化・取得の義務化を軸に、従業員満足度・労働生産性の関係性について紹介していきます。ややデータが多くなりますが、ご勘弁ください。

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有給?有休?年休?略語はなにが正しいのか?

 

よく「有休」「有給」と呼ばれる有給休暇の正式名称は、「年次有給休暇」となります。国語辞典では、どちらも年次有給休暇の正式な略語として掲載されています。また労務担当の方では、「年休」を使用することが多いようです。

しかし、それぞれの略語は、誤解を生む可能性があります。例えば、「有給」ですと“給与が有る”という休暇とは関係ない表現になっていますし、「有休」だと“休みが有る”という休暇自体が存在する表現になっています。年休は一般的ではありません。

誤解を生まずに正確に伝える場合は、「有給休暇」「年次有給休暇」を使用するのが好ましいでしょう。

当記事も下記より、「有給休暇」で統一していきます。
※引用資料は除く

有給休暇の仕組みと義務化に向けて取得率を上げるための施策

有給休暇の仕組みと義務化

では、まず有給休暇とはどういった仕組みで付与されるのか、を改めて確認しましょう。

有給休暇の計画的付与は「労働基準法第39条第5項」に、「雇入れの日から6カ月継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日の有給休暇を与えなければいけない」と定められています。

その後は、継続勤務年数1年ごとに一定日数を加算した年次有給休暇を与えなければいけないとなっています。わかりやすく表にしましたので、ご確認ください。

年次有給休暇の付与日数<※厚生労働省「有給休暇ハンドブック」より作成>

長く勤続するごとに付与される有給休暇も多くなっていきます。また有給休暇は、正社員のみならず契約社員、派遣社員、アルバイトの方も所定の年間労働日に応じて、有給休暇を取得することができます。また有給休暇の有効期限は2年となっています。

 

有給休暇取得の義務化はいつから?内容は?

 

冒頭の有給休暇取得率70%以上という数値目標に対して国会で2018年6月29日成立した法案は、かいつまんで説明すると「年10日以上の年休権が発生する労働者に対し、そのうち5日を発生日から1年以内に、時季を定めて有給休暇を取得しなければならない」というものです(※5日以上取得している従業員は該当しません)。

いわゆる「有給休暇の取得義務化」と呼ばれるのはこの法案(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」)は、2019年4月1日から施行されます。

 

日本の有給休暇消化率は2年連続で世界最下位

 

「日本人は働きすぎ」と以前から指摘されていますが、なぜいま年次有給休暇消化が求められているのでしょうか? 政府が急務としているのか?をデータから見ていきましょう。

世界最大級の総合旅行サイト「Expedia」の日本版「Expedia Japan」が世界30カ国で行った「有給休暇国際比較調査2017」ではこのような結果が出ています。

有給休暇の消化率の国際比較<※Expedia Japan「有給休暇国際比較調査2017」をもとに作成>

支給日数はそこまで悪くないものの、消化日数・消化率ともに最低の数字となっています。内閣府の平成26年の調査でも、「有給休暇取得率」は、男性で44.7%。女性で53.3%となっております。

つまり、制度として日数を確保できた有給休暇は存在するものの(世界水準から見ても悪くない)、従業員が取得できていないのです。その理由はなんでしょうか?

 

なぜ有給休暇を取りにくいのか?その背景とは

 

独立行政法人 労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関する調査」(2011年)の「年次有給休暇を取り残す理由」では、回答者の半数以上が「そう思う」と感じたのは以下になります。
 
【年次有給休暇を取り残す理由】

  • 病気や急な用事のために残しておく必要があるから

  • 休むと職場の他の人に迷惑になるから

  • 仕事量が多すぎて休んでいる余裕がないから

 
読者の皆さんも思い当たるふしがあるのではないでしょうか?
やはり「職場の雰囲気・空気」「業務量の多さ」が大きな理由となっています。それを裏付けるように先述の「有給休暇国際比較調査2017」でも下記のようなデータがあります。
 
有給休暇国際比較調査<※Expedia Japan「有給休暇国際比較調査2017」をもとに作成>
 
「職場の空気」「業務量の多さ」「周りが忙しい」などは、「罪悪感」や「後ろめたさ」という概念にくくれるかと思います。つまり、「皆が働いているのに私だけ休むのは申し訳ない」という旧態依然とした環境がいまだ根強く残っているのです。

そして、もちろんそんな職場の環境を、従業員が可としているわけではありません。
 
転職先には有給休暇消化率が重視される<※Expedia Japan「有給休暇国際比較調査2017」をもとに作成>
 
転職活動で重視することで、トップが「より多くの有給休暇が取得可能」となっており、次いで「フレックスタイムでの勤務が可能」。そこには「しっかり働き、しっかりと休みたい」。つまり「ワークライフバランスを整えたい」という従業員のインサイトが見え隠れします。

有給休暇取得率は従業員満足度と比例する

有給休暇取得率と従業員満足度の関係

では、長時間労働がつづき、プライベートの時間を確保できなくなると、どうなるのか?
結果として、下記のようなことが考えられます。

  • メンタルヘルスへの悪影響
  • 仕事に対する意欲の低下
  • 生産性・業務効率の低下
  • 離職率が高まる
  • 人材を確保しにくい

 
それを裏付けるデータとして、労働基準局が発表した「長時間労働の抑制と年次有給休暇取得率の必要性」があります。

従業員満足度と有給休暇取得<労働基準局「長時間労働の抑制と年次有給休暇取得率の必要性」より制作>
 
ご覧のように、年次有給休暇取得率が低くなればなるほど、従業員満足度が下がる傾向にあることは一目瞭然です。特に30%未満になると、一気に満足度は下がります。

 

顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の関係性

 
「お客様は神様です!」の言葉の通り、日本では従来、顧客満足度(Customer Satisfaction)を徹頭徹尾貫いてきました。「顧客から連絡が入るかもしれないから休めない」「急ぎの対応で深夜まで残業した」など誰もが経験したことがあるでしょう。

それは考え方に間違いはありませんが、より顧客満足度(CS)を向上させるためには、従業員満足度(Employee Satisfaction)を上げる必要があります。

従業員満足度(ES)は、“働きがい”と換言してもいいかもしれません。誤解を恐れずに端的に言うと、「社員が満足していない会社のサービスを顧客が満足するのか?」ということです。

労働人口減少していく今後、優れた人材はどこで働きたいのか?もちろんそれは「働きがいのある企業」であることは間違いありません。有給休暇取得率は、従業員満足度(ES)、顧客満足度(CS)と密接な関係にあるのです。
 

年次有給休暇取得を推進するための施策

有給休暇取得を推進する施策

では、有給休暇の取得率を高めるために、どのような取組が効果的なのでしょうか?ここでは、企業が有給休暇取得率を向上させるための施策を紹介します。
 

①上司が率先して有給休暇を取得する

先述の通り、有給休暇を取得する際に罪悪感を感じるという人が多い結果となっています。上司が率先してプライベートのために有給休暇を取得する姿勢を見せることで、社内・部署内で気兼ねなく有給休暇を取得する風土が形成されます。

 

②情報共有を密にして、業務フローの属人化を防ぐ

各業務が属人化していると、有給休暇を取得しにくくなります。特定の社員にしかできない仕事があると、有給休暇を取得しづらくなるばかりか、組織としての弱体化にも直結します。ナレッジやノウハウが多くの社員に共有されることで、組織も強化されていきます。

 

③有給休暇の取得目標や奨励日を設ける

会社として有給休暇の取得率や取得日数の目標を立てましょう。またカレンダー上、飛び石連休などが生じたときは「有給休暇取得の奨励日」を設けることで、従業員も有給休暇を取得しやすくなり、大型連休が生まれることで理想のワークライフバランスを実現することが可能になります。

 
上記の3つの施策での目的は、社内に「有給休暇を取得するのが当たり前」という風土を作り上げることです。もっと踏み込むのであれば、独自の休暇制度を設けるのもいいでしょう。従業員満足度(ES)が高い企業から成長著しいベンチャー企業などは、企業カルチャーにあった休暇制度があります。

誕生日や結婚記念日に対する「アニバーサリー休暇」や子どものイベントや行事に参加する休暇制度といった一般的なものから、株式会社サイボウズ「育自分休暇制度」(※5)といった個性的なものまで例を上げれば暇がありません。

なぜ、企業がこのような取組をするのか?繰り返しになりますが、従業員満足度(ES)の向上が顧客満足度(CS)に繋がるからにほかありません。

 

制度を作って、奨励をしても業務改善ができていなければ意味はない

 

しかし、このような独自の制度を設けたり、有給休暇の取得を奨励しても、働き方改善、業務効率化がなされていなければまったく意味をなしません。

「皆さん、有給休暇を取得してください」といっても、そもそも休みを取ったことで仕事の納期がより厳しくなるようでは、従業員の不満を溜めてしまいます。

リモートワークやモバイルワークの制度やそれに伴う最新ノートパソコン、ITツールの導入を検討し、包括的な働き方改革に着手していきましょう。

多様的な働き方を推進して、ワークライフバランスを実現できる企業に優秀な人材が集まり、今後の競争に勝ち抜く底力が生まれてきます。

 
※1 内閣府男女共同参画局「第4次男女共同参画基本計画」
※2Expedia Japan
※3独立行政法人 労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関する調査」
※4平成29年度厚生労働省「就労条件総合調査」
※5株式会社サイボウズ

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2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

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主な内容

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