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eSIM対応PC導入で運用効率とセキュリティーを強化する

eSIMのイメージ図

「eSIM(Embedded SIM)」は、従来のSIMカードに替わるモバイル通信技術です。スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイスなどでの採用が進んでおり、近年ではeSIMに対応したノートPCも普及してきました。eSIMの最大の利点は、SIMカード交換なしで異なる通信サービスのネットワークに切り替えられることです。近年のハイブリットワークの拡大に伴い、法人PCでの導入も加速しています。企業はeSIM対応PCを利用することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。従業員と情報システム担当者それぞれの視点から詳しく解説します。

SIMの種類とeSIMの導入メリット

eSIM対応PCで仕事をしている男性

まずはSIMの種類と、企業がeSIM対応ノートPCを導入したとき、管理する側の情報システム担当者と、使用する側の従業員それぞれにどのようなメリットがあるのかを解説します。

SIMカードとeSIMの違い

近年、企業が採用しているテレワークやハイブリッドワークの要になるのが、従業員のPCとサーバをつなぐためのネットワーク環境です。オフィス以外のさまざまな場所でインターネット接続を確保するには、公衆無線LANやスマートフォンのテザリング機能を使う方法もありますが、通信事業者のモバイルネットワークを利用することで、より安定した通信環境が得られます。

ノートPC単体でモバイルネットワークに接続するには、スマートフォンと同じく加入者の契約情報を識別できる仕組みが必要です。現在広く採用されている方法は、物理的なカードを使う「SIMカード」と、チップ組み込みタイプの「eSIM」、この2つを組み合わせた「デュアルSIM」の3種類です。デュアルSIMは、2つの通信業者を使い分けるときなどに用いられ、近年ではSIMカードとeSIMの組み合わせ以外に、eSIMを2つ同時に利用できるタイプのノートPCも登場しています。

eSIMとデュアルSIM、SIMカードの違い

eSIMやデュアルSIMに対応したノートPCが普及し始めた背景には、セットアップしてすぐにインターネットに接続できる利便性があります。一方で、従来のSIMカードによる接続方法では、別の通信事業者の回線を利用したり、契約を変更したりする際にSIMカードの交換が必要な点が利用者にとってのデメリットになるでしょう。

IT資産管理の効率化とセキュリティー強化

eSIMの機能が最初から搭載されているノートPCは、使い勝手に優れているだけでなく企業の情報システム担当者にとっても大きなメリットをもたらします。例えば、従来のSIMカードでは各従業員に対して個別にユーザ情報を割り当てて設定し、SIMカードを配布する必要がありました。eSIMであれば遠隔での設定も可能になるため、配布やIT資産管理の手間が大幅に削減できます。

また、通信事業者の変更が容易になることで、企業全体の通信コストの最適化やサービス品質の向上に迅速に対応できるようになります。また、将来的にデバイスを更新する際も、eSIM対応PC同士であれば移行作業の工数削減に貢献できます。

さらに、eSIM対応PCはセキュリティー面でもいくつかの重要なメリットがあります。まず、SIMカードの紛失や盗難のリスクがないため、セキュリティーが強化されます。また、企業が提供するVPN(仮想プライベートネットワーク)へ安全にアクセスできるので、公共のWi-Fi使用時の情報漏洩リスクが減少します。特にハイブリッドワークのような勤務形態が増える現在では、大きなアドバンテージといえます。

このように、eSIM対応PCは運用の効率化、コスト削減、セキュリティー強化、そしてIT資産管理の最適化を実現する重要な要素となります。企業の情報システム担当者にとって、eSIM対応PCの導入は業務の効率とセキュリティーの向上に直結するため、非常に魅力的な選択肢といえます。

従業員の多様な働き方をサポート

eSIM対応ノートPCは、従業員の働く場所を限定せずフレキシブルに業務をこなす環境を提供できます。場所や環境による制限がなくなれば、作業効率の向上も見込めます。また、接続先のWi-Fiを探す必要がなくなるので、本来の業務に集中することもできます。

さらに、国内外を問わず異なる地域で働く企業の従業員にとっても、モバイル通信を簡単に切り替えられるeSIM対応PCは大きなメリットをもたらします。

eSIM対応PCの選定と導入プロセス

eSIM対応PCの選定と導入プロセス

eSIM対応ノートPCの一般的な選定基準と、基本的な導入プロセスについてステップごとに解説します。

ノートPCと通信業者の選定基準

まずは、企業ニーズに合ったeSIM対応ノートPCを選定する必要があります。考慮すべき要素としては、PCの性能、バッテリーライフ、耐久性、さらには対応するモバイル通信の種類(例えば、LTEや5Gなど)が挙げられます。また、業務で使用するソフトウェアやアプリケーションとの互換性も重要な選定基準です。

次に通信事業者との契約を結び、eSIMのプランを選択します。ここでは、データ通信量、速度、カバレッジエリア、コストなどを総合的に考慮し、企業の要件に最適なプランを選ぶ必要があります。eSIM対応ノートPCの利点の1つは、通信事業者や通信プランの切り替えが容易なことであり、手続きのシンプルさや将来の拡張性、柔軟性も考慮したプラン選定が望ましいです。

導入時に発生しがちな課題と解決策

eSIM対応ノートPCの導入では、運用管理を効率的に行うためのシステムの整備が不可欠です。これには、主に使用状況のモニタリング、セキュリティー状態の監視、通信コストの最適化などが含まれます。

事前に各企業の目的実現に合わせた管理システムの設計と、運用に至る各段階のプロセスを適切に実施していくこと、運用開始前のテストなどの検証を経ることが重要です。その結果eSIM対応ノートPCのメリットを最大限に活用し、企業の通信インフラを効果的に管理することができます。

従業員への設定配布や管理も重要です。IT部門は各従業員のノートPCに必要な通信設定をeSIMに対して遠隔で行うことができます。これにより、従業員は新しい通信プランやネットワークへの切り替えが発生した場合も、スムーズに移行できます。

導入の最適なタイミング

eSIM対応ノートPCの選定から導入、運用に至る各段階で、コスト管理、セキュリティー、互換性、従業員のトレーニングなど必要な要素を検討し、スケジュールに余裕を持って準備を進めることは重要です。利用開始のタイミングは導入済みPCの更新時が一般的ですが、例えば、サポート期限が2025年10月14日に迫るWindows 10(バージョン22H2)を利用している場合は、サポート期限切れの前に移行することも検討してみてはいかがでしょうか。

eSIM対応PCで企業のDXを加速する

DXを加速させるイメージ図

eSIM対応PCが企業にもたらす多くのメリットについて解説しました。従業員には高い利便性を提供し、簡単に、かつ安全にネットワークへ接続できるだけでなく、通信の品質や速度の向上により作業効率が大幅に改善します。また、SIMカードの紛失や盗難のリスクがなくなるため、これまで以上に安心して活用できます。

そして、企業の情報システム担当者にとっては、SIMカードの管理が不要となり、デバイスの運用管理が効率的になります。さらに、遠隔での設定変更が可能なため、通信事業者の変更やプランの調整が容易になり、通信コストの最適化も図れます。セキュリティーも強化され、企業ネットワークへの安全なアクセスを提供できます。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進し、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるeSIM対応PCは、将来にわたって重要な役割を果たすことでしょう。

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