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今すぐ導入したい「業務効率化ツール」 種類や特長、それぞれのメリットとは?

日本は今後、少子高齢化の影響で労働人口が減少します。企業の活動を維持していくためには、業務効率化を図り、一人当たりの生産性を高める必要があります。日本を支える約360万社(日本の全企業数のうち99.7%を占める)の中小企業の中には、いまだに紙と電話、FAXを活用しているところもたくさんありますが、仕事のデジタル化を進め、業務効率を改善することで競争力を向上させていかなければなりません。これらの課題を一刻も早く解決できるのが、SaaS(Software as a Service)です。サービスとしてのソフトウェアという意味で、以前はパッケージとして販売されていたソフトウェアが現在ではインターネットを介して利用できます。

SaaSは、自社でサーバーを用意しなくても必要なアカウント数を契約するだけで利用できます。そのため、低コストで、簡単かつ短期間でサービスの導入が可能です。インターネットに接続できれば、OSやデバイス問わず利用できることも特長の一つです。機能のアップデートから不具合の修正まで、サービスの運用はSaaS事業者が行うので、ユーザーは契約している限り最新の機能を利用できます。企業規模が拡大した時のアカウントやオプションの追加契約も簡単です。コロナ禍でテレワークが普及し、多くの方がオフィスだけでなく、自宅やコワーキングスペースでも仕事をするようになりました。SaaSが導入されていれば、遠隔地でもオフィスにいるのと同じ仕事ができます。

SaaSの導入にあたっては、社内関係者の理解を得る必要があります。直接売上を立てるシステムではないため、現状抱えている業務課題の解消や業務効率の改善といった付加価値を説明し、費用対効果を見せることになるでしょう。導入するSaaSについて共通認識をしっかり持っておかないと、無理矢理決裁を通したとしても、その後の社内利活用に繋がりません。そこで、上司や社内にSaaSの導入を納得してもらうためのメリットを打ち出すことが重要になります。

今回は、情報を保管する「オンラインストレージ」、社内コミュニケーションを担う「ビジネスチャット」、そして業務システムを自分で構築する「業務アプリ作成ツール」について、導入のメリットを紹介します。

オンラインストレージ:データを共有して業務効率を改善

オンラインストレージは、インターネット上にファイルを保存するサービスです。ユーザーはどこからでもアクセスでき、オフィスでも自宅でも、PCでもスマートフォンでも必要なファイルの閲覧やダウンロードが可能です。万が一サービス提供会社のサーバーでトラブルが起こると、一時的にファイルにアクセスできなくなる場合も考えられますが、場所に依存せず複数人でデータを共有できるのが大きな利点です。

インターネット上にファイルを保存できるオンラインストレージサービス。画像は「Dropbox Business」。

自社サーバーへの保存は、導入や運用のコストが大きく、小回りが利かない

オフィスで使用するPCや自社サーバーにデータを保存していると、データにアクセスするためには出社する必要があります。自宅で仕事をするためにデータをコピーして持ち出したUSBなどを通勤途中に紛失し、情報漏洩するリスクも見逃せません。

そもそも、自社サーバーは保守管理のコストが大きい上に、故障や災害発生時に業務が止まる可能性もあります。昨今、BCP(事業継続計画)対策が重要視されていますが、その観点からもリスクとなります。自社サーバーは利用しなくなったときに返品ができませんし、規模の拡大に伴いサーバーを増強する際のコストや手間も負担になります。設備が古くなっても、予算の関係で使い続けなければならない、というケースも多いでしょう。

(オンラインストレージを活用すれば)効率的に安全にデータを管理でき、業務効率も向上する

定番のオンラインストレージサービスであれば、ビジネス利用を念頭に置いたアクセス権管理機能を備えています。従業員は自分が必要なファイルのみにアクセスでき、不要なファイルは見られない、という設定が可能です。従業員が退職する際も、オンラインストレージのアカウントを無効化するだけで情報漏洩を防げます。

また、自社サーバーよりも運用コストを抑えつつ、プランによっては容量無制限で利用できます。情報漏洩対策、BCP対策としても有効です。データの置き場所を集約することで、管理する手間も少なく済むというメリットもあります。自社サーバーの運用に課題を感じているなら、オンラインストレージサービスの導入を検討しましょう。

ファイルにアクセスできるユーザーはアクセス権で制御できます。画像は「Dropbox Business」。

ビジネスチャット:効率的かつ柔軟なコミュニケーションが可能

ビジネスチャットは社内外の人とチャットでやりとりができるツールです。1対1はもちろん、複数人のグループでやりとりも行えます。気軽にやりとりできるがゆえに情報量が増え、重要な情報を見逃す可能性もありますが、あたかも会話しているようにスピーディーなコミュニケーションができるのが利点です。

ビジネスチャットならテキストベースでレスポンスのいいコミュニケーションができます。画像は「Slack」。

メールでは、話の流れを辿るのが難しい

業務連絡の手段にはメールが多く使われていますが、「お世話になっております」などの定例挨拶に時間や工数が割かれるという声を多く聞きます。また、全員がきちんと引用したり返信したりするとは限らないため、メールのやりとりが重なると、どんな話の流れだったのか遡るのが難しいのもネックです。送信先のメールアドレスを間違えて、外部に社外秘の情報を送ってしまう事故が起きる可能性もあります。

そのため、個人向けのチャットサービスを業務で利用する人が増えてきました。しかし、個人ツールを業務で使用すると情報漏洩のリスクが高まります。セキュリティもビジネス向けのサービスほど強固ではない可能性もあります。

(ビジネスチャットを活用すれば)情報漏洩を防ぎ、円滑なコミュニケーションが可能になる

ビジネスチャットを導入することで、コミュニケーションの課題を解消できます。「お世話になっております」などの挨拶を書かずにダイレクトに用件を入力できるので、スムーズなコミュニケーションが可能です。特定の相手とのチャットのため、外部に情報が漏洩することもありません。スタンプや絵文字も用意されており、気軽なやり取り、返信の効率化もできます。従業員が退職する際はアカウントを無効化するだけで、情報漏洩リスクを防ぐことも可能です。

メールよりもスピーディーに、個人向けツールよりもセキュアに意思疎通ができるようになります。情報漏洩対策になるうえ、コミュニケーション手段を集約することで、業務効率も高まります。社内コミュニケーションに課題を感じているなら、サービスの導入を検討しましょう。

定型挨拶もなく、スタンプ等を使用し円滑かつ効率的にコミュニケーションできるのがビジネスチャットの魅力。画像は「LINE WORKS」。

業務アプリ作成ツール:システムを内製し業務効率化を図る

業務アプリ作成ツールは、業務で利用するシステムを自分たちで作ることができるプラットフォームサービスです。ノーコード・ローコードプラットフォームとも呼ばれ、プログラミングなしに、システムを構築できるのが特長です。カスタマイズや機能拡張には限界があり、大規模システムの構築には向いていない場合もありますが、必要十分な顧客管理や申込フォーム、売上管理等のシステムをスピーディーに内製できるのがメリットです。

マウス操作でフィールドをドラッグ&ドロップするだけで業務アプリを作成できます。画像は「kintone」。

外注では、時間とコストがかかるうえ、使いにくいシステムになる可能性もある

業務システムの開発を外注すると、高額な開発費に加えて数ヶ月単位の時間がかかります。ビジネススピードが加速する昨今、数ヶ月も経つと必要な機能が変化することも考えられます。また中小企業の場合は、そもそもシステム開発費を用意できないこともあるでしょう。

(業務アプリ作成ツールを活用すれば)現場で必要とするシステムを自社でスピーディーに作成できる

業務アプリ作成ツールを使えば、現場が必要とするシステムを迅速に構築できます。ツールの操作方法を覚える必要はありますが、慣れれば短時間で作成できます。顧客管理や申し込みフォーム、売上管理など、シンプルなアプリであれば、それこそ1日で作成可能です。外部サービスと連携する大がかりなシステムを1~2週間で作り上げている企業もたくさんあります。

何より、業務を一番よく知る自社の社員が作るため、必要な機能を必ず網羅できるのがポイントです。外注時の意識のすれ違いが起きないのです。システムを作る際には、ワークフローの棚卸しが必要で手間がかかりますが、業務のボトルネックに気付き業務効率を改善できるというメリットもあります。社内システムの開発に課題を感じているなら、業務アプリ作成ツールの導入を検討しましょう。

まとめ

企業における、業務効率に関する課題の多くはそれぞれの領域に特化したSaaSの導入で解決します。業務効率の改善はもちろん、ビジネススピードの向上、セキュリティ確保を実現でき、従来のシステムを使い続けるのに比べコストダウンにもつながることも多いです。

「2025年の崖」を超えるべく、日本企業は急いでDXにチャレンジしていかなければなりません。大企業はもちろん中小企業もニューノーマルな時代で継続的に成長していくためにも、SaaSを活用してみるとよいでしょう。

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