IT

BIツールとは?役割や4つの機能、各ツールを比較紹介

現在、企業のデータ分析には営業支援システム(SFA)や基幹システム(ERP)、顧客管理システム(CRM)など多くのツールが活用されています。しかし、役割の違うツールから得られた異なるデータをすべて活用するのは容易でありません。そこで企業に収集・蓄積された膨大なデータを統合し、分析するBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)が注目されています。
今回は、企業の資産ともいえるデータを有効活用し、経営者の迅速な意思決定を助けるBIツールの概要や導入ポイント、オススメのBIツールの比較を含め紹介します。機能を正しく理解し、経営課題の解決や競合他社との差別化に役立てましょう。

BIツールとは

BIは「Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)」の略称で、データの分析と活用を意味します。BIをより効率的にするのがBIツールです。
データの収集・分析にはExcelや CSVをメインに使用している企業も多いかと思いますが、データの手入力や複雑な関数を必要とする計算には多くの手間がかかる上、ミスも生まれます。BIツールの場合、複数のツールとの連携で直接データを取得し、ExcelやCSVよりも高速なデータ処理が可能です。属人化されやすい分析結果の表示方法も、自動的にグラフを用いた成形・レポート作成ができます。
市場変化の激しい現代のビジネス環境で、スピード感を持ちながら経営活動を行うには、BIツールの活用が求められるといえます。具体的に、BIツールの導入で可能となる3つのことを紹介します。

BIツールが可能にする3つのこと

業務効率化の促進を目的にさまざまな支援ツールを導入するも、管理・運用・分析に手間がかかり、本末転倒になってはいないでしょうか。BIツールは、すでに企業で導入されている各種ツールの効果を最大限に発揮できるよう支援します。具体的に、BIツールの導入で可能になる「システム連携」「分析・集計」「可視化」について見ていきましょう。

「システム連携」により多種多様なデータを統合

円滑な企業活動、従業員の生産性向上を目的としたさまざまなツールやシステムに蓄積されたデータを収集し、統合します。これまで活用できていなかったSFAやERPから得られた有益な情報も、BIツールを導入することで簡単に集約できます。リアルタイムで収集されるデータも高速で処理するため、最新の分析データを常に把握できるのです。タイムリーな経営判断と、現場効率の最適化が図れます。

専門スキル無しでできる「分析・集計」

ExcelやCSVを用いたデータの分析や集計では、経営活動に活用できるような数値の算出に専門的なスキルが必要でした。BIツールは上記で紹介したシステムやツールのデータベースとつながることで、誰でも正しく分析結果をもとめられます。データ分析を担っていた担当者への負担を軽減し、業務属人化の防止が期待できるでしょう。

分かりづらいデータの「可視化」

集計したデータの効果的な活用には、誰にでも分かるアウトプットが必要です。BIツールは複数のデータを1つにまとめ、グラフや表にわかりやすくビジュアライズ化するダッシュボード機能が搭載されています。

BIツールの4つの機能

BIツールは、導入の目的に応じて「レポーティング」「OLAP分析」「データマイニング」「プランニング」の4つの機能に分けられます。それぞれの導入効果を紹介します。

迅速な「レポーティング」

データの可視化機能で作成したグラフや表を、自動でレポートに出力します。レポーティング機能が充実すれば、会議資料や提案資料の作成時間を大幅に短縮できるでしょう。組織の目標達成状況を把握するために設定されたKPI(重要業績評価指標)のチェックや、経営活動の意思決定、マーケティングの判断軸として活用できます。PDFやExcel、CSVなどの各ファイルへのエクスポートも可能です。

「OLAP分析」で経営課題を的確に把握

OLAPは「On Line Analytics Processing(オンライン分析処理)」の略称です。この場合のオンラインとは、インターネットへの接続ではなく、リアルタイムでの素早いデータ処理・レスポンスを意味します。OLAP分析は、蓄積された膨大なデータを多次元的に扱えるデータベースを構築するため、企業の経営活動に関する問題解決や分析の的確な把握が可能です。データの分析処理には、特定の分析軸から情報を絞り込み、表を作成する「スライシング」や、集計軸を入れ替えてさまざまな表を作成するダイシング、ひとつのデータを深く掘り下げて分析するドリルダウンなどの操作があります。高度で専門的な知識を持たない利用者でも、質の高いグラフや表の作成、データ同士の関連性を発見できるのです。

新たな法則や関係性の発見「データマイニング」

レポーティングとOLAP分析は、あらかじめ企業が定めた目標や数値との差異を把握し、軌道修正するのが目的です。一方、データマイニングは既存のデータから一定の仮説を立て、新たな法則や関係を発見します。データマイニングには統計学など専門的な知識も必要としますが、近年はデジタル技術の進歩でAI搭載型のBIツールに注目が集まっています。専門知識を持つ担当者がいない企業でも、より高度な分析を可能とし、業務の自動化が期待されているようです。

柔軟で容易な「プランニング」

企業が今後の予算を決める際に、過去のデータから予測を立て、最適な予算を編成します。異なる計算方法から最適な結果を導く「What If分析」を用いれば、予算の編成までにいくつかのパターンをシミュレーションできるため、より具体的で念密な予算計画の立案が可能です。分析結果の整合性や効果をもとに仮説を立て、実際のアクションに役立てられます。

BIツール導入のポイントと注意点

BIツールは導入すれば必ず成果がでるわけではありません。BIツールの導入を成功させるために、ここでは導入のポイントと注意点を紹介します。

導入目的の明確化

先述したBIツールを用いて達成できるデータの分析は、あらかじめ企業が設定した目的・目標に沿った指標を元にして初めて効果が出ます。また、誰が・何を・何のためにBIツールを導入するのかを明確にしなければ、効果が不透明になり適切な意思決定にまで落とし込めません。BIツールには目的に応じたさまざまな種類があるため、各BIツールの機能を入念に精査しましょう。既存システムとの互換性もあるため、活用したいデータを明確にし、「仮説→検証→効果測定」の流れを意識しながら長期的な視点で成果を求めるのが重要です。

分析に必要なデータとシステムを揃える

BIツールは、基本的に先述した営業支援システム(SFA)や基幹システム(ERP)、顧客管理システム(CRM)と連携して使用するため、あらかじめ分析の目的に合わせたデータを収集する必要があります。各種システムを一切導入せずに、課題もなく経営できている場合、BIツールを導入する必要はないといえます。

場合によっては専門知識が必要

BIツールは専門知識を必要とせず担当者の属人化を防ぐと紹介しましたが、専門ツールではあるため、使用する人が限られれば、業務が集中してしまいます。ツールの種類によってはカスタマイズできるため、その場合は専門知識が必要です。まずは使用方法を複数人で理解し、導入目的を明確にしてから、必要な機能を見極めたツール選択が重要になります。

BIツールの比較

代表的なBIツールをいくつか紹介します。現在、ほとんどのBIツールがオンプレミス・クラウド両方の形態を提供しており、機能制限はありますが無料版を展開しています。ツール選定の際には、導入目的に沿った機能をもち、社内で使用している他のシステムとの互換性を確認しましょう。

Microsoft Power BI(Microsoft)

Microsoftが提供する「Power BI」は、Office365との連携性が非常に高く、Excelのビジネスデータを素早く収集・分析します。GoogleAnalytics・SQL Server・Webハック/スクレイピング・Excelファイル・CSVファイルなどとシームレスなデータ連携が可能。AI機能も利用できるため、専門知識のない非エンジニアでも、プログラミングせずにレポートやダッシュボードを作成できます。データの分析と可視化はリアルタイムでストリーミングできるほか、モバイルやweb対応、アプリも用意されているためタイムリーな判断をいつでも下せます。

Tableau(Tableau Software)

初心者でも簡単に扱えるのが最大のポイント。ドラック&ドロップの直感的な操作で利用可能です。PC1台から低コストで導入ができ、14日間の無料トライアル版も用意されています。データ連携もPower BIとの大きな差はなく、Google Analytics、Amazon Redshift、Salesforceなどのクラウドデータに接続可能です。ただ利用できるグラフや表は多いですが、カスタマイズ性は低いようです。

Actionista!(ジャストシステム)

クライアントフリーなため、1ライセンスの購入で企業内すべての従業員が利用できます。シンプルかつ直感的な集計・分析・レポーティングが、担当者の属人化を防ぎます。カスタマイズ性に欠けるものの、デフォルト機能で十分に活用できるため、「最低限の機能を使いたい」という企業にはぴったりのBIツールといえます。

LaKeel BI(レジェンド・アプリケーションズ)

顧客が求めるレベルに応じてコンサルティングを行うため、最適な方法で導入できます。導入後すぐに使える「分析テンプレート」も充実しており、具体的な分析イメージができていない企業も簡単にレポート作成・データの可視化ができます。上記3点と異なるのは、BIツールでありながら帳票の作成が行えること。グループウェアにBI機能を追加したようなシステムとなっています。既存システムとの連携開発も請け負っているため、企業内の異なる部署で扱っているシステムデータも、統合管理できます。

まとめ

BIツールは、これまで活用されていなかったデータを統合分析し、企業に新しい価値や課題解決の糸口を提供します。経営陣であればリアルタイムの業績分析で迅速な意思決定を下せ、営業は可視化されたデータとシミュレーション機能で説得力のある提案などに役立てるのです。そのためにBIツールのどの機能を使うのか、何を目的に導入するのかを明確にし、自社に合ったBIツールを選定してみてください。

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

働き方改革最新事情

無料ebookをダウンロードする

働き方改革最新事情

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた
一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

主な内容

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

無料ebookをダウンロードする

関連記事

インテル Core プロセッサー
インテル® Core™ プロセッサー
Intel Inside® 圧倒的なパフォーマンスを

Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Inside、Intel Inside ロゴ、Intel Atom、Intel Atom Inside、Intel Core、Core Inside、Intel vPro、vPro Inside、Celeron、Celeron Inside、Itanium、Itanium Inside、Pentium、Pentium Inside、Xeon、Xeon Phi、Xeon Inside、Ultrabook、Iris は、アメリカ合衆国および/またはその他の国における Intel Corporation の商標です。

※本ページに記載されているシステム名、製品名は、一般に各開発メーカーの「登録商標あるいは商標」です。