働き方

総務省が推進する「ふるさとテレワーク」とは?効果や補助金制度についても解説

ICT技術の進歩により、場所や時間を選ばない柔軟な働き方「テレワーク」が普及しています。これまで導入されてきたテレワークの多くは、都市部に勤務しながら、自宅やコワーキングスペース、郊外のサテライトオフィスで働くスタイルがほとんどです。事実、総務省「平成30年通信利用動向調査」によると、テレワーク導入企業が採用している形態(複数回答)は、モバイルワークが63.5%、在宅勤務が37.6%、サテライトオフィスが11.1%となっています。

しかし、近年総務省も推進しているさらに一歩進んだワークスタイルである「ふるさとテレワーク」が注目を集めています。そこで今回は、長期的なテレワーク勤務が可能で、多くのメリットを持つ「ふるさとテレワーク」について、総務省による推進背景や、補助金制度も含め紹介します。

ふるさとテレワークの目的と分類

ふるさとテレワークとは、生まれ故郷の実家やサテライトオフィス、もしくは自然に囲まれた環境で暮らしながら、テレワークをする働き方をいいます。従来のテレワークの枠組みでは限界のあった、郊外での育児や介護にも柔軟に対応ができるため、徐々に導入する企業が増えてきています。

総務省もふるさとテレワークへの補助事業を開始するなど、地方でも都市部と同じように働ける環境作りを目指した積極的な推進がなされています(後述)。それと同時にふるさとテレワークの働き方も枝分かれし、多様なスタイルが生まれつつあります。ふるさとテレワークが重視されるようになった背景と分類を紹介します。

地方創生と人材の獲得

安倍内閣の重要課題のひとつが地方創生です。以前より、地方の若者の都市部への流出は問題視されており、令和元年6月21日閣議決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針2019年」では、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」「地方への新しい人の流れをつくる」を基本目標として掲げています。

そのため、総務省ではふるさとテレワークの推進を通じた、都市部から地方への人や仕事の流れ創出を目指しています。地方でも時間や場所の制約を受けない柔軟な働き方が可能になれば、ワークライフバランスの向上につながり、地方創生と働き方改革の双方を実現できます。

労働人口の減少も、ふるさとテレワークに注目が集まる背景のひとつです。人材不足は今やどの業界においても喫緊の課題となっていますが、女性の育児・介護離職への対策として、都市部から離れた故郷での子育て・介護を理由に、退職を余儀なくされていた従業員の働く環境を整えられるという点からも、ふるさとテレワークの必要性が高まっています。

またワークライフバランスの視点でも需要が高いと考えられています。例えば、趣味がサーフィンや山登りなど、のびのびとした田舎暮らし、庭のある一戸建て、などプライベート面では地方のメリットは数多く存在します。ICT環境の構築で、都市部と変わらない効率で業務を遂行できるなら地方で働きたいという方は多くいます。企業としてこのようなワークスタイルを採用することで、人材の獲得・流出防止に効果が期待できます。

ふるさとテレワークの分類

総務省によると、ふるさとテレワークの形態は4種類に分類されます。地方で働く従業員は、都市部から派遣される「地方移住者」と、もともと地方在住の「地元ワーカー」の2種類に分けられます。地方移住者の場合は、複数人いることが望ましく、一定以上のテレワーク利用期間の継続が必要です。

◆地元移住者

【形態1】ふるさとオフィス
都市部の企業等の従業員が、地方のオフィスに派遣され、本社機能の一部を拠点にてテレワークで行う。
【形態2】ふるさと勤務
子育てや親の介護によって地方への移住を希望する従業員が、都市部での仕事を地方で継続的に行う。

◆地元テレワーカー

【形態3】ふるさと起業
地方で起業した人や、個人事業主が、拠点でクラウドソーシング等を利用して都市部の仕事をテレワークで受注し行う。
【形態4】ふるさと採用
都市部の企業が、テレワークで働く人材を地方で新規採用する。

ふるさとテレワークのメリット


従来のテレワークと比べ、ふるさとテレワークにはどのようなメリットがあるのでしょうか。上記で紹介した以外に5つのメリットを紹介します。

福利厚生の拡大

もともと地方に実家を持つ従業員にとっては、短期帰省や家族旅行といった福利厚生の活用が広がります。また、企業は子育支援・介護支援を進める取り組みの一環としての発信、ブランディングが可能になります。自然に囲まれた地方では、従業員のリフレッシュやマイホーム購入の後押しが望めるでしょう。

社員育成での活用

地方にサテライトオフィスがあると、普段とは異なる環境で働くことで、自己研鑽の向上や視野の拡大が見込めます。社員研修でも都市部では難しいプログラムも可能になりますし、社員旅行のアイデアの幅も広がります。

人材の確保

育児や介護を理由に会社を辞めざるを得なかった従業員の離職率を低下させ、企業への定着率向上が期待できます。なにかしらの事情によりその土地を離れることができない人材の雇用の拡大につながるでしょう。

生産性の向上

これまでのような一時的なテレワークの活用ではなく、長期的な地方での勤務が可能になれば、ワークライフバランスの向上が見込めます。柔軟な働き方によって従業員満足度が上昇すればモチベーションも上がり、パフォーマンスの最大化によって生産性も向上するでしょう。またこれまでになかった地元とのコミュニケーションが活性化することで新規ビジネスの創出につながります。

災害時のリスク分散

近年、災害などの予期せぬトラブルの際に、情報流出による損害を抑えた早期の復旧を目指す事業計画「BCP(Business Continuity Plan)」が重要視されています。中でも、企業にとって重要な経営資源である情報・データのバックアップは、事業継続に欠かせない対策です。そこで注意したいのがバックアップデータの保存先。たとえ複数の媒体にバックアップをしたとしても、一カ所に保存した場合、火事や地震といった大災害によって、すべてのデータを一気に失う危険性があるのです。よって、物理的に離れた場所へのデータ保存が必要になるため、ふるさとテレワークを活用した地方拠点へのリスク分散は大きなメリットといえます。

必要な生活支援ツールや環境とは?(導入課題)


ここまで紹介した、社会的ニーズや企業課題の解消法として、今後さらなる拡大が見込まれるふるさとテレワークですが、従来のテレワークと同様に、導入にはいくつかの課題もあります。

セキュリティとコスト問題

ICT技術による、時間や場所を選ばない働き方の恩恵も、裏を返せば、いつでもどこでも企業の情報を従業員が扱えることを意味します。遠く離れた地方での勤務となるふるさとテレワークでは、特に個人情報・機密情報保護へのセキュリティ管理が求められます。ノートPCやタブレットの利用時に使用するインターネットも、外部からの不正アクセスによる攻撃など、情報漏えいのリスクがあります。ふるさとテレワークには、従業員が利用する情報を把握したうえで、適切なセキュリティ対策やルール構築などの事前準備が欠かせません。

また地方に新たにオフィスを構える必要がある場合、相応のコストが必要となります。しかし現在、総務省によるふるさとテレワークの補助金や地方自治体の誘致も多く存在するので、活用することでコストを抑えることも可能です。

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従業員の勤怠実態の把握

ふるさとテレワークでは、長期間での勤務が考えられるため、これまで以上に従業員の勤怠実態が見えにくくなってしまいます。従業員の勤務実態が不透明になると、長時間労働や隠れた残業といった問題が発生します。

従業員からの勤務時間の申請によって給与を支給するにも、企業にとっては管理に手間と時間がかかってしまいます。企業の対策として、チャットツールやWEB会議を用いた管理者と従業員のコミュニケーションによる勤怠の見える化や、クラウド勤怠管理システムを用いた効率的な作業など、各種ツール・システムの導入を検討する必要があるでしょう。加えて、テレワークに対する思い込みや不安、「在宅勤務をさせてもらっている」といった従業員の心理的負担の解消には、全社を巻き込んだテレワークへの理解や、従業員のモチベーションを上げる評価制度の設定も重要になるのです。

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ふるさとテレワーク補助金の採択ポイント


総務省はふるさとテレワークの全国的な普及を測るために、ふるさとテレワークを導入する企業や地方自治体に対して、環境整備に必要な経費の補助を実施しています。現在は計55カ所の整備をしており、2018年には、北海道長沼町の合同会社マスケンをはじめとする7件の提案を採択しました。

2019年2月15日には「ふるさとテレワークセミナー2019」を開催し、今後も補助事業の拡大が予想されます。ここでは、総務省がこれまでに提示した補助事業の概要や、採択候補先の選定におけるポイントを紹介します。

【平成30年補助事業の概要】

対象:地方自治体及び民間企業等からなるコンソーシアムの代表機関
対象経費:サテライトオフィス等のテレワーク環境整備のための費用の一部(ICT機器の購入費用など)
補助額:定額補助(上限3,000万円)

【採択候補先の選定ポイント】

① 本事業の目的との適合性
柔軟な働き方の促進とワークライフバランスの向上の助けとなり、ICT技術を活用した都市部の仕事を地方でも行えるふるさとテレワークの円滑な実施が可能であること。
② 本事業を遂行する能力
事業遂行のための人員・体制が構築されていること。企業・地方公共団体間での連携が可能で、各機関の役割と責任が明確であること。本事業の実施計画が無理なく効率的に行える技術・制度の構築ができていること。
③ 効率性
高い費用対効果が見込め、既に保有する資産を活用する効率的な計画が整っていること。
④ 費用分担の適切性
過去のICTを利用した取り組みの成果が活用できているか。同時期に国等からICT予算を活用する場合、役割分担・費用分担が明確になされているか。本事業の対象外となる経費を自己負担により適切に支出し、本事業を発展させる意志はあるか。
⑤ 運営計画の妥当性
本事業による拠点整備後の運営計画が継続的なものになっていること。

ふるさとテレワークの拠点となる地方自治体の整備は、平成27年度で15カ所、平成28年度で22カ所、平成29年度で11カ所と毎年10カ所以上増えています。

その中でも、関西で指折りのリゾート地と知られる和歌山県白浜町は、株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ブイキューブ、rakumo株式会社などのIT企業が進出し、同地での雇用創出や生産性向上で一定の効果をあげています。

ふるさとテレワークを誘致している地方自治体や予算補助事業の最新情報、地方進出を検討している企業情報などは、総務省が運営している「ふるさとテレワークポータルサイト」をご覧ください。

総務省「ふるさとテレワーク ポータルサイト 」

まとめ

ふるさとテレワークの導入は、従業員の柔軟な働き方を可能にするだけでなく、企業と地域との連携による全く新しいビジネス展開の可能性も秘めています。社会的な問題である地方の高齢化や過疎化、労働人口の減少に歯止めをかけ、企業の社員派遣から始まる地域活性化の好循環が、結果的に企業の業績向上につながります。

まずは導入におけるテレワークの課題を把握し、総務省が実施しているふるさとテレワークの補助金事業の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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