働き方

進む、ニューノーマルな働き方。課題の再整理と企業事例を紹介!

進む、ニューノーマルな働き方。課題の再整理と企業事例を紹介!

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の影響によって、私たちの生活は激変しました。これまで対面で行われていた日常生活は、非対面への切り替えを余儀なくされ、緊急事態宣言下においては外出すらもはばかられることになりました。

そのような中で、「ニューノーマル」という言葉とともに企業ではテレワークという働き方が進み、非対面前提の生活基盤の整備が、公私ともに一般的になっています。

本記事では、ニューノーマルな働き方について、その概要や課題、企業が取り組むべきことや具体的な事例をご紹介していきます。

ワークプレイスの変化と対策

ニューノーマルな働き方とは?

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まずは、「ニューノーマルな働き方」の概要について解説します。

「ニューノーマル」とは何か

そもそも「ニューノーマル」という言葉は、コロナ禍で初めてできたものではありません。実は過去にも2回、このワードが使われたことがあります。1回目はインターネットの爆発的普及によりテックイノベーションへの期待値が高まっていた1990年代後半から2000年代はじめの頃、そして2回目はリーマンショック後の2009年頃です。今回のコロナ禍も含めると、いずれも、社会的影響の大きな事柄が発生した際に常識の見直し・新たな価値観の創出が生まれていると言えます。

特に今回の新型コロナをきっかけとするニューノーマルに関して考えると、人との接触機会を減らしソーシャルディスタンスを保つ「生活様式の変容」が求められるなど、新たな価値観が標準となり定着することだと言えるでしょう。そして、ニューノーマルの中でも特に影響の大きいものが、人々の「働き方」だと考えられます。

コロナ禍におけるニューノーマルな働き方

コロナ禍におけるニューノーマルな働き方には、大きく2つの面が存在します。

まずはデジタル化の加速です。非対面による就業体制を実現するべく、各種デジタルコミュニケーションツールが飛躍的に発展しました。例えば新型コロナ以前はZoomを使って日々のミーティングをこなす人は限られていましたが、コロナ禍では、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの大半をZoomやMicrosoft Teams、Google Meetといったオンライン会議システムで賄っているという方が激増しました。

それに伴い、企業によるテレワークの推進も積極化。これまでテレワークと聞くと、外勤営業や一部のエンジニア職で適用されるなど限定的な職種での働き方として認識されていましたが、現在では多くの企業が職種を問わずテレワークを推進し、オフィス出社を前提にしない就業体系へとシフトしています。

ニューノーマルな働き方の課題

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一方で、テレワークのようなニューノーマルな働き方には課題もあります。以下、3点について見ていきましょう。

モチベーション・帰属意識の低下

オフィス出勤と比較すると、自室でのテレワークはオンオフの切り替えが難しく、モチベーションの低下や、集中力が続かないことによる生産性の低下につながりやすいと考えられています。

また、自宅でのテレワーク比率が高い場合、会社への帰属意識の低下につながりやすく、エンゲージメントの低下も各所で報告されています。

コミュニケーション不足

いくらネット上でのコミュニケーションツールが発達したといっても、それはミーティングやアポイントメントなどの用事がある場合に真価を発揮し、雑談レベルのコミュニケーションには向きません。オフィスでは気軽に雑談や相談ができることを考えると、対面でのコミュニケーションがなくなることで、孤独を感じやすくなる可能性が生まれます。

コミュニケーションの減少により、従業員同士のつながりも減り、交流が生まれず、結果として新しいビジネスにつながるようなアイデアやイノベーションが生まれにくい環境になることが懸念されます。

人材育成・部下の管理

2020年以降に新卒社員として入社した方は、入社時からフルリモート勤務であることも珍しくありません。
企業にとっては、オフィス出勤を前提にした研修やOJTといった教育プログラムを見直す必要があり、非対面前提の教育カリキュラムの整備に追われました。

未整備の状態で新入社員を迎えた場合、教育コストが現場負担になることが考えられます。マネジメント層は部下の勤怠管理や指導育成、評価などに工夫が求められ、負担増加につながります。

企業が取り組むべきこと

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では、企業はどう対応すれば良いのでしょうか。上述した課題を受けて、企業に必要な取り組みについて具体的にお伝えします。

オフィスの役割の再考

テレワーク全盛時代においては、物理的なオフィスの役割も変わることになります。

例えばオフィス家具大手の株式会社オカムラでは、オフィスに必要な機能を必要な面積に適正化する「ライトサイジング(Right-Sizing)」の考え方を提唱し、ニューノーマルにおける働き方へのフィットを推進しています。

ミーティングなどがオンラインでも賄えるようになったからこそ、そうではない「意味」をオフィス空間に見出すことが、これからの企業経営陣の役割だと言えます。

コミュニケーションツールの導入

遠隔地にいたとしても、業務に支障がないようなデジタルコミュニケーションツールの導入を進める必要があります。

例えばメールや電話のほかにMicrosoft TeamsやSlackのようなチャットツールを導入し、雑談部屋のような自由に発言して良い空間を設計することで、従業員は気軽に呟いたり、情報をシェアしやすくなるような環境が生まれます。

オフィス空間における雑談コミュニケーションがオンラインでも再現され、違う部署の人であっても交流が発生し、結果として新しいビジネスにつながるようなアイデアやイノベーションの種も生まれやすくなることが考えられます。

人事制度の見直し

3つ目は、人事制度の見直しです。オフラインでの開催が難しい時期だからこそ、「いつかは対面での実施に戻るはず」という希望的観測に頼るのではなく、継続的なオンライン文化を前提とする形で、研修や評価の方法を改善する必要があるでしょう。

オンラインフレンドリーな評価体系にすることで、従業員のモチベーション向上につながり、結果として会社全体の成長機運の醸成にも貢献するでしょう。

ニューノーマルな働き方を推進する企業の事例

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最後に、ニューノーマルな働き方を推進している企業の事例について、以下の3社をご紹介します。

LAPRAS株式会社(オフィス縮小、バックオフィスのフルリモートを実現)

AIヘッドハンティングサービス「LAPRAS SCOUT」を展開するLAPRAS株式会社では、新型コロナの影響でフルリモートワーク体制へと移行。その影響で、オフィスが「遊休資産化」することになりました。

月に数百万円のコストがかかる中、オフィス退去を本格的に検討するプロジェクトの一環で社内向けに「フルリモート移行によるパフォーマンスやコンディションの変化」を確認するアンケートを実施したところ、「リモートワークの方が、作業効率が上がった」という人が37%にのぼり、また「体感できるほど変化がない」という人が約41%という結果が出ました。つまり、約80%の従業員にとっては、リモートによるマイナスの影響がないということが定量的に判明したのです。
このことから同社は、2020年5月初旬にオフィス退去を正式に社内報告し、同年11月にはオフィスサイズを縮小する形で五反田へと移転することになりました。

また同社では電話・契約書・郵便対応など、テレワーク環境での進行が困難な業務を積極的にクラウド運用に移行し、バックオフィスのフルリモートを実現しています。出社が必要な業務に対する認識のギャップを埋め、職種を限定しないテレワークの導入を実現する同社の動向に今後も注目です。

株式会社メルカリ(OKRとバリュー評価)

フリマアプリ運営の株式会社メルカリでは、ニューノーマルに対応する新たな人事制度として、「OKR」と「バリュー評価」を取り入れました。

まず前者について、OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、Googleをはじめとするアメリカ・シリコンバレーなどで導入が進んでいる目標の設定・管理方法のひとつです。メルカリでは、四半期ごとにグループ〜各個人のOKRを設定し、その進捗について達成度合いをチェック。ポイントは、OKRの達成度合いではなく、グループのOKR達成に対する貢献プロセスをチェックしています。

また後者について、メルカリでは「Go Bold」「All for One」「Be Professional」という3つの行動指針に対する評価を行っており、また「mertip(メルチップ)」と呼ばれるピアボーナス制度も実施していることから、社員同士の相互理解も含めたコミュニケーションを、評価そのものにまで落とし込み、従業員エンゲージメントを高めるようにしています。

OKRやバリュー評価は、コロナ以前から外資系の企業を中心に導入が進んでいました。コロナ禍でのニューノーマル な働き方では、より一層従業員エンゲージメントを保つ施策が求められます。従業員同士のコミュニケーション不足が懸念される中では、グループに紐づいた個人の目標管理を徹底することが企業の持続的な成長にとっても重要になるでしょう。

ピクスタ株式会社(コロナ禍での大幅改革)

クリエイティブ・プラットフォーム事業を展開するピクスタ株式会社では、国内での感染が徐々に広がり始めた2020年2月18日のタイミングからリモートワークをスタートさせ、4月の緊急事態宣言以降はフルリモートワーク体制へと早々に移行しました。

その中で同社は、リモートでも従業員の就業状況に大きな問題がないどころか、むしろ生産性が上がる傾向を確認したことで、コスト削減の目的も相まってオフィスの縮小移転を決定。それに付随して、リモートメインを前提とした大幅な制度改革として、オンボーディングプロセス(入社時の教育・育成プロセス)の見直しやコアタイムなしのスーパーフレックス制度、オンラインランチ会、社長発案のオンラインお茶会などのコミュニケーション施策を次々と導入し、「コミュニケーションを補完する場」というオフィスの再定義を進めていきました。

適度な距離感と開放感を魅力に、リモートワークでよく課題となるコミュニケーション部分の補完をうまく実現しています。

ニューノーマルには、企業の柔軟な対応が求められている

今回はニューノーマルな働き方について、その概要や課題、企業が取り組むべきことや具体的な事例について解説していきました。コロナ禍で働き方が大きく変わったことにより、企業は、これまで以上に柔軟かつスピード感ある対応が求められている状況だと言えます。

まずは自社の状況をしっかりと見定め、その上で最適な改革施策を立案して進めましょう。

ワークプレイスの変化と対策

テレワークの普及によって「働く場所=オフィス」というワークプレイスに対する固定概念が変化し、働く場所の多様化は進んでいる。一方で、働く場所が自由になることで生じる、PC環境、セキュリティー、社内制度の問題。
本書では新しい働き方が抱えるこれらの問題を、「自宅」「サードプレイス」「オフィス」という3 つのワークプレイスを軸に考察。問題点を洗い出し、制度・設備導入担当者が打つべき、次の一手を掲載している。

  • テレワーク実施者の約90%が自宅での業務を経験
  • 一般企業の社員もサードプレイスを利用する時代に
  • 働く場所の多様化に伴って、オフィスの役割が変化
  • ニューノーマル時代のPC選定・運用チェックシート付き

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本書では新しい働き方が抱えるこれらの問題を、「自宅」「サードプレイス」「オフィス」という3 つのワークプレイスを軸に考察。問題点を洗い出し、制度・設備導入担当者が打つべき、次の一手を掲載している。

主な内容

  • テレワーク実施者の約90%が自宅での業務を経験
  • 一般企業の社員もサードプレイスを利用する時代に
  • 働く場所の多様化に伴って、オフィスの役割が変化
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