組織

モリサワ×VAIO トップ対談(後編) 「働き方改革」を進めながら「イノベーション」を起こすには?

国産モバイルPCのVAIOは、国内大手フォントメーカのモリサワが開発した「読みやすく」「伝わりやすい」ユニバーサルデザインフォントの1年間無償提供※をスタートしました。このサービスの実現を記念して、モリサワとVAIOのトップ対談をお届けいたします。

※ユニバーサルデザインフォントが使える「MORISAWA BIZ+1年間無料クーポン」の対象機種は、「VAIO® A12」「VAIO® SX14」の2機種となります。(2019年1月現在)

森澤 彰彦(写真右)
株式会社モリサワ 代表取締役社長

吉田 秀俊(写真左)
VAIO株式会社 代表取締役社長

後編のテーマは、両社の「働き方」について。フォントの開発や電子書籍、多言語ユニバーサル情報配信ツールなどのソリューションを通して、多くのクリエーターやビジネスシーンを支えてきたモリサワ。そして、メイド・イン・ジャパンという独自の道を歩んでPCブランドを進化させ、さらなる展開を見据えるVAIO。そんな2社が「創造性・生産性を高める働き方」の実践例や「働き方改革」への取り組みについて、語り合いました。

シェアオフィス活用や、ソリューション提案を通して、次の成長事業をつくる

吉田:今や「働き方改革」という言葉を耳にしない日はないほどですが、会社の中で一生懸命働いてもらっている社員に対して、「どれだけ気持ち良く生産性を上げてもらうか」ということは、経営者にとって大きなテーマだと考えています。VAIOは、自分たちの働く環境をより良いものに変えていきながら、そのノウハウを社内に留めるのではなく、新たな事業に活かして“ユーザー視点に立った働き方改革のサポート”を提供できる会社でありたいと考えています。

森澤:吉田社長がおっしゃるように、社員たちが働きやすい環境を作ることは、経営者の大きな役目だと思います。私たちも働き方改革を推進するために、さまざまなデジタル技術を導入していますし、シェアオフィスの活用も始めました。同じ場所で同じ人間と働き続けるという環境だけでは、なかなかイノベーションは起こらないと思いますし、できるだけ外に出て、多くの会社の方々と交わることで、有機反応を起こしていきたい。新規事業の開発メンバーたちの拠点をシェアオフィスに移し、新たな成長事業につながるアイデアやネットワークを育もうとしています。服装も自由で、モリサワ社内では考えられない服を着て働いています(笑)。


吉田:発想がだいぶ柔らかくなりそうです(笑)。

森澤:シェアオフィスに集まってこられる方は、それぞれの会社から選ばれた非常に優秀な方が多いため、モリサワだけでは難しいプロジェクトであっても、シェアオフィスで交流のある方から関連する部署や専門家をご紹介いただいて、そこから話が広がっていくこともあります。すでに新しいサービスも生まれていて、この取り組みをどんどん推進していこうと思っています。

吉田:VAIOでは、パソコン事業とEMS(電子機器製造受託サービス)事業に加え、「ソリューション事業」というものを立ち上げました。パソコンにしても、EMSにしてもお客様のことを一生懸命考えてものをつくってきた。その上で、これからの本当に自由な働き方というものをサポートしていこうと考えたら、ソリューション部隊が必要なのですね。お客様とともに問題を見つめて、一緒に悩んで考えて、そこからいろいろなアイデアが出てくる。こうした課題解決が、新たなビジネスに発展していく。まさに、モリサワさんのシェアオフィス活用と同じ考え方だと思います。

テクノロジーが“距離”を無くし、社員をつないでいく

吉田:我々は2018年、品川シーサイドに東京オフィスを移転しました。新しいオフィスではフリースペースも取り入れて、出先から戻った営業メンバーたちが三々五々集まってコミュニケーションが生まれています。内勤の多い社員たちも、デスクまわりの環境を変えています。デスクトップ型のモニターとモバイルPCを組み合わせた新しいスタイルです。会議や外出の時は、モバイルPCだけを持って席を離れ、集中してキーボードを打ちたい時はデスクトップの大画面を活用する。モバイル性をより重視する人は、2018年11月に発表した2in1の「VAIO® A12」を使っています。

吉田:このPCは、タブレットにもなれば、モニターを商談相手の方へ向けて対面で表示することもできる。4Kの大画面にワイヤレスでつないで、みんなと写真や映像を観ることもできる。四六時中使える、オールラウンダーノートPCになっています。私たちもPCの使い勝手を日々進化させようと取り組んでいますし、その使い方は格段に広がって、以前とは大きく様変わりしています。

森澤:すごいですね。私たちもデジタル技術の活用に一早く取り組んできました。大阪に本社を置くモリサワは、1995年に阪神・淡路大震災に見舞われました。その時、身を持って拠点間のコミュニケーションの重要性を知ったのです。翌96年には、全営業所にテレビ会議システムを導入しました。今も拠点同士が密につながっていて、たとえば年末にはテレビ会議で全社をつないで一斉忘年会を開いています。時差の少ない台湾や韓国のみんなも加わった同時中継によって、大阪にいる私が、全社員の名前が入った抽選箱の中から紙を引き、「松阪牛は東京の○○さんに当選!」というように発表したり(笑)。一昔前は、映像にタイムラグがあったのですが、今は伝送技術が向上したことで、ほぼリアルタイムで非常に友好的なコミュニケーションを取ることができています。

吉田:面白いですね。私たちも長野県安曇野市にある本社と東京オフィスという、少し離れた場所に拠点を置いています。安曇野でなければPCがつくれないのかとよく聞かれのですが、この地で培われてきた50年近いものづくりの歴史があり、VAIOのDNAがそこに息づいているのです。営業拠点となる東京オフィスとの連携については、2018年11月に我々が発表した大型電子黒板「VAIO® Liberta」の活用を始めています。単なるスクリーンではなく、ボタンを押すと白板にもなる。しかもネットワークにつながり、セキュリティもしっかりしている。いろんなことができる可能性を持っています。

吉田:その次に構想しているのは、85inchの巨大モニターで安曇野と東京をシームレスにつなぐことです。ボタンを押すだけで200km離れた社員同士がつながって、等身大で映し出された相手と立ち話ができてしまう。丸見えになってしまうからやらないでくれっていう社員もいますけどね(笑)。拠点間の距離を感じなくなるような環境をつくりたいと考えています。
こうした新しい技術を、まず社内で使いこなして知見を蓄え、結果としてお客様により良い製品・ソリューションを提供していく。PC以外にもさまざまな面から働き方改革をサポートしていきたいと考えています。

ぶれない軸と、広い視野を、併せ持つこと

森澤:私たちも時代の変化にあわせて変わってきた歴史があります。今から90年以上前のこと、私の祖父にあたる森澤信夫が「邦文写真植字機」を発明しました。写真で字を組む装置ですね。昔は活字を組み、印刷する時は鉛でできた文字を一つひとつ拾って組み合わせていました。仕事として非常に手間がかかるし、アカギレになったり辛い思いをされている方も多かった。そこで、「もっと簡単に文字を組む手法がないのか」と考えたのが、タイプライターとカメラが合体したような「邦文写真植字機」でした。

邦文写真植字機の発明模型(モリサワ本社内に保存展示)

森澤:やがて活字のメーカーが衰退していき新しい文字ができなくなり、1955年からモリサワは自社で文字をつくるようになります。残念ながら機械メーカーとしての役割は2000年を迎える前に終わってしまったのですが、当時ハードウェアの付加価値を高めるために一生懸命つくってきたソフトの部分つまり「文字」が、今のモリサワにとって大きな資産になっているんです。

森澤:現在は、ITの進化によって「文字」が活用されるフィールドがさらに広がっています。印刷・出版だけでなく、デジタルサイネージやスマートフォン、電子書籍、デジタルパンフレット、最近では、視認性の高さが求められる自動車のディスプレイにも我々のユニバーサルデザインフォント(以下、UDフォント)が活用されています。これからもビジネスの世界は広がっていくと思いますし、我々としては「文字」をひとつのインフラとして、ニーズのあるところに提供していきたいと考えています。

長期的な成長を支えてくれるのは、“ファン”の存在

吉田:私は随分長いこと経営に携わってきましたが、企業には良い時も悪い時もあります。いちばん大切なのは、モリサワさんのように「文字」というものにずっと関わりながらも、海外やITソリューションへと視野を広げ、事業領域を広げていく姿勢ではないでしょうか。我々VAIOもぶれない軸を持ちながらも、時代の変化に対応して、新しい価値を生み出していきたいと思います。

吉田:それからもう一つ大切なことは、ユーザー目線で、お客様を第一に考えること。お客様にファンになっていただき、次の製品が出た時にも購入していただいたり、あるいは、次の世代のお子さんに「VAIOは良いよ」と伝えていただいたり。そういった世代を超えて受け継がれるようなものを、筋を通してきちんとお届けしていきたいと思っています。

森澤:本当に同感です。事業を長きにわたって発展させていくために必要なことは、「ファンを増やすこと」だと思うんですね。「良いものは良い」と思っていただける方々に、製品を届けていくこと。VAIOユーザーの方々は、その設計思想やユーザーへの配慮をくみ取ったうえで、自らもこだわりを持ってPCを使っているという方が多いと思います。VAIOに搭載されたモリサワのUDフォントでも、ユーザーの皆様のこだわりに応えていけたら、うれしく思います。

吉田:VAIOをお使いの皆さんに、モリサワさんの文字を通してさらなる「快」をお届けできることは、私にとって大きな喜びです。これからもぜひ、よろしくお願いいたします。本日は、貴重なお話をありがとうございました。

森澤:こちらこそ、ありがとうございました。

働き方改革最新事情

いよいよ働き方改革は”法律”

2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。
ここ数年、世間では「業務効率化」「生産性向上」「デジタル化」などと叫ばれてきた一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
なぜ働き方改革が必要なのか?またどのように進めていけばいいのか?
改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
  • 育児や介護をしながら働ける現場つくり

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一方で6割以上の企業が働き方改革に対して、未対応となっています。
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改めて今後の「働き方改革」に迫っていきます。

主な内容

  • いよいよ働き方改革は”法律”
  • ”2025年の崖”とは
  • 2025年までに迎える代表的なDX
  • 中小企業はデジタル化が遅れている
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