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キッティングの作業内容や手順について解説 効率化のポイントとは?

箱から取り出したPC

PCを組み立てて、すぐに業務で使えるように準備することを「キッティング」といいます。新入社員の入社時や従業員の異動時などに、PCを新しく購入したり入れ替え作業が発生したりと、キッティングに頭を悩ませているPC管理担当者も多いのではないでしょうか。キッティングはPC管理担当者にとって時間も手間も掛かるため、効率的に終わらせたい作業の一つかもしれません。本記事ではキッティング作業について詳しくご紹介した後、効率化するポイントについても解説していきます。

キッティングとは

キッティング作業中のPC

キッティングとは、企業などに新たにPCを導入する際、すぐに仕事に使えるよう準備を行うことをいいます。一言で準備といってもその内容は多岐にわたります。例えば企業に合わせたOSの設定や、業務に必要なソフトウェアのインストールといったセットアップ作業はもちろん、社内ネットワークへの接続やセキュリティーに関わる設定なども必要な作業です。

こうした作業は既存PCの入れ替えやOSの更新を行う場合にも行われます。なお似た言葉である「セットアップ」は、すでに利用できる状況にあるPCに対してソフトウェアやハードウェアの設定を行うことを指します。一方のキッティングは、新品のPCを箱から取り出すところから始まり、そのPCをすぐに業務に利用できる状態にすることをいいます。

キッティングは単純作業ともいえますが、手作業で多くのPCを一度にキッティングすることは作業負荷が大きく困難です。例えば新入社員向けに多くのPCを導入した場合や、これまで利用していたPCの一斉入れ替えといった場面では、数十台から数百台のPCを速やかにキッティングする必要があるからです。

導入したPCのキッティングをPCの利用者が各自で行う方法も考えられますが、これも現実的ではありません。キッティングは前述したように、セキュリティー関連の設定も伴うため、設定ミスや漏れが発生した場合、企業全体のセキュリティーリスクに直結するからです。このためキッティングは、専門知識を持った担当者が正確に行うことが大切です。

なおキッティングは、スマートフォンやタブレットに対しても行われますが、ここではPCに関する内容を解説していきます。

キッティングの手法と作業手順

キッティング作業を行う会社員

キッティングはさまざまな方法で行うことができます。ここでは手作業や自動化ツールを使うといった5つの方法についてご紹介します。

手作業

PCを箱から出して、OSやソフトウェア、ハードウェアなどを、業務に使えるよう1台1台手作業でキッティングする方法です。

クローニング

複数のPCに対しソフトウェアの導入や設定を容易に行う方法です。あらかじめOSやソフトウェアの設定を決めておき、その設定を他のPCにコピーすることで、同一環境のPCを構築します。最初の1台(=マスターPC)の設定であるマスターイメージをクローン化することから、クローニングと呼ばれます。

プロビジョニング

あらかじめ設定方法を定めたプロビジョニングパッケージ(PPKG)を用意し、これをPCに配布することでソフトウェアのキッティングを行う方法です。プロビジョニングパッケージにはOSの設定だけでなく、導入するソフトウェアも含まれているため、プロビジョニングパッケージさえ配布できればネットワークに接続することなく設定できます。なおWindowsの場合、「Windows ADK」と呼ばれるツールを使用してプロビジョニングパッケージを作成することができます。

Windows Autopilot

複数のPCを管理するためのツール「Windows Autopilot」を利用したキッティング方法です。Windows Autopilotは、クラウドサーバー上に設定やインストールしたいソフトウェアなどを格納でき、インターネットを介して複数のPCをリモートでキッティングすることが可能です。

Microsoft Deployment Toolkit

Microsoft Deployment Toolkit(MDT)は、高度な設定やPC管理が可能なツールです。USBフラッシュドライブを用いた展開の他に、社内ネットワーク上のサーバーから多くのPCに対して同時に設定が可能で、大手企業などが採用しています。

それぞれのキッティング方法に関するメリットと注意点

キッティングのメリットとデメリット

これらのキッティング方法にはどのようなメリットや注意点があるのでしょうか。メリットと注意点を知り、自社に最適なキッティング方法を選択しましょう。

手作業のメリット・注意点

PCが手元にありさえすればすぐに作業が始められるため、キッティングする台数が少ない場合には短時間でキッティングできるメリットがあります。

一方で大量のPCをキッティングする場合には、現実的といえません。例えば1台のキッティングに4時間掛かるとした場合、100台では400時間も掛かるからです。また手作業であるがゆえに、マニュアル化されていたとしてもミスを100%防ぐことは難しく、作業者によって品質に差が生まれやすいことにも注意が必要です。

クローニングのメリット・注意点

複数のPCに対して同一の環境をコピーできるため、品質の均一化が実現できます。またPCが故障した場合でも、マスターイメージをコピーするだけで復旧できるため、代替機への移行も容易に行えます。

注意点はマスターイメージの作成と検証に時間が掛かることと、これらの作業に知識や技術力、経験を必要とする点です。加えて、PCの機種ごとにマスターイメージを作成する必要があるため、PCの機種が多様な場合には作業量が増えるというデメリットもあります。

プロビジョニングのメリット・注意点

プロビジョニングパッケージにOSの設定やソフトウェアが内包されるため、プロビジョニングパッケージさえ受け渡しできれば、ネットワークに接続することなくキッティング可能です。クローニングと同様に品質の均一化も図れます。

しかし実施は手元のPCに対して手作業で行う必要があり、大量のPCに対する設定には不向きといえます。

Windows Autopilotのメリット・注意点

クラウド環境からキッティング情報を得るため、インターネットにさえ接続されていればリモートでキッティング可能です。一方で完全にリモート任せにしてしまうと、利用者の手元で数十分から数時間の間クラウドからのダウンロード・インストールが実行され、すぐにPCを利用できないというデメリットがあります。こうした場合には事前プロビジョニングを行う方法もあります。なお利用には、Windows Autopilotに対応した製品を購入しなければならないことに注意が必要です。

Microsoft Deployment Toolkitのメリット・注意点

利用環境の構築が出来れば大量のPCのキッティングや管理も容易に行えます。自社サーバーからキッティング情報を得ることも可能なため、自社のセキュリティーポリシーに合わせた柔軟な対応ができる点も大きなメリットです。注意点は、利用に高度な知識とスキルが必要となる点です。また、サーバー管理の場合はサーバーの準備も必要となります。

効率的なキッティング

PCのキッティングをするビジネスパーソン

キッティングにはさまざまな方法があり、それぞれメリットや注意点があることも分かりました。それではいざキッティングを行おうとした場合、どうすれば効率的にできるのでしょうか。ここでは効率的なキッティングを実現する4つのポイントについて解説します。

作業マニュアルの作成

どの方法においても重要なのが、作業ミスや抜け漏れを防ぐための作業マニュアルの作成です。効率化を図るためには、マニュアルで作業手順を明確にしておくとよいでしょう。

スケジュールの管理

キッティングは他の作業と同時並行されることも多く、後回しになりがちです。このため事前にスケジュールを定めて計画的に実施することが大切です。

アウトソーシングの活用

キッティングの効率化に最も効果的といえるのが、アウトソーシングの活用です。デメリットは別途コストがかかってしまう点と、キッティング後の運用フェーズについてはカバーされないという点です。

PCメーカーが提供するキッティングサービスの利用

最もキッティングを効率化できる方法といえるのが、PCメーカーが提供するキッティングサービスの利用です。PC購入と同時にキッティングを依頼すれば、すぐに業務に使える状態でPCが納品されるため、社内の情報システム担当者の負荷を大幅に減らせます。さらにPC管理のための資産管理ラベルの作成や貼り付けまで対応してくれるなど、さまざまなサービスもあります。PCメーカーが提供するキッティングサービスを利用することで、結果的に社内で対応するよりもコストを抑えて実施できる可能性が高いのが、最大のメリットと言えるでしょう。

またキッティング後にハードウェア交換などを行った場合、再度キッティングが必要となることがありますが、こうした再キッティングにも対応してくれるサービスも用意されているメーカーであればより安心です。故障の際の修理時も、キッティング作業まで行ったうえで返送してくれるメーカーもあります。PC購入後、さらにPCを追加導入する場合や、再セットアップが必要となった場合でも、社内で容易にキッティングできるようリカバリーメディアを用意してくれるサービスが用意されている場合もあります。

メーカーならではの安心感も魅力です。メーカーはOSやドライバーに対する知識が豊富なので、トラブルの少ないマスターイメージが期待できます。万が一、キッティング時に初期不良を見つけた場合には即対応してくれます。

まとめ

キッティングを自社で行う場合は、可能な限り効率化を図ることが大切です。PC購入から業務での活用開始までのタイムラグを減らすためにも、購入と同時に初期設定を済ませることが重要となってきます。納品されたPCを箱から取り出すだけですぐに業務に使うことができ、アフターケアも万全なPCメーカーのキッティングサービスは、企業にとって強力な味方となります。PCを選定する際は、キッティングサービスの充実度やきめ細やかさも踏まえてメーカーを検討してみてはいかがでしょうか?

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  • 伝説のひとり情シスが選ぶ最適なPC
  • PC選びのポイント
  • 本記事でご紹介したノートPC
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主な内容

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