働き方

デジタル時代の情シス業務。効率化を進めるツールや手法を紹介!

いまや、どんなビジネスにもテクノロジーが欠かせない時代になりました。デジタル技術やデータを活用した新しいビジネスの創出、既存ビジネスの付加価値を高めるデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるため、レガシーシステムの刷新に追われている企業も多いのではないでしょうか。

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さらに、テレワーク等の多様な働き方も浸透しつつあります。そうした状況では、セキュリティの観点から従業員が活用するPCについてもより厳格に管理することが求められます。

このような社内のデジタルやITに関する業務を一手に引き受けるのが情報システム管理部(以下:情シス)です。デジタル化による業務効率化が進めば進むほど、これまでになかった業務が発生し情シスの負担は増してしまいます。また現在は人手不足の影響から、「ひとり情シス」、「兼任情シス」と呼ばれる情シスが増えています。

DXや従業員の多様な働き方を円滑に進めるためには、情シスもまた業務効率化を図るべきだといえるでしょう。本記事では情シスの役割や課題、業務効率化に役立つツールや手法を紹介していきます。

情シスの業務内容と役割

まずは、あらためて情シスの業務内容と役割についておさらいしておきましょう。業種や企業によっても異なりますが、一般的に情シスの業務には主に以下のようなものがあります。

①パソコンやサーバの導入、保守、運用

社員が使うPCや社内サーバなどの機器を管理する業務です。企業の規模が大きくなれば、日々何かしらの機器トラブルは発生するでしょう。そうした場合に対応するのも情シスの仕事です。2020年の1月14日をもってサポートが終了となったWindows 7からWindows 10へのバージョンアップ・OSの移行も、情シスが担う業務になります。また近年はBYODなど、従業員のプライベート端末を業務に使用する企業も増えています。プライベートな情報まで踏み込んでしまう恐れを考慮しながら、ログ管理など、情シスが関わるセキュリティのラインを見極める必要があります。

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②機器やソフトウェアの選定や導入

様々なデジタル機器やソフトウェアの選定と導入に携わります。導入時のコストやランニングコスト、既存機器との互換性などを考えて慎重に選ばなければなりません。導入後のトラブルを避けるために、現場や経営層とのコミュニケーションも重要です。昨今は働き方改革の推進を背景に、テレワーク実現に向けたPCの導入やVPNの活用など、情シスが担う業務は拡大しています。

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③ソフトウェアの保守、運用

企業で使用するソフトウェアの保守・運用を担当します。部署によって使用するソフトウェアが異なるケースもあるので、情シスには幅広い知識や対応力が求められます。昨今のクラウド化の拡大、DXの推進に伴い、ソフトウェアの活用は企業のビジネス拡大や新たな価値創出に重要な役割を担うでしょう。

④利用者に対する教育やサポート

社員全員が高いITリテラシーがあれば良いのですが、現実ではPCやソフトウェアを導入する際には、現場社員に使い方などをレクチャーする必要も生じます。また、日々のトラブルや相談事に対しても適切にサポートする必要があります。そうしたヘルプデスク的な役割を情シスが担う場合、大きくリソースが割かれることになります。

⑤各種ベンダーとの折衝

PCやソフトウェアの導入時には外部のベンダーと折衝する必要があります。折衝にはITやソフトウェアに関しての知識を求められるため、情シスが担当するか、または担当者のサポートを行うことになるでしょう。

⑥IT戦略などの立案

IT戦略の立案は企業の将来を左右する重要なミッションです。セキュリティポリシーなど計画を立てるためには高度なIT知識が必要となるため、情シスも立案に関わることになります。これまでの情シスはインフラの保守運用などの業務に特化していることが多く、いわば「守り」の姿勢だったといえます。しかし、今後DXを加速するために、情シスはクラウドやデータ活用などを通して事業の発展に積極的に携わっていくことになります。いわば「攻め」の情シスが求められているのです。

業務範囲を拡大する情シス

ITやデジタル化が進んだ昨今においては、情シスの業務範囲は拡大の一途をたどっています。たとえば何かしらのITサービスを導入する場合であれば、導入だけでなく運用も情シスの業務になりますし、適切な運用のためにはそのサービスが活用される現場についても熟知しないといけません。

また、多くの企業では基幹システムを導入しており、それを運用するには、人事や労務、法務といったバックオフィスとの連携や兼任も必要になります。

DXを進めていくなかで、情シスの業務範囲がさらに広がっていくことは確実です。

拡大するひとり情シス・兼任情シス

昨今、よく耳にする言葉として「ひとり情シス」や「兼任情シス」があります。これはどういう役割なのか、どんな問題点があるのかについて解説します。

ひとり情シスとは

ひとり情シスとはその言葉通り、企業において一人の情シスが前述したようなすべてのIT系業務を担当していることを指します。そうなってしまう背景には、募集しても良い人材が見つからない場合もあれば、人件費の削減や経営層のIT軽視により、一人でやらざるを得ない状況になってしまっている場合もあります。

兼任情シスとは

専門の情報システム管理部が存在せず、他部門の従業員が兼任で情シスを担当していることを指します。たとえば人事や総務といったバックオフィスのなかで、ITに詳しい人がいた場合に情シスを兼任することがあります。

ひとり情シス・兼任情シスの問題点

ひとり情シスや兼任情シスには多くの問題があります。まず、リソース不足によって業務過多に陥りやすいということです。ひとり情シスの場合は一人ですべてのIT業務をこなす必要がありますが、前述したように情シスに求められる役割は増えており、企業の規模が大きくなるにつれ、とても一人でまわせる量ではなくなります。

兼任情シスも同様です。そもそも他部門の業務も担うため、IT業務にかけられるリソースは限られ、十分な対応ができなくなるでしょう。中途半端な業務はコストの拡大、セキュリティの脆弱性につながる恐れがあります。

また、日々の業務が忙しすぎる状態では、スキルの向上が困難です。企業のIT戦略の中核を担うべき情シスがスキルアップできない現状は、企業にとっても決して良い状態とはいえません。

そうした余裕のない状況が続くと、ITまわりでのトラブル時の対応も難しくなりますし、ミスも発生しやすくなります。短期的には人件費の削減ができたとしても、将来を見据えるとひとり情シスや兼任情シスは多くの問題点を抱えているといえるのです。

情シスの業務効率化を進めるツールと手法

情シスの業務範囲が拡大しているにも関わらず、なかなか人を増やせないというジレンマに多くの企業が陥っています。そうしたなかで少しでもDXを加速するためには、一般の従業員だけでなく情シスそのものの業務も効率化していく必要があるのです。

ここでは、情シスの業務効率化に役立つツールや手法を紹介します。

業務効率化が期待できるツール

単純作業や機材の管理などは、ツールの使用で自動化や無駄な業務・コストの削減につながります。

・IT資産管理ツール

PCやサーバ、ソフトウェア、ライセンスといった企業が所有しているIT資産を、ツールを用いて管理することが重要です。IT資産が把握できていないと、同じようなソフトウェアを重複して導入してしまったり、OSのアップデートが遅れたりと、セキュリティや運用コストなどの面でトラブルが起きることが考えられます。また、IT資産管理を徹底することで、現状ITにかけられているコストを把握できるため、コストが無駄にかかっている部署・機材などの洗い出しができるようになります。

・RPA

主に事務系の作業を自動化し、効率化できるツールとして注目を集めているのが「RPA(Robotic Process Automation)」です。過去データの分析や整理、問い合わせへの自動応答など、以前は手動で行っていた作業を自動化することで、業務スピードを向上させ、ミスも削減できます。現在、様々なRPAツール製品がリリースされているため、自社の目的に合ったものを検討してみてください。

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業務効率化に役立つ手法

情シス業務を一人、もしくは兼任で行う場合、日中の作業には限界があります。夜間の時間を活用した処理方法や、業務の負荷分散に役立つ手法を紹介します。

・バッチ処理

バッチ処理は「一括処理」のことです。ツールなどを活用して同じような処理を一括して行うことで大幅に作業を効率化できます。何度も作業するよりもミスを減らす効果が期待できます。企業のデジタル化が進む昨今は、情シスが処理すべきデータも膨大になります。しかし、貯蓄されたデータをリアルタイムで処理しようとなると、システムに大きな負荷がかかり、システムダウンを発生させる可能性があります。そのため、日中にバッチ処理のプログラミングを組み、夜間にバッチ処理を自動的に作動させることで、システムのパフォーマンスを下げずに処理でき、情シスの業務効率化や負担軽減にもつながります。

・BPO/アウトソーシング

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、業務やビジネスのプロセスを外部に委託することです。兼任情シスがBPOを活用することで、本来の業務に注力できるようになります。またひとり情シスの業務を委託できれば、インフラの保守運用やヘルプデスクにかけていた時間を削減できるため、事業の発展につながるクラウドやデータ活用といった「攻め」の情シス業務に携わる機会につながるでしょう。

まとめ

情シスは企業の売上に直接関与する部門ではないため、経営層にとってはコストセンターとみなされることが多々あります。しかし、今後企業のデジタル化が進むことを踏まえると、DXの推進や従業員の多様な働き方の実現には専門的なIT知識を持つ情シスが大きな役割を果たします。

企業の事業拡大に貢献できる「攻め」の情シスを増やすためにも、まずは今回紹介したツールや手法を活用し、情シスの業務を効率化した上でのリソース確保が重要になります。

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