働き方

働き方改革で注目のフリーアドレスオフィス。いまさら聞けないそのメリットと導入に必要なモノとは?

執筆者:池田 利夫

「出社したら、入り口に置いてあるパソコンでダーツシステムにアクセスし、席種を選択。すると、システムが自動で今日の席の場所を決めてくれる」。そんなふうに1日が始まるのが、カルビー本社の仕事風景です。
ふつう、オフィスの仕事風景として思い浮かべるのは、毎朝自分の決まった席について、パソコンを起動して、黙々と仕事をしている様子でしょう。しかし、いま注目されている「フリーアドレス」オフィスでは、これとは異なる風景が見られます。社員に決まった席はなく、自由な席に着いて、周囲とコミュニケーションしながら仕事ができるのです。

新しい発想を生み出し続けるオフィスとは

フリーアドレスは、1990年代後半より、外資系企業やIT企業で導入されていて、「働き方改革」の1つの手段として、注目されています。ザイマックス不動産総合研究所が2015年に行った研究調査「働き方とオフィス利用についてのアンケート調査2015」では、調査対象の19%が「フリーアドレス制を活用し、オフィススペースを高効率化」していると回答する(「導入していないが検討している」を含む)など、すでに導入を進めている企業も多くあります。

<ザイマックス不動産総合研究所の研究調査>

出典元:ザイマックス不動産総合研究所(働き方とオフィス利用についてのアンケート調査2015

 

フリーアドレスのメリットは、いくつかありますが、ここでは次の3つに注目してみます。

  1. オフィスコストの削減
  2. コミュニケーションの活性化
  3. 整理整頓の徹底

1. オフィスコストの削減

フリーアドレスにより実現できる大きなメリットに、オフィスの省スペース化があります。例えば、日中は外回りの営業が主業務で、オフィスに人が少ないという会社なら、人数分の席は必要ありません。フリーアドレス化して、自由な席に座れるようにすれば、オフィス面積を削減して、省スペースでもより多くの人が働くことができます。

また、社員の増減や部署異動などがあっても、固定席を移動する手間はありません。部署に関わらず、自由な席に座れるので、レイアウトの変更や、電話回線、電源、LAN設備などを変更するコストもおさえられます。

2.コミュニケーションの活性化

自由に席を移動できることから、コミュニケーションを活性化できます。部署や役職に関係なく、現在関わっている業務やプロジェクトに応じて、近くに座る人を決めることができます。これにより、コミュニケーションの活性化が図れるだけでなく、部署を横断するチームやプロジェクトの編成も容易になります。

また、オフィス内の自由な場所に着席して、必要に応じてミーティングも行えるので、会議室の数も減らすことができます。

これまではちょっとした案件でも、上司へ説明するために紙の資料を作成していましたが、椅子を近くに移動してパソコン画面を見せながらの説明も行いやすいので、意思決定もその場で迅速に行いやすくなるという効果もあります。

3.整理整頓の徹底

毎日決まった席で仕事をしていると、机の周辺に資料が積み重なっていくという人もいるでしょう。フリーアドレスオフィスでは、業務が終わったら自分の関係資料はいったん個人用ロッカーなどに片付けます。

そのため、机周辺に資料などを出しっぱなしにすることはなくなり、オフィス内は常に片付いた状態になります。また、共有書類をファイリングして収納することも徹底できるでしょう。

また、なるべく紙の資料を持たずに電子化するよう心がけるため、オフィスのペーパーレス化も推進できます。そして情報も電子的に共有しようとするため、印刷やコピーにかかるコストが削減されるメリットもあります。

総務省は、2015年に「ワークスタイルを変えるオフィス改革の試行的取組」を発表し、総務省行政管理局にて実際にオフィスの改修を行った結果を報告しています。それによると、「レイアウト変更前と比較し、個人席周辺の文書量が約8割減」「約7割の職員がレイアウト変更前と比較し、業務がやりやすくなったと回答」「カラープリント・カラーコピー数がレイアウト変更前の約半分になった」などの効果が得られています。

参考:ワークスタイルを変えるオフィス改革の試行的取組:総務省

柔軟なスタイルで仕事ができるオフィスに必要なモノ

フリーアドレスのメリットを知って、導入を検討したいと思ったとき、知りたいのは必要な設備です。

ノートパソコン

まず必須なのは、ノートパソコンです。自由に席を移動するのにデスクトップパソコンを持ち歩くというわけにはいきません。個人で作業中のデータをすべてノートパソコンに入れられるからこそ、フリーアドレスは実現可能なのです。

社内では、ネットワークへの接続はWi-Fi経由で行うことにしておくと、自由な移動が可能になります。プリンターの利用もネットワークから行えるので、パソコン側に接続ポートの充実や周辺機器はほとんど必要ありません。タッチパッドの操作に慣れない場合には、マウスがあると便利でしょう。小型のBluetoothマウスならば、持ち歩いての利用もしやすくなります。

営業職などで、外出する機会もあるなら、持ち運びやすいモバイルタイプのノートパソコンがあるといいでしょう。LTEを搭載していれば、外出先からのネット接続もスムーズです。

デスク

続いて、デスクです。オフィスや業務の内容にもよりますが、フリーアドレスオフィスでは、円形テーブルや長机などを使用する例がよくあります。複数人が着席できるので、コミュニケーションやコラボレーションが円滑になりますし、人数の増減にも対応可能です。

また、フリーアドレスでは必要な資料をロッカーから取り出し、デスクまで移動します。そのため、デスクには荷物をかけるためのかばんフックや、書類を置くためのフリーカートなどもあると便利です。見落としがちなところですが、こうした工夫をしておくとことで、より快適に仕事をすることができるようになります。

配線や設備

机には電源タップが必要です。手元を照らすための照明器具も必要です。ネットワークの接続では、LANケーブルよりもWi-Fiを導入した方が、より機動的な作業が可能になるでしょう。

ファイリングシステムやロッカー

大型の設備では、このほかに、ファイリングシステムが必要です。共有の書類などはファイリングし、誰でも閲覧可能にしておきましょう。また、個人に帰属する書類などについては、個人ごとに割り当てられたロッカーに保管しておきます。必要な資料やツールを出して作業し、終了したら、それぞれの収納場所に収めることにより、オフィス内を整頓できます。

内部にコンセントが付属するロッカーを採用すると、退社時にノートパソコンを充電しておくことができます。これで、翌日はすぐに業務を始められます。

その他必要な設備

自由な場所で仕事をできる環境では、不審者の入室に注意して、情報漏えい対策する必要があります。IDカードによる入退出管理が可能なオートロックのドアなど、入退出管理システムも必要です。

設備を配置する際には、“余白”を作ることも重要です。予約不要のフリースペースをいくつか作っておくことで、思い立ったらすぐに、柔軟にミーティングを開くことができます。また、窓際をオープンにしておいたり、ゆったり座れるソファーを配置したりしておけば、ちょっとリラックスしてアイデアを出し合えるコミュニケーションスペースとして活用できます。

フリーアドレスの実現と、気をつけたい落とし穴

さまざまなメリットがあるフリーアドレスですが、思い切って導入したものの、なんとなく座る席が決まってしまい、結局は固定席化してしまうとか、会社への帰属意識が薄れてしまって、仕事へのモチベーションが下がってしまうなどの失敗例もあります。冒頭紹介したカルビー本社のように、ランダムに席を決める手法を取り入れるなど、実態にあった運用方法の検討も必要です。

また、業務内容によって向き、不向きがあることを知っておきましょう。例えば、日中は外回りが多い営業職なら、必要な席数を調整可能なフリーアドレスは最適でしょう。企画部門など、柔軟に他部署との交流が必要な場合にも、フリーアドレスは最適です。

一方で、経理部門や管理部門など、落ち着いた環境で作業すべき業務や、重要書類を扱う部署などでは、移動しながらの業務は不向きと言えるでしょう。部署や業務によって部分的に導入するという方法もあります。

フリーアドレスの実現は、会社や部署にとってかなり大きな改革となります。実現前には、一度、各部署にもアンケートを行った上で、実際の業務をシミュレーションして、フリーアドレス化が適切かどうかを確認しておく必要があります。

そして、何よりも大切なのは、経営陣や管理職側で明確な目的意識と、旧来の働き方を完全に置き換える覚悟を持つことが必須です。もちろん、オフィス環境を完全に置き換える際には、コストや労力が必要です。オフィスの移転や、フロアの移動などのタイミングで、検討してみてはいかがでしょう。

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